「#木曜日は本曜日」プロジェクト
2022年10月に始動した、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指す新プロジェクト「#木曜日は本曜日」(主催:東京都書店商業組合)。毎週木曜日に本屋と本を愛する著名人やインフルエンサー、作家などの十数人が、「人生を変えた本」をテーマに実際に本屋で語るインタビュー動画を公開するとともに、彼らが選んだ人生を変えた本10冊を東京都内の約180店舗で販売するという試みです。
第1弾となる俳優・歌手の上白石萌音さんから、第12弾の呂布カルマさんが紹介する人生を変えた本については、特設サイトおよび東京都書店商業組合公式YouTubeチャンネル「東京の本屋さん~街に本屋があるということ~」にて動画を公開中です。
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1月5日(木)からの第13弾は、NEWSのメンバーで作家の加藤シゲアキさんが担当します。
加藤シゲアキさんプロフィール
1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。
NEWSのメンバーとして活動しながら、TBS系ドラマ「3年B組金八先生」、日本テレビ系ドラマ「時をかける少女」、フジテレビ系ドラマ「嫌われる勇気」などに出演。
2012年に『ピンクとグレー』で作家デビュー。その後もアイドルと作家活動を両立させ、2021年に『オルタネート』で吉川英治文学新人賞、高校生直木賞を受賞。同作は直木賞候補にもなり話題を呼んだ。そのほかの小説作品に『閃光スクランブル』『Burn.-バーン-』『傘をもたない蟻たちは』『チュベローズで待ってるAGE 22・AGE 32』、エッセイ集に『できることならスティードで』がある。
2022年、作家生活10周年を記念し、自ら責任編集を務めた『1と0と加藤シゲアキ』を刊行した。
加藤シゲアキさんの人生を変えた10冊
アイドルグループ・NEWSのメンバーでありながら、作家としての活躍も目覚ましい加藤シゲアキさん。そんな加藤さんの「人生を変えた10冊」の中から、選書コメント(動画より抜粋)とともに3冊を紹介します。本棚のデザインをあしらった限定しおり(写真)も開催書店で配布しています。
※全10冊および書棚設置&オリジナルしおり配布店舗は「#木曜日は本曜日」特設サイトをご覧ください。
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(J.D. サリンジャー、訳:村上春樹)
- キャッチャー・イン・ザ・ライ
- 著者:ジェローム・デーヴィド・サリンジャー 村上春樹
- 発売日:2003年04月
- 発行所:白水社
- 価格:1,980円(税込)
- ISBNコード:9784560047644
J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として生まれ変わりました。ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳でありつづけるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。雪が降るように、風がそよぐように、川が流れるように、ホールデン・コールフィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、世代を超え、この世界に存在しているのです。さあ、ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。
(白水社公式サイト『キャッチャー・イン・ザ・ライ』より)
選書コメント:「一番好きな本は何ですか?」と聞かれたときに、必ず答える一冊です。主人公はひねくれているのですが、ピュアなんです。人生がすごく生きづらいんだけど、その中でいろいろな思いを見つけていく物語です。ストーリーのここが好きとか、この展開にドキドキしたということではなく、ずっと心の動きに目が離せないんですよね。初めて読んだのは大学生の時で、本が好きな大学の友人に何人にも薦められたのですが、読んでみると、時代も舞台も違うのに「俺じゃん、なんで俺のことこんなにわかるんだろう」って。読み終わって動けなくなってしまいました。
『愛するということ』(エーリッヒ・フロム、訳:鈴木晶)
- 愛するということ
- 著者:エーリッヒ・フロム 鈴木晶
- 発売日:2020年09月
- 発行所:紀伊國屋書店
- 価格:1,430円(税込)
- ISBNコード:9784314011778
愛は技術であり、学ぶことができる――
私たち現代人は、愛に渇えつつも、現実にはエネルギーの大半を、成功、威信、金、権力といった目標のために費やし、愛する技術を学ぼうとはしない。
愛とは、孤独な人間が孤独を癒そうとする営みであり、愛こそが現実の社会生活の中で、より幸福に生きるための最高の技術である。(紀伊國屋書店公式サイト『愛するということ』より)
選書コメント:ドイツの心理学者による、タイトル通りの「愛」についての本です。当時は小説の中で愛というテーマを探していたこともあり、小説を書いていると「愛って何だろうな」とどんどん思うようになっていました。この本を手に取るときはみんな、愛って何かを知りたくて取るわけですよね。でもこれ、教えてくれないんですよ。一行目から「愛するという技術について安易な教え方を期待してこの本を読む人はがっかりするだろう」って(笑)。でも読んでいると「そうだよな」って。例えば僕らだと歌で「愛」が入ってくるじゃないですか。そのたびに「愛」ってこの世界に溢れているけれど、「全然まだ愛足りてないじゃん」みたいな気持ちによくなるんですよ。そんな中で、自分の中の愛って何なんだろうなと思って手に取った時に、愛するということは技術(スキル)なわけで、技術を磨くためには修行が必要ということが書かれています。愛というのはもちろんみんなが持っているものですが、それをちゃんと育てなきゃいけないよということなんですよね。それが結構目から鱗でした。
『弓と禅』(オイゲン・ヘリゲル、訳・解説:魚住孝至)
- 新訳弓と禅
- 著者:オイゲン・ヘリゲル 魚住孝至
- 発売日:2015年12月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:880円(税込)
- ISBNコード:9784044000011
「考えるのをやめなさい」。日本滞在中に弓道を学んだドイツ人哲学者ヘリゲルは、自我を捨て心を無にして的を射よと説く師の言葉に、あらゆる道に通底する禅の奥義を感得する。精神集中と身体の鍛練によって、いかに「無心」となり得るのか。世界中で愛読され続ける日本論の名著を新たに訳し下ろし、講演録や鈴木大拙の序文とともに収録。最新研究を踏まえた解説により、日本的な武道と芸道、そして禅の真髄を解き明す決定版!
(KADOKAWA公式サイト『新訳 弓と禅 付・「武士道的な弓道」講演録』より)
選書コメント:ドイツ人の哲学者・ヘリゲルが日本に来て禅の精神と弓道を習って書いた一冊ですが、「的を狙うな」という話なんです。ヘリゲルはどれだけ弓道の練習をしても的に当たらないのですが、先生は「的を狙っているから的に当たらないんだ。的じゃなくて己を見ろ」と言います。それで、先生が真夜中にヘリゲルを呼び出して、真っ暗な中で弓を射るのですが、それが真ん中に当たっていたという、もはや漫画みたいな話もあって(笑)。この話が面白いというより、みんながその重要性をわかるわけですよね。自分がすごいなと思うマイク・タイソンや、J.D.サリンジャー、スティーブ・ジョブズなどにも影響を与えている本です。
動画の紹介
プロジェクトの背景
近年、電子書籍の台頭・書籍のネット購入率の増加などを受け全国の本屋の数が激減しています。2000年には21,495店舗存在した本屋が2020年には11,024店舗(出版科学研究所調べ)と約半数にまで落ち込み、東京都にある中小書店(街の本屋)を中心に組織する東京都書店商業組合の加盟店舗数もまた、2022年1月時点で287店とピークだった1984年の1,426店から8割程度減少しています。
こうした苦境を受け同組合では、お客様の忙しい日々の中でゆっくり本と向き合う時間として、週の真ん中に位置する“木曜日”に目を向け、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指して「#木曜日は本曜日」プロジェクトを開始しました。
同プロジェクトは東京都中小企業団体中央会の特別支援「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」として、同中央会より委託を受け、東京都書店商業組合が運営しています。