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直木賞作家・石田衣良の最新作『逆島断雄と進駐官養成高校の決闘』は、近未来を舞台にした学園青春アクション小説! 担当編集者の方に作品ガイドを寄せていただきました。
石田衣良さんは、編集者の“無茶ぶり”に、臆することなく飄々と応えてくれる作家である。
最初の“無茶ぶり“は2006年。「ものすごくいやらしくて、かつ、山本周五郎の上質な短編のように読み終わって目頭が熱くなるような官能短編小説ができませんかね?」という無責任かつ強引な提案に、「それは面白いですねえ」と軽く引き受け、ものの見事に“感動的なエロ短編小説集“『sex』(講談社文庫)を仕上げてくれた。
そして2度目の“無茶ぶり”は2年前。ライトノベル・ブームと言われる最中、「ライトノベルのふりして、全然ライトじゃない、テーマががっしりして、血沸き肉躍るような物語はできませんかね?」と提案した。それは、石田さんが、その新作の発表の場に、DeNAが運営する小説・コミック投稿サイト「E★エブリスタ」を選んでいたことがあっての提案だった。かるーい小説がかるーく消費されていくフィールドの読者たちに、“ページをめくる手が止まらない”ほど面白く骨太の物語を味わわせてみたかったのだ。
今回も飄々と快諾してくれた石田さんが、選んだ舞台は近未来。列強が武力によって資源と市場を奪い合う弱肉強食の世界―― 現代小説では設定が難しい、簡単に人の命が奪われる世界だ。そこで繰り広げられる、植民地支配の中枢を担うべく養成されるエリート少年たちのサバイバル・ストーリー。
石田さんはこの物語を構想するにあたり、少年漫画を徹底的に研究したという。その成果は、先が読めない展開とテンポの良さ、個性的なキャラクター、先祖伝来の秘術を駆使した格闘トーナメントの緊張感、国家転覆の陰謀、究極の殺戮兵器といった魅力的な素材などに生かされ、ヒット漫画に負けないスピード感あふれる物語に仕上がっている。
一気読み保証の520ページです。じっくりご堪能ください。
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文・講談社 第二事業局 今井秀美