「村上春樹」2024年書籍 ベストセラーランキング発表
1979年、『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞してデビューした村上春樹さん。以来、40年以上にわたってベストセラーを出し続け、国内外で多くの賞を受けるなど、日本を代表する作家として知られています。
リアルな中にもファンタジーの要素が溶け込んだ独特の世界観は多くの読者を魅了し、「ハルキスト」と呼ばれる熱心なファンを生み出しています。また、作品には孤独や疎外感を持つ登場人物たちが登場しますが、彼らの内面の葛藤や社会とのかかわりといったテーマも多くの共感を集めてきました。
細部まで磨かれた読みやすい文体ながら、“暗喩”や“象徴”が多くみられることも作品の特徴です。新刊が発売されるたびに、その小説の解釈についてさまざまな議論や考察が繰り広げられるのも、村上作品ならではの現象でしょう。
早くから翻訳にも取り組み、エッセイも人気の村上さん。旅や食、音楽や文学、映画などさまざまな文化への造詣も深く、そうした要素は物語とも深く関わっています。そんな、読みどころ満載の小説の数々は、きっと読むたびに発見があるはず。
今回は、多くの作品がロングセラーとなっている村上さんの書籍で、2024年の販売冊数を集計したベストセラーランキングをご紹介します。ランキングをご参考に、ぜひ書店店頭でお好みの1冊を手に取ってみてください。
※ランキングは2024年の販売冊数を集計しています(集計期間:2024/1/1~2024/12/31)
※シリーズ作品は一つにまとめて掲載しています
※日販調べ
2024年に一番人気の作品は…?!
村上春樹さんの書籍で2024年に一番人気があった作品は、『ノルウェイの森(上・下)』でした。
1987年に刊行された、村上さんの5作目となる長編小説で、単行本・文庫本などを含めた国内累計発行部数が1,000万部を超えている、村上さんの代表作のひとつです。タイトルの『ノルウェイの森』は、ビートルズの同名の曲から取られたもの。青春の喪失と再生がリアリズムに徹したスタイルで書かれており、刊行当時、村上さん自身が「100パーセントの恋愛小説」と帯文を寄せた作品です。
赤と緑のクリスマスカラーが印象的な表紙は、村上さん自身がデザインを手掛けたもの。本作は2010年の時点で36か国語に翻訳されており、「村上春樹」の名を国内のみならず世界的にも知らしめた作品となりました。
『ノルウェイの森(上)』『同(下)』
著者:村上春樹
発売日:2004年9月
発行所:講談社
定価:各715円(税込)
ISBN:㊤9784062748681、㊦9784062748698
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
(講談社BOOK倶楽部『ノルウェイの森(上)』より)
「村上春樹」2024年書籍 ベストセラーランキング第2位~第10位
第2位『一人称単数』
- 一人称単数
- 著者:村上春樹
- 発売日:2023年02月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:792円(税込)
- ISBNコード:9784167919948
ビートルズのLPを抱えて高校の廊下を歩いていた少女。
同じバイト先だった女性から送られてきた歌集の、今も記憶にあるいくつかの短歌。
鄙びた温泉宿で背中を流してくれた、年老いた猿の告白。
スーツを身に纏いネクタイを結んだ姿を鏡で映したときの違和感——。そこで何が起こり、何が起こらなかったのか? 驚きと謎を秘めた8篇。
(文藝春秋BOOKS『一人称単数』より)
第3位『風の歌を聴け』
- 風の歌を聴け
- 著者:村上春樹
- 発売日:2004年09月
- 発行所:講談社
- 価格:638円(税込)
- ISBNコード:9784062748704
1970年の夏、海辺の街に帰省した〈僕〉は、友人の〈鼠〉とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、〈僕〉の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。
(講談社BOOK倶楽部『風の歌を聴け』より)
第4位『海辺のカフカ(上・下)』
- 海辺のカフカ 上巻
- 著者:村上春樹
- 発売日:2005年03月
- 発行所:新潮社
- 価格:990円(税込)
- ISBNコード:9784101001548
- 海辺のカフカ 下巻
- 著者:村上春樹
- 発売日:2005年03月
- 発行所:新潮社
- 価格:1,045円(税込)
- ISBNコード:9784101001555
「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」――15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真……。
(新潮社公式サイト『海辺のカフカ(上)』より)
第5位『街とその不確かな壁』
- 街とその不確かな壁
- 著者:村上春樹
- 発売日:2023年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:2,970円(税込)
- ISBNコード:9784103534372
十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。彼女の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。何か大事な、言葉にはできないことを――高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。村上春樹が長く封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。
(新潮社公式サイト『街とその不確かな壁』より)
第6位『女のいない男たち』
- 女のいない男たち
- 著者:村上春樹
- 発売日:2016年10月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784167907082
第94回アカデミー賞国際長編映画賞受賞作『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督・脚本/西島秀俊・主演/2021年公開)原作。
舞台俳優・家福を苛みつづける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのか…(「ドライブ・マイ・カー」)。
妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい気配が包み、謎に追いかけられる(「木野」)。
ほか、「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「女のいない男たち」など。
封印されていた記憶の数々を解くには、今しかない――見慣れたはずのこの世界に潜む秘密を探る6つの物語。
(文藝春秋公式サイト『女のいない男たち』より)
第7位『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上・下)』
- 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻
- 著者:村上春樹
- 発売日:2010年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:935円(税込)
- ISBNコード:9784101001579
- 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻
- 著者:村上春樹
- 発売日:2010年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:825円(税込)
- ISBNコード:9784101001586
高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。
(新潮社公式サイト『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)』より)
第8位『スプートニクの恋人』
- スプートニクの恋人
- 著者:村上春樹
- 発売日:2001年04月
- 発行所:講談社
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784062731294
22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。――そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー!!
(講談社公式サイト『スプートニクの恋人』より)
第9位『螢・納屋を焼く・その他の短編』
- 螢/納屋を焼く/その他の短編 改版
- 著者:村上春樹
- 発売日:2010年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:605円(税込)
- ISBNコード:9784101001333
秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった……。もう戻っては来ないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。
(新潮社公式サイト『螢・納屋を焼く・その他の短編』より)
第10位『1Q84(1~6)』
- 1Q84 BOOK 1(4月ー6月) 前編
- 著者:村上春樹
- 発売日:2012年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:825円(税込)
- ISBNコード:9784101001593
1Q84年──私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。……ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。
(新潮社公式サイト『1Q84 BOOK1〈4月-6月〉前編』より)
著者のプロフィール
村上春樹
むらかみ・はるき。1949年京都生まれ。『風の歌を聴け』でデビュー。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』『アフターダーク』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』などの長編小説、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』などの短編小説集がある。『レイモンド・カーヴァー全集』、J.D.サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』、トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』、ジェフ・ダイヤー『バット・ビューティフル』など訳書多数。
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