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第20回本屋大賞は凪良ゆう『汝、星のごとく』!2度目の「書店員が選んだいちばん!売りたい本」に

4月12日(水)、東京・元赤坂の明治記念館において、2023年本屋大賞の発表、および贈賞式が開催されました。

今年で20回目となる本屋大賞を受賞したのは、凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』です。

汝、星のごとく
著者:凪良ゆう
発売日:2022年8月
発行所:講談社
価格:1,760円(税込)
ISBN:9784065281499

 

凪良ゆうさんは2度目の受賞で念願の発表会に登場

凪良さんは『流浪の月』で2020年本屋大賞を受賞しており、2020年刊行の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞にノミネートされています。

凪良さん自身、デビュー15周年となる記念すべき今年、2度目の受賞を果たしました。本屋大賞を2度受賞している作家は、2005年『夜のピクニック』と2017年『蜜蜂と遠雷』の恩田陸さんに続き、2人目です。

『汝、星のごとく』は瀬戸内の島で出会った1組の男女の恋愛を軸に、周辺の人々の人間模様までもがていねいに織り込まれた作品。本賞はもとより直木賞にもノミネートされるなど高い評価を受けた作品であり、切なくも美しい物語は発売当初から多くの書店員に支持され、読者の手に届けられてきました。現在、累計発行部数は40万部を突破しています。

凪良ゆうさん『汝、星のごとく』刊行時のインタビューはこちら

 

あいさつに立った凪良さんは、「『流浪の月』が本屋大賞を受賞した3年前の発表会は、日本初の緊急事態宣言の発出と重なって発表会が中止になってしまい、会場にすらたどりつけない著者になってしまった。この会場で応援してくださった書店員さんと、ともに喜びを分かち合えなかったことが、この3年間は悔いとなって残っていました」と言います。

『汝、星のごとく』を刊行した昨年8月には、本作の編集担当者とともに「『流浪の月』の分まで書店さんに御礼を言いに行こう」と北から南へと多くの書店を訪れたそうです。「ずっと応援していました」という多くの声に、「もうこれでいい」と一旦は納得したものの、今回、受賞者として壇上に立っていることが「夢のようにうれしくて、でもそれは書店員さんお一人お一人の力が作ってくださった現実です」と感無量な様子。

「物語を紡ぐのは作家ですが、読者さんの手に届くまではたくさんの人のお力が必要です。編集者さん、出版社さん、印刷会社さん、日々読者さんと接して、直接本を届けてくれる書店員のみなさま。

最初、たった数人からスタートされた本屋大賞が、全国の書店員さんの本を愛する気持ちと書店に足を運んでほしいという熱意だけを原動力に、20年かけて、リアルタイムでいま本を読まれている層に、一番求められる賞にまでなったこと。

その道のりを思うと、小説が売れないとよくいわれる時代の作家のひとりとして、本当に感謝と尊敬の念でいっぱいになります。20年間、本当に続けてくださってありがとうございます、そして、これからも小説をよろしくお願いいたします」と喜びと感謝を語りました。

 

2023年本屋大賞

2023年本屋大賞は、全国の471書店、書店員615人により一次投票が行われ、ノミネート10作品が決定。二次投票を経て大賞が決定しました。

1位 『汝、星のごとく』凪良ゆう(講談社)
2位 『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒(集英社)
3位 『光のとこにいてね』一穂ミチ(文藝春秋)
4位 『爆弾』呉勝浩(講談社)
5位 『月の立つ林で』青山美智子(ポプラ社)
6位 『君のクイズ』小川哲(朝日新聞出版)
7位 『方舟』夕木春央(講談社)
8位 『宙ごはん』町田そのこ(小学館)
9位 『川のほとりに立つ者は』寺地はるな(双葉社)
10位 『#真相をお話しします』結城真一郎(新潮社)

 

【2023年本屋大賞 実施概要】
■選考期間
2022年12月~2023年4月

■対象作品
2021年12月1日~2022年11月30日に刊行された日本の小説
(判型問わず、オリジナルの小説)

■投票参加資格者
新刊を扱っている書店の店員であること
(オンライン書店店員、パート社員も含む)

■選考方法
(1)一次投票で一人3作品を選んで投票
(2)一次投票の上、集計結果上位10作品をノミネート本として発表
(3)二次投票はノミネート作品をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票
(4)二次投票の集計結果により大賞作品を決定
※『本の雑誌増刊 本屋大賞2023』にも凪良ゆうさんの喜びの声や、各部門の投票結果の詳細が掲載されています。

 

【発掘部門】
ジャンルを問わず、2021年11月30日以前に刊行された作品が対象。一次投票時に既刊本のお勧め本を1点投票。「本屋大賞」発表時に、「発掘部門」に投票された作品をリスト化して発表されます。

その中から、「これは!」と実行委員会が共感した1冊を選出した、2023年発掘部門「超発掘本!」には、『おちくぼ姫』田辺聖子(角川文庫)が選ばれました。

 

おちくぼ姫
著者:田辺聖子
発売日:1990年5月
発行所:KADOKAWA
価格:484円(税込)
ISBN:9784041314234

 

【翻訳小説部門】
2021年12月1日~2022年11月30日に日本で刊行された翻訳小説の中から、一人3冊までを投票し、集計して選ばれます。

今回は、英国推理作家協会賞最優秀長篇賞受賞作であり、日本でも昨年末に「ミステリが読みたい!」「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」の3つのランキングで第1位に輝いたクリス・ウィタカーさんの『われら闇より天を見る』が受賞しました。

〉担当編集者による『われら闇より天を見る』のブックガイドはこちら

 

われら闇より天を見る
著者:クリス・ウィタカー、鈴木恵訳
発売日:2022年8月
発行所:早川書房
価格:2,530円(税込)
ISBN:9784152101570

 

本屋大賞第20回記念フェア開催中

今年で20回目の大賞受賞作が発表された本屋大賞ですが、過去に受賞した作品も、どれも全国の書店員が自信をもってお薦めできる、今後も長く読まれ続ける作品ばかり。そこで、全国のフェア参加書店では、歴代の大賞受賞作品を揃えた記念フェアが開催されています。

フェアは4月13日(木)より実施され、参加書店ではいままでの歴史を振り返る24ページの限定版小冊子が配布されます。

また、フェアのポスターや帯には、歴代の大賞受賞作家より「本屋は ◯◯◯で できている」というお題に対する回答がメッセージとともに寄せられ、作家のみなさんの本屋に対する思いが込められた展開となっています。

ぜひ店頭でこれまでの大賞受賞作も手に取ってみてはいかがでしょうか。