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おつまみは料理にあらず「娯楽」なり!はじめてでも楽しく作れる“実験”レシピ本『23時のおつまみ研究所』

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おつまみを研究しつくしたレシピ本が発売!

6月14日(水)に発売された『23時のおつまみ研究所』は、「おつまみは料理にあらず『娯楽』なり」をコンセプトに作られた、まさにおつまみを研究しつくしたレシピ本です。

著者は、 ロングセラー『料理のきほん練習帳』が、料理レシピ本大賞 in Japan 2014に入賞した、料理研究家の小田真規子さん。料理を作るのはもちろん、「考えること」が好きな小田さんは、度重なる試作・研究の末に、食材や調理の原理原則を独自に導き出し、概念化し続けてきました。

かつ自身も“お酒好き”という著者が、徹底的におつまみについて考えた本書なら、お酒とおつまみの相性もばっちり! ビールやワイン、日本酒などそれぞれの料理に合うお酒や、「こうしたらこのお酒にも合う」というアドバイスも書かれており、ついついこちらもいろいろ試してみたくなるというものです。

事前にプルーフを読んだ書店員からの反響が大きく、発売前の段階で「もう半分以上作りました」と言う声や、実際に本書のレシピで作ったおつまみをTwitterにアップする人なども多数。そんな書店員の後押しで、レシピ本としては異例の発売前重版となっている本書の見どころについて、ご紹介します。

 

23時のおつまみ研究所
著者:小田真規子、絵・マンガ:スケラッコ
発売日:2023年6月
発行所:ポプラ社
価格:1,430円(税込)
ISBN:9784591178089

 

おつまみの“6つの軸”を知っていますか?

おつまみの軸となるのは、香り・食感・塩気・うま味・温度・刺激の6つの要素。このどれか1つを強化するだけで、シンプルなメニューでも、お酒との相性が格段にアップするのだそうです。

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たとえば
「一口目で味が決まる枝豆のゆで方は?」
「野菜スティックは何℃がおいしい?」
「冷めてもガリガリ食感のから揚げを作るには?」
など、なかなか具体的には答えられない疑問にも、塩分濃度や下準備、食材の特徴をつかんだ調理法までがわかりやすく書かれています。

しかも、仮説からさまざまなパターンを試した実験結果に加え、“味変”のアドバイスも載っているので、自然と自分でも実験したくなります。

掲載されているレシピの一例がこちら。

香り味玉No.1決定戦/本当に飲める納豆オムレツ/パリパリキャベツと守破離のたれ/カリカリベーコンの没頭サラダ/3種の梅きゅう/さみしくない乾き物/本日のチーズに漬物を添えて/ えびとマッシュルームのアヒージョ/ピリ辛アボカド3種盛り/長ねぎナムル/冷やしトマトに塩わさび/つまみうどん3種

 

どれも、多くて3~4の工程でできるレシピばかりで、難しく考えることなく、手軽に居酒屋の味が再現できます。また「なぜこうするとおいしくなるのか」の理由がきちんと説明されていることも、小田さんのレシピが「作ると料理がうまくなる」と言われる所以ではないでしょうか。

 

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▲あじのなめろうは、粗みじん、20回たたき、50回たたき、100回たたきを検証した結果を掲載。各レシピの左ページに合うお酒が書かれています。

 

「香り」と「塩気」のおつまみを試作!

というわけで、作ってみたのが次の2品。

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1品目は、「香り」の例としても掲載されていた「焦がしニラ玉半熟仕上げ」です。

ニラは炒めるのではなく、しっかり「焼いて」甘みを引き出すのがポイント。そして、卵はボソボソしないように、「10回混ぜたら火を止める」なのですが、気を付けないとあっという間に火が通ってしまうので、ここは集中します。

お手本のようなつやには、筆者の腕ではもう少し練習が必要ですが、1回目よりは上達! すでに我が家の定番になりつつあります。

 

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2品目は「塩気」の中から、「とりあえず2%の浅漬け」をチョイス! 作りやすい量として300g(ハンパに余った野菜でもOK)となっていましたが、我が家は家族が多いため、900gで作ってみました。

▲キャベツ、キュウリ、カブなどを中心に、これでだいたい900g

 

それぞれを適当な大きさに切り、調味料を絡めてよく混ぜます。チャック付きの保存袋に入れて一晩おくと、食べられます。冷蔵庫で10日ほど持つということで、3パターンほどの“味変”が紹介されていましたが、我が家はすぐに売り切れてしまい、1種類しか試せませんでした……。

 

漫画とイラストで「おつまみ研究所」の世界へ

本書は、ほとんど台所に立ったことのない61歳の“テツローさん”が、ある日ふらっと入った居酒屋「のみ処きつね」(=おつまみ研究所)できつねの大将から指南を受け、おつまみの奥深さを学んでいくストーリー仕立てとなっています。漫画は、『盆の国』などで知られる漫画家・スケラッコさんによる描き下ろしです。

テツローさんが作ってみた、「おつまみ実験日記」も6つの「軸」ごとに掲載されており、実践的かつ飲み仲間の台所を覗いているような楽しみがあります。

早くも「口に合わなかったものがない」と感嘆の声が届いているという本書。ぜひ簡単、おいしいおつまみで、家飲みを充実させてくださいね!

 

【著者プロフィール】

小田真規子
おだ・まきこ。料理研究家。栄養士。スタジオナッツ主宰。女子栄養大学短期大学部卒業後、香川調理製菓専門学校で製菓を学ぶ。1998年に独立し、スタジオナッツを設立。料理・生活雑誌にオリジナルレシピを発表する他、レシピ本の出版、企業への料理提案やアドバイス、レシピや商品の開発などに携わる。広告・宣伝用撮影現場のフードコーディネートやディレクションの実績も多数。『つくりおきおかずで朝つめるだけ! 弁当(1~5)』(扶桑社)など著書は100冊以上で、さまざまな料理のブームに先駆け出版し、ベストセラー多数。『一日がしあわせになる朝ごはん』(文響社)は料理レシピ本大賞in Japan 2016準大賞を受賞。

 

スケラッコ
漫画家。著書に『盆の国』『大きい犬』『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』(リイド社)、『バー・オクトパス』(竹書房)など。好きなお酒はビール。好きなおつまみは餃子とポテト。うどんも好きです。

▼スケラッコさんは、枝豆とフライドポテトで晩酌されています!