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「大人って尊敬しなくていいんだ」小説家・カツセマサヒコの人生を変えた本とは?「#木曜日は本曜日」プロジェクト9弾

「#木曜日は本曜日」プロジェクト

10月6日(木)に始動した、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指す新プロジェクト「#木曜日は本曜日」(主催:東京都書店商業組合)。毎週木曜日に本屋と本を愛する著名人やインフルエンサー、作家などの十数人が、「人生を変えた本」をテーマに実際に本屋で語るインタビュー動画を公開するとともに、彼らが選んだ人生を変えた本10冊を東京都内の約180店舗で販売するという試みです。

第1弾となる俳優・歌手の上白石萌音さんから、第8弾の元SKE48のメンバーで女優の松井玲奈さんが紹介する人生を変えた本については、特設サイトおよび東京都書店商業組合公式YouTubeチャンネル「東京の本屋さん~街に本屋があるということ~」にて動画を公開中です。

12月1日(木)からの第9弾は、小説家・随筆家のカツセマサヒコさんが担当します。

カツセマサヒコさんプロフィール
一般企業勤務を経て、2014年よりライターとして活動を開始。2020年刊行の小説家デビュー作『明け方の若者たち』(幻冬舎)が大ヒットを記録し、映画化。2021年にはロックバンドindigo la Endとのコラボレーション作品として2作目となる小説『夜行秘密』(双葉社)を刊行。
東京FMでのラジオパーソナリティや雑誌連載など、活動は多岐にわたる。

 



 

カツセマサヒコさんの人生を変えた10冊

高校生時代から本屋によく通っていたというカツセさん。当時は大きな本屋に行くと「賢くなった自分に出会える」気がしていて、背伸びして行っていたそうです。

そんなカツセさんが選んだ「人生を変えた10冊」の中から、選書コメント(動画より抜粋)とともに3冊を紹介します。本棚のデザインをあしらった限定しおり(写真)も開催書店で配布しています。
※全10冊は「#木曜日は本曜日」特設サイトで閲覧できます。

 

『ぼくらの七日間戦争』(宗田理)

ぼくらの七日間戦争
著者:宗田理
発売日:1985年04月
発行所:角川書店
価格:607円(税込)
ISBNコード:9784041602010

明日から夏休みというある日。東京の下町にある中学校の一年二組の男子生徒全員が、無人化した工場に立てこもった。大人の言いなりになるな! 子供たちの叛乱がはじまった――。ぼくらシリーズ最高傑作。

(KADOKAWA公式サイト『ぼくらの七日間戦争より』)

選書コメント:自分で買いに行ったわけではなく、気づけば家の本棚にあった作品です。まだ彼らの年齢になる前の小学6年生から中学1年生になる頃に初めて読みました。大人や社会への反抗というものを、バリケードを作って仲間たちとガッツリと正面から向き合うという発想をしたことがなくて、目をキラキラさせながら読んでいました。ここから、漫画の『ONE PIECE』のように「仲間集めをしたい!」と思うようになりました。社会って立ち向かっていいんだとか、大人って尊敬しなくていいんだと教えてくれた作品です。

 

『陽気なギャングが地球を回す』(伊坂幸太郎)

陽気なギャングが地球を回す
著者:伊坂幸太郎
発売日:2006年01月
発行所:祥伝社
価格:692円(税込)
ISBNコード:9784396332686

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。ハイテンポな都会派サスペンス!

(祥伝社公式サイト『陽気なギャングが地球を回す』より)

選書コメント:伊坂幸太郎さんの作品はだいたい読んでいて、初めて手に取ったのがこの作品です。当時、高校生か大学生で、読んでいる感覚がなくてどんどん映像として浮かんでくるという読書体験を初めてしました。「『少年ジャンプ』よりおもしれぇ」とめちゃくちゃ興奮しました。いつか小説を書くなら、伊坂作品のような伏線の張り方とかをやってみたいという野心も、この時に芽生えた気がします。

 

『GO』(金城一紀)

Go
著者:金城一紀
発売日:2007年06月
発行所:角川書店
価格:748円(税込)
ISBNコード:9784043852017

僕は《在日韓国人》に国籍を変え、都内の男子高に入学した。広い世界へと飛び込む選択をしたのだが、それはなかなか厳しい選択でもあった。ある日僕は、友人の誕生パーティーで一人の女の子に出会って――。

(KADOKAWA公式サイト『GO』より)

選書コメント:人生で一番繰り返し読んだ本です。主人公が在日朝鮮人から在日韓国人に国籍を変えるというところから始まる物語で、(当時は)いまよりもさらにひどい偏見や差別をされていたという背景があって。もちろんその背景も刺さるのですが、それよりも主人公とヒロインの恋愛観や生き方にものすごく刺激を受けました。こんな男になりたい、こんな彼女と恋がしたいとこじらせてしまったキッカケの本です。この本に憧れすぎて、彼女ができた時も作中のように「お互いを苗字で呼び合う」ということをお願いしたら、2か月で別れてしまいました(笑)。

 

動画の紹介

 

プロジェクトの背景

近年、電子書籍の台頭・書籍のネット購入率の増加などを受け全国の本屋の数が激減しています。2000年には21,495店舗存在した本屋が2020年には11,024店舗(出版科学研究所調べ)と約半数にまで落ち込み、東京都にある中小書店(街の本屋)を中心に組織する東京都書店商業組合の加盟店舗数もまた、2022年1月時点で287店とピークだった1984年の1,426店から8割程度減少しています。

こうした苦境を受け同組合では、お客様の忙しい日々の中でゆっくり本と向き合う時間として、週の真ん中に位置する“木曜日”に目を向け、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指して「#木曜日は本曜日」プロジェクトを開始しました。

同プロジェクトは東京都中小企業団体中央会の特別支援「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」として、同中央会より委託を受け、東京都書店商業組合が運営しています。

 

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