「谷川俊太郎」2024年ベストセラーランキング発表
1952年に発表された詩集『二十億光年の孤独』でデビューして以来、2024年11月に92歳で亡くなるまで第一線で活躍を続けた谷川俊太郎さん。多数の詩集、エッセイ集、絵本、童話、翻訳書を遺しただけでなく、脚本、作詞、写真集なども手掛けるなど、表現活動の場は多岐にわたりました。
高校時代に詩作を始め、21歳の時に発表された『二十億光年の孤独』は、三好達治が序文を寄せ、発表前から収録作の一部が『文學界』に掲載されるなど、当初から高い注目を集めていました。宇宙的な孤独と人間の存在を対比した詩として評価され、本作は谷川さんの代表作であるだけでなく、現代詩を代表する作品としていまなお広く読まれています。
その後も、「生きているということ いま生きているということ……」というフレーズが印象的な「生きる」や、世界各地の人々が“朝”をつないでいく「朝のリレー」など、2,000を優に超える、研ぎ澄まされながらも親しみやすい詩を生みだし続けた谷川さん。6月6日には、谷川さんがさいごに遺した詩「感謝」が含まれる詩集、『今日は昨日のつづき どこからか言葉が』が発売されています。
絵本の世界では、絵や写真を手掛けるさまざまなアーティストとともに200冊以上の絵本を制作。赤ちゃんから言葉遊びが楽しめる『もこ もこもこ』(絵:元永定正)や、友情や思いやりをテーマにした『ともだち』(絵:和田誠)など、多くの作品がロングセラーとして万人に愛されてきました。また、「へいわのボク」と「せんそうのボク」をシンプルなイラストともに見開きで対比させた『へいわとせんそう』(絵:Noritake)は、平和教育の面でも意義のある作品となっています。
1969年からは、スヌーピーで知られるアメリカの人気漫画『ピーナッツ(PEANUTS)』(著:チャールズ・M・シュルツ)の翻訳出版を開始し、55年にわたって携わるなど、数えきれないほどの業績を残した谷川さん。生きることのおもしろさや大変さ、命の尊さや死や戦争など、身近な歓びから哲学的、社会的なテーマまでを、言葉の力で、小さな子どもから大人まで、多くの人の心に届けてきました。
今回は、そんな谷川さんの作品で、2024年の販売冊数を集計したベストセラーランキングをお届けします。詩集やエッセイ、絵本、インタビューと多彩な著作をご紹介していますので、ランキングを参考に、ぜひ書店店頭で気になる1冊を手に取ってみてください。
※ランキングは2024年の販売冊数を集計しています(集計期間:2024/1/1~2024/12/31)
※日販調べ
2024年に一番人気の作品は…?!
谷川俊太郎さんの2024年に一番人気があった作品は、『ひとり暮らし』でした。
『ひとり暮らし』は、2010年に文庫版が刊行されたエッセイ集です。谷川さんが2024年に逝去された際には、書店でもたくさんの追悼コーナーが設けられました。その中で、詩人としてのみならず、その人生や思想などへも関心が高まったことからエッセイも多く手に取られ、今回のランキングでも2作がランクインしています。
本作は、「私」「言葉めぐり」「ある日」の3章で構成され、「どうせなら陽気に老いたい」という谷川さんが生きる歓びを語ったものや、詩の背景にある日常生活を綴った「ある日」など、味わい深いエッセイを多数収録。老いや孤独、死生観といった普遍的なテーマから日常までが、谷川さんらしいユーモアとてらいのない言葉で表されています。
一編一編は短いながらも、不世出の詩人のまなざしで日常や言葉をとらえた本作。静かで深い世界に浸ることのできる一冊です。
『ひとり暮らし』
著者:谷川俊太郎
発売日:2010年1月
発行所:新潮社
定価:737円(税込)
ISBN:9784101266237
結婚式より葬式が好きだ。葬式には未来がなくて過去しかないから気楽である――。毎日の生活のなかで、ふと思いを馳せる父と母、恋の味わい、詩と作者の関係、そして老いの面白味。悲しみも苦しみもあっていいから、歓びを失わずに死ぬまで生きたい。日常に湧きいづる歓びを愛でながら、絶えず人間という矛盾に満ちた存在に目をこらす、詩人の暮らし方。ユーモラスな名エッセイ。
(新潮社公式サイト『ひとり暮らし』より)
「谷川俊太郎」2024年 ベストセラーランキング第2位~第10位
第2位『もこ もこもこ』
- もこもこもこ
- 著者:谷川俊太郎 元永定正
- 発売日:1977年04月
- 発行所:文研出版
- 価格:1,650円(税込)
- ISBNコード:9784580813953
「もこもこもこ、にょきにょき」
みるまにふくれあがった大きなものは、突然パチンとはじけて......。子どもならではの感性が刺激される、定番の赤ちゃん絵本。読むたびに、新しい喜びや驚きが広がります。(文研出版公式サイト『もこ もこもこ』より)
第3位『ベージュ』
- ベージュ
- 著者:谷川俊太郎
- 発売日:2024年12月
- 発行所:新潮社
- 価格:506円(税込)
- ISBNコード:9784101266275
虚空に詩を捧げる/形ないものにひそむ/原初よりの力を信じて(「詩の捧げ物」)。弱冠18歳でのデビューから70余年。谷川俊太郎の詩は、私たちの傍らで歌い、囁き、描き、そしてただ在り続けた。第一詩集『二十億光年の孤独』以来、第一線で活躍する谷川がくりかえし言葉にしてきた、誕生と死。若さと老い。忘却の快感。そして、この世界の手触り。長い道のりを経て結実した、珠玉の31篇を収録。
(新潮社公式サイト『ベージュ』より)
第4位『二十億光年の孤独』
- 二十億光年の孤独
- 著者:谷川俊太郎 ウィリアム・I.エリオット 川村和夫
- 発売日:2008年02月
- 発行所:集英社
- 価格:726円(税込)
- ISBNコード:9784087462685
「二十億光年の孤独」「ネロ」「はる」「わたくしは」……
ひとりの少年が見つめた宇宙、孤独、そして未来――
半世紀を超えて輝き続けるデビュー詩集が初の文庫化!
詩人の原点。ひとりの少年が1対1で宇宙と向き合い生まれた、言葉のひとつぶひとつぶ。青春の孤独と未来を見つめ、今なお愛され続ける詩人の原点を英訳付の二カ国語版で初文庫化。著者18歳の時の自筆ノートを(一部)特別収録。
(集英社公式サイト『二十億光年の孤独』より)
第5位『生きてるってどういうこと?』
- 生きてるってどういうこと?
- 著者:谷川俊太郎 宮内ヨシオ
- 発売日:2024年04月
- 発行所:光文社
- 価格:1,800円(税込)
- ISBNコード:9784334102708
絵とことばを眺めていると元気になって生命力が上がるアート名言集。動物や植物たちの生命力を強く美しく精緻に描いた宮内ヨシオのイラストと、生きる力についてうたった谷川俊太郎のことばの奇跡のコラボ。
(光文社書籍情報サイト『生きてるってどういうこと?』より)
第6位『さよならは仮のことば―谷川俊太郎詩集―』
- さよならは仮のことば
- 著者:谷川俊太郎
- 発売日:2021年07月
- 発行所:新潮社
- 価格:649円(税込)
- ISBNコード:9784101266251
「僕はやっぱり歩いてゆくだろう……すべての新しいことを知るために/そして/すべての僕の質問に自ら答えるために」(「ネロ」)。19歳でデビュー以来、70年にわたって言葉の可能性を追求し続けてきた国民的詩人。国語教科書の定番「朝のリレー」「春に」、東日本大震災で話題となった「生きる」等、豊饒かつ多彩な作品群から代表作を含め独自に編集。その軌跡をたどり、珠玉を味わう決定版詩集。
(新潮社公式サイト『さよならは仮のことば―谷川俊太郎詩集―』より)
第7位『へいわとせんそう』
- へいわとせんそう
- 著者:谷川俊太郎 Noritake
- 発売日:2019年03月
- 発行所:ブロンズ新社
- 価格:1,320円(税込)
- ISBNコード:9784893096579
「へいわのボク」と「せんそうのボク」では、なにが変わるのだろう。同じ人やもの、場所を見開きごとに比べると違いが見えてくる。いま、子どもにも大人にも伝えたいメッセージ。
(ブロンズ新社公式サイト『へいわとせんそう』より)
第8位『自選 谷川俊太郎詩集』
- 谷川俊太郎詩集
- 著者:谷川俊太郎
- 発売日:2013年01月
- 発行所:岩波書店
- 価格:990円(税込)
- ISBNコード:9784003119211
デビュー以来、半世紀を超えて人々に喜びと感動をあたえてきた二千数百篇におよぶ全詩から、作者自身が厳選した173篇を収録。
(岩波書店公式サイト『自選 谷川俊太郎詩集』より)
第9位『からだに従う ベストエッセイ集』
- からだに従う
- 著者:谷川俊太郎
- 発売日:2024年06月
- 発行所:集英社
- 価格:792円(税込)
- ISBNコード:9784087446647
恋は大袈裟なものだが、誰もそれを笑うことはできない。
男女、生死、老い、社会など――。
瑞々しい感性とユーモアで綴る名エッセイ45編。楽しむことのできぬ精神はひよわだ、楽しむことを許さない文化は未熟だ。(「楽しむということ」より)。
恋、愛、結婚、欲望、男女の謎。
父、母、少年青年期、詩作の始まり、出会った人々。
生、死、沈黙、老い、社会、こだわりなど――。
存在の本質や愛の真髄に瑞々しい感性とユーモアで迫る名エッセイ45編。
「二十億光年の孤独」の鮮烈なデビューから70年余り、現役の世界的詩人の全作品から厳選した決定版随筆集。(集英社公式サイト『からだに従う ベストエッセイ集』より)
第10位『詩人なんて呼ばれて』
- 詩人なんて呼ばれて
- 著者:谷川俊太郎 尾崎真理子
- 発売日:2024年08月
- 発行所:新潮社
- 価格:1,045円(税込)
- ISBNコード:9784101266268
『二十億光年の孤独』刊行以降、常に日本語の可能性を拡げ続けてきた革新的詩人、谷川俊太郎。その70年以上にわたる創作生活の全てを、多彩な作品を交えて振り返る。哲学者・谷川徹三との父子関係、3人目の妻・佐野洋子との別れの真相、迫りくる老いと死への想い。長時間の入念なインタビューによって浮かび上がる詩人の素顔とは。文庫化にあたり大幅増補し、最新肉声を含めた新章を収録。
(新潮社公式サイト『詩人なんて呼ばれて』より)
著者のプロフィール
谷川俊太郎
たにかわ・しゅんたろう。(1931~2024)。1931年、東京生まれ。1950年『文學界』に「ネロ他五篇」を発表して注目を集め、1952年に第1詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以降、数千の詩を創作、海外でも評価が高まる。多数の詩集、エッセイ集、絵本、童話、翻訳書があり、脚本、作詞、写真集、ビデオなども手がける。1983年『日々の地図』で読売文学賞、1993年『世間知ラズ』で萩原朔太郎賞、2010年『トロムソコラージュ』で鮎川信夫賞、2016年『詩に就いて』で三好達治賞を受賞。ほか詩集に『六十二のソネット』『夜のミッキー・マウス』『虚空へ』、翻訳書に『あしながおじさん』『スイミー』『マザー・グース』、また尾崎真理子との共著『詩人なんて呼ばれて』など、著書多数。