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「このたった5人しかいないテーブルに、関係をもったカップルが4組もいる。」
こんなドキッとさせられるフレーズとともに、ある文庫本が巷でブームになっています。
その文庫本とは、2008年に刊行された林真理子さんの『秘密』。2組のカップルと1人の女性が登場し、リレー形式で主人公を変えながら、“秘密”をテーマにした8つの物語がつながっていく連作短編集です。
発売から約10年が経ち、ここ数年間はほとんど目立った動きがなかった『秘密』。
しかし2017年、とある書店チェーンでの仕掛け販売が始まると同時に大ブレイクし、なんと売上は開始前週の300倍以上※に! その後も勢いをキープしたまま売れ続け、すぐに重版が決定、累計発行部数10万部が目前に迫るほどの売れ行きとなりました。
※日販 オープンネットワークWIN調べ。
今回の仕掛け販売で大きく変わったのは、「文庫本のカバー」。
刊行当初はこちらのデザインだったのが、
このようなカバーに変更されました。
変更後のカバーイラストは、人気漫画家・いくえみ綾さんによるもの。イラストもさることながら、『秘密』という題字や、冒頭で紹介したフレーズの帯もかなりのインパクトがあります。
仕掛け販売を行なった書店チェーンでは、このデザインをもとにしたパネルを用いて同作がずらりと並び、来店客に対して強くアピールされました。
それにしても、なぜ今、10年前の小説を突然仕掛け販売することになったのでしょうか?
その背景を、出版元であるポプラ社の営業局 一般書企画部部長・瀬野徹さんに教えていただきました。
ことの発端は2017年初秋、TSUTAYA三軒茶屋店の“仕掛け番長”こと栗俣力也さんから、「この作品を仕掛けてみたいんです」とご連絡をいただいたことでした。
お話を伺ったところ、栗俣さんは発売当初から『秘密』を面白いと感じていたそうですが、「今こそ、この作品が世の中に合っていると思った」のだそうです。
『秘密』はタイトルの通り“秘密”をテーマにとり、林真理子さんならではの書き口で、女性たちの“秘密”をこれでもかと詰め込んだ傑作です。
この本を手に、栗俣さんが「カバーを漫画家さんのイラストに変えて、このコピーを使ってもらったら売れると思うんです」と差し出した一枚の紙。そこには「このたった5人しかいないテーブルに、関係をもったカップルが4組もいる。」と書かれていました。
このフレーズは、本書に収録されている短篇「土曜日の献立」に登場する会話から取ったもの。その頃ちょうど、ワイドショーや週刊誌では毎日のように、芸能人や政治家のスキャンダルが報じられていました。さまざまな有名人の不倫が次々に明らかになっていく中、世情的にもそういったことに興味が向かう機運が強かったといえます。栗俣さんはそこを鋭くとらえ、ポプラ社にオファーをしてくださったのでした。
栗俣さんからのオファーを受け、編集部ではカバーのかけかえを検討。どんな漫画家さんにイラストをお願いするか悩みに悩みましたが、2010年刊行の『秘密のスイーツ』でタッグを組んだこともあって、編集部でも一番に名前の挙がったいくえみ綾さんに快諾のお返事をいただきました。
▼2010年刊行の『秘密のスイーツ』は、林真理子さん初の児童文学です。
すべての準備が整い、2017年11月。折しもこのとき、いくえみ綾さんの大ヒット漫画『あなたのことはそれほど』の最終巻ともタイミングが重なり、TSUTAYA三軒茶屋店の店頭では開始当初から大きな反響があったそうです。
翌12月には展開を全国へ広げ、ますます売上を伸ばしています。
いくえみ綾さん描き下ろしイラストによるカバーが目を引く、林真理子さんの『秘密』。カバーのインパクトもさることながら、連作短編集ならではのさらりと読める手にとりやすさと、読後に強く残る“女性ならではの生々しさ”が印象的な作品です。
同作は現在、全国のTSUTAYA書籍売り場にて強力プッシュ中だそう! ぜひお近くの店舗を覗いてみてください。
今回のエピソードに登場した“仕掛け番長”こと栗俣力也さんは、絶版になっていた文庫を復活させる「復刊プロデュース文庫」や、TSUTAYA三軒茶屋店コミック売り場の“全面プロデュース”を手掛けたことでも知られています。
ほんのひきだしでは、TSUTAYA三軒茶屋店にお邪魔した際の取材記事も公開中! こちらもぜひご覧ください。
・名物書店員「仕掛け番長」全面プロデュースのコミック売り場を訪問!TSUTAYA三軒茶屋店の魅力に迫る