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「これほどすごい自己啓発本はあまりない」成田悠輔の人生を変えた本とは?「#木曜日は本曜日」プロジェクト第11弾

「#木曜日は本曜日」プロジェクト

10月6日(木)に始動した、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指す新プロジェクト「#木曜日は本曜日」(主催:東京都書店商業組合)。毎週木曜日に本屋と本を愛する著名人やインフルエンサー、作家などの十数人が、「人生を変えた本」をテーマに実際に本屋で語るインタビュー動画を公開するとともに、彼らが選んだ人生を変えた本10冊を東京都内の約180店舗で販売するという試みです。

第1弾となる俳優・歌手の上白石萌音さんから、第10弾の鈴木涼美さんが紹介する人生を変えた本については、特設サイトおよび東京都書店商業組合公式YouTubeチャンネル「東京の本屋さん~街に本屋があるということ~」にて動画を公開中です。

12月15日(木)からの第11弾は、経済学者、イェール大学助教授など、幅広く活躍する成田悠輔さんが担当します。

成田悠輔さんプロフィール
研究者・零細事業者・三流タレント。専門は、データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザイン。ウェブビジネスから教育・医療政策まで幅広い社会課題解決に取り組み、多くの企業や自治体と共同研究・事業を行う。混沌とした表現スタイルを求めて、報道・討論・バラエティ・お笑いなど様々なテレビ・YouTube番組の企画や出演にも関わる。夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社代表。著書に『22世紀の民主主義:選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』など。



 

成田悠輔さんの人生を変えた10冊

経済学者、大学教授、経営者、研究者、タレント――さまざまな分野で幅広く活躍をしている成田さん。本は紙と電子の両方で楽しむとのことですが、その理由も「ずっと紙に触れていると飽きるし、ずっとピカピカしている板を見ているのも飽きる」というユニークなものです。

そんな成田さんの「人生を変えた10冊」の中から、選書コメント(動画より抜粋)とともに3冊を紹介します。本棚のデザインをあしらった限定しおり(写真)も開催書店で配布しています。
※全10冊および書棚設置&オリジナルしおり配布店舗は「#木曜日は本曜日」特設サイトをご覧ください。

 

『意味の変容』(森敦)

意味の変容
著者:森敦
発売日:1991年03月
発行所:筑摩書房
価格:513円(税込)
ISBNコード:9784480025180

光学工場、ダム工事現場、印刷所、およそ「哲学」とは程遠い場所で積み重ねられた人生経験。本書は、著者がその経験の中から紡ぎ出した論理を軸に展開した、特異な小説的作品である。幽冥の論理やリアリズム1.25倍論など独自の世界観・文学観から宗教論・数学論まで、著者の創作活動のエッセンスが凝縮された奇蹟的な作品。

(筑摩書房公式サイト『意味の変容』より)

選書コメント:(今回選んだ本は)全部ニッチな作品ですが、その中でも特にニッチなもので、「自伝小説」ならぬ「自伝哲学」のような本です。森敦さんは職業のカテゴリーでいうと作家ですが、実は変な経歴を持っている人で。レンズを作る工場で働いたり、山の中にあるお寺で修行したりと、10年ぐらいずつ違う業界、違う場所で生活をする、職業放浪者のような方だったらしいです。この本は、その遍歴の中で感じた断片のようなものを妙に抽象的に書き換えて、謎の哲学にしたような本です。途中に謎の図があって、哲学なのか数学なのか、どちらでもない哲学もどきのものがあり、意味があるのかないのかもわからないし、体系立てられてもいない。でもそれが重要だと思っていて。哲学はもともと人が生きている中で感じた断片から始まったもので、古代の哲学書を読むと体系立てられていない日記のようなものばかりです。それが何千年もかけて大それたものになっているのですが、原点に返るとこんな感じなのかな、と思ってしまう本です。

 

『トリオリズム』(叶恭子)

トリオリズム
著者:叶恭子
発売日:2008年01月
発行所:小学館
価格:607円(税込)
ISBNコード:9784094082401

フランス語で「3P」を意味する「トリオリズム」。その衝撃的なタイトルに象徴される「愛と性」に関するエピソード。発刊と同時に話題となり女性を中心に共感と羨望を呼んだベストセラー単行本の文庫化。「男はペルシャ絨毯のようです」「富とラブの快感は似ています」「ペニスには気持ちがある」「ヴァギナはコントロールできる」などなど。「愛と性とお金」にまつわる数々の名言を生んだタブーなき「ラブ&セックス」読本。

(小学館公式サイト『トリオリズム』より)

選書コメント:これもある種の「自伝哲学」かと思います。著者がしてきたセックスや男性との遍歴が書かれているのですが、それを素材として使いながら描いているのは「自分と他人との関係」ということなんですね。自分のことを書く(一人称)、人のことを書く(三人称)はよくあると思いますが、この本は“自分という鏡を通じて他人がどう映るか”、または“他人という鏡を通じて自分がどう映るか”という、一人称と三人称が行ったり来たりするところが面白いです。それによって、自分にとって大事な人との関係というのはなんなのか、人との関係をどう作り出すべきなのかみたいな、人間が社会の中で生きていくうえで一番難しい問題に真っ向から取り組んでいるなと思います。(人生に役立ちそうな気がするというインタビュアーの問いに対し)これほどすごい自己啓発本はあまりないのではないでしょうか。

 

『グレープフルーツ・ジュース』(オノ・ヨーコ)

グレープフルーツ・ジュース
著者:オノ・ヨーコ 南風椎
発売日:1998年04月
発行所:講談社
価格:770円(税込)
ISBNコード:9784062637640

この本を燃やしなさい。読みおえたら。──あまりにも衝撃的なオノ・ヨーコの「グレープフルーツ」。東京で、のち英語版として世界で発売されたこの1冊に刺激されて、ジョン・レノンは名曲「イマジン」を生み出しました。その中から言葉をえらんで訳しなおした、33人の写真家との素敵なコラボレーション!!

(講談社BOOK倶楽部『グレープフルーツ・ジュース』より)

選書コメント:(これは)本なんですかね。もはや本なのか本ではないか怪しい作品です。パフォーマンスアートとしての本、オノ・ヨーコさんの取扱説明書のような感じです。「掃除をしなさい。太陽を見つめなさい。それが四角くなるまで」というように、こういう指示がひたすら書かれていて、“読むための読む行為”ではなく、何か行動を起こしたりするための触媒としての言葉、触媒としての本という感じですね。しかも面白いのは、指示の内容がスケールも抽象度も実現可能性もバラバラなんですよ。例えば「呼吸をしなさい」というのはすぐできますが、中には実行するだけで1時間かかるものもあります。何かの指示というのは「これぐらいの具体性で、これぐらいの難易度で、これぐらいのスケールで」というのが大体決まっていますが、そのスケールや自由度をいろいろな方向に伸び縮みさせたらどうなるかという思考実験だと思います。

 

動画の紹介

 

プロジェクトの背景

近年、電子書籍の台頭・書籍のネット購入率の増加などを受け全国の本屋の数が激減しています。2000年には21,495店舗存在した本屋が2020年には11,024店舗(出版科学研究所調べ)と約半数にまで落ち込み、東京都にある中小書店(街の本屋)を中心に組織する東京都書店商業組合の加盟店舗数もまた、2022年1月時点で287店とピークだった1984年の1,426店から8割程度減少しています。

こうした苦境を受け同組合では、お客様の忙しい日々の中でゆっくり本と向き合う時間として、週の真ん中に位置する“木曜日”に目を向け、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指して「#木曜日は本曜日」プロジェクトを開始しました。

同プロジェクトは東京都中小企業団体中央会の特別支援「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」として、同中央会より委託を受け、東京都書店商業組合が運営しています。

 

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