4月に入り、話題が尽きない村上春樹さん。1年ぶりの新作発表や人気作品の文庫化、そして原作ドラマの放送など、注目度がますます高まっています。
そこで、村上さんの4月の注目トピックをまとめました。ぜひ、村上さんの多彩な世界に触れて、楽しんでみてください。
原作ドラマ「地震のあとで」が4月5日より放送中!
村上さんの連作短編集『神の子どもたちはみな踊る』を原作としたドラマ「地震のあとで」(NHK総合)が、4月5日(土)から放送されています。
阪神・淡路大震災から30年という節目に放送されるこの作品は、震災そのものではなく、その「あと」に残された人々の心の揺れや喪失感を静かに描き出しています。全4話のそれぞれの主人公を、岡田将生さん、鳴海唯さん、渡辺大知さん、佐藤浩市さんが演じています。
- 神の子どもたちはみな踊る
- 著者:村上春樹
- 発売日:2002年03月
- 発行所:新潮社
- 価格:693円(税込)
- ISBNコード:9784101001500
1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる……。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた――。深い闇の中に光を放つ6つの黙示録。
(新潮社公式サイト『神の子どもたちはみな踊る』より)
〉NHK公式サイト「地震のあとで」は、こちら
『新潮』5月号に、書き下ろし最新作を掲載!
村上さんの書き下ろし最新作「武蔵境のありくい」が、雑誌『新潮』2025年5月号(4月7日発売)に掲載されています。
本作は、2024年5月に刊行された『新潮』創刊120周年記念特大号(2024年6月号)に掲載され話題となった短篇「夏帆」の流れを引き継ぎながらも、独立した物語として楽しめる一作です。そして今回、『新潮』5月号にて全編が一挙に掲載されています。
また、村上さんの作品が原稿用紙100枚を超えるボリュームで文芸誌に発表されるのは非常に珍しく、中長篇が一挙掲載された例としては、「羊をめぐる冒険」(『群像』1982年8月号)以来のことです。
- 新潮 2025年 05月号
- 著者:
- 発売日:2025年04月07日
- 発行所:新潮社
- 価格:1,200円(税込)
- JANコード:4910049010556
■「武蔵境のありくい」内容紹介
絵本作家である夏帆はありくいの夫婦にうながされ、「文明の果つるところ」武蔵境へと引っ越した。
そこで彼女は、闇ルートを使って「シロアリの瓶詰め」を入手するという、危険な責務を負わされる。
密輸に関わる商店街の「とぎや」店主の正体は? そして、これは夢でないなら何なのか?
謎が謎を呼び、物語を追う夏帆の姿を通して創作の根源を見つめた重要作!(新潮社プレスリリースより)
NHK「100分de名著」で『ねじまき鳥クロニクル』を読み解く!
「100分de名著 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』」(NHK Eテレ)が、4月7日(月)より放送されています。
村上さんの長編小説『ねじまき鳥クロニクル』は、海外で村上文学が高く評価されるきっかけとなった作品です。この番組では、ロシア・東欧文学研究者で世界文学にくわしい沼野充義さんが、全4回にわたってその魅力を鮮やかに解説します。
- ねじまき鳥クロニクル 第1部 改版
- 著者:村上春樹
- 発売日:2010年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:880円(税込)
- ISBNコード:9784101001418
- ねじまき鳥クロニクル 第2部 改版
- 著者:村上春樹
- 発売日:2010年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:935円(税込)
- ISBNコード:9784101001425
- ねじまき鳥クロニクル 第3部 改版
- 著者:村上春樹
- 発売日:2010年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:1,155円(税込)
- ISBNコード:9784101001432
「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。「質問はしないで」と彼女は言った。「それから目も開けないでね。わかった?」僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。(本文より)
(新潮社公式サイト『ねじまき鳥クロニクル ―第1部 泥棒かささぎ編―』より)
■NHKテキストも発売中!放送とあわせて、お楽しみください
- 村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』
- 著者:沼野充義
- 発売日:2025年03月
- 発行所:NHK出版
- 価格:700円(税込)
- ISBNコード:9784142231744
ムラカミはなぜ世界を魅了するのか?
飼い猫の失踪をきっかけに、どこにでもある日常を生きる「僕」の毎日が一変する。「壁抜け」による時空の超越、凄惨な歴史の記憶、日常に潜む闇、解かれることのない謎――。作者自身が「意欲的な小説」と振り返る本作は、村上春樹を「世界文学」のステージへと押し上げた傑作と名高い。特異かつ難解なことで知られる物語世界に分け入り、卓抜な文学表現を味わいながら、「閉じない小説」の深層へと迫る。
(NHK出版公式サイト『100分de名著 村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」2025年4月』より)
〉NHK公式サイト「100分de名著」は、こちら
『街とその不確かな壁』が待望の文庫化!
村上さんが2023年に発表した長編小説『街とその不確かな壁』が文庫版となり、上下2巻で4月23日(水)に発売されます。この作品は、「2023年上半期ベストセラー」総合ランキング(日販調べ)で第1位となった話題作です。
村上さんは1980年に中編小説「街と、その不確かな壁」を発表し、さらに1985年にはそのテーマを発展させた壮大な長編『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(「谷崎潤一郎賞」受賞)を発表しました。この長編では、幻想世界と冒険活劇の二つのストーリーが展開されます。そこで描かれたのは、「世界の終り」の“街”でした。人々が影を持たない「謎めいた街」……。この作品は世界中の読者を魅了し、今もなお多くのファンに愛され続けています。
今回文庫化される『街とその不確かな壁』は、40年の歳月を経て、村上さんが自身の文学的原点である“街”に立ち戻り、新たな物語を構想し、完成させた渾身の小説となっています。
- 街とその不確かな壁(上) 文庫版
- 著者:村上春樹
- 発売日:2025年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:990円(税込)
- ISBNコード:9784101001784
- 街とその不確かな壁(下) 文庫版
- 著者:村上春樹
- 発売日:2025年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:935円(税込)
- ISBNコード:9784101001791
十七歳と十六歳の夏の夕暮れ、きみは川べりに腰を下ろし、“街”について語り出す――それが物語の始まりだった。高い壁と望楼に囲まれた遥か遠くの謎めいた街。そこに“本当のきみ”がいるという。〈古い夢〉が並ぶ図書館、石造りの三つの橋、針のない時計台、金雀児(えにしだ)の葉、角笛と金色の獣たち。だが、その街では人々は影を持たない……村上春樹が封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。
(新潮社公式サイト『街とその不確かな壁(上)』より)
■『街とその不確かな壁』関連作品
- 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻
- 著者:村上春樹
- 発売日:2010年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:935円(税込)
- ISBNコード:9784101001579
- 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻
- 著者:村上春樹
- 発売日:2010年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:825円(税込)
- ISBNコード:9784101001586
高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。
(新潮社公式サイト『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)』より)
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プロフィール
村上春樹
むらかみ・はるき。1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1979年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』(世界幻想文学大賞、ニューヨーク・タイムズThe 10 Best Books of 2005)、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、『騎士団長殺し』(第1部 顕れるイデア編、第2部 遷ろうメタファー編)がある。最新長編は『街とその不確かな壁』(2023)。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』などの短編小説集、『村上春樹雑文集』『ポートレイト・イン・ジャズ』等のエッセイ集、『辺境・近境』等の紀行文、カーヴァー、サリンジャー、チャンドラー、カポーティ、フィッツジェラルド、マッカラーズの翻訳作品など著書・訳書多数。海外での文学賞受賞も多く、2006年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、スペイン芸術文学勲章、2011年カタルーニャ国際賞、2014年ヴェルト文学賞、2016年ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞、2022年チノ・デルドゥカ世界賞(フランス)を受賞。2023年、スペインのアストゥリアス王女賞文学部門を受賞。2024年早稲田大学より名誉博士号授与、同年アメリカン・アカデミー・オブ・アチーブメントよりゴールデン・プレート授与、英国王立文学協会インターナショナル・ライターに選出。
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