人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

  1. HOME
  2. 本と人
  3. ほん
  4. NHK連続テレビ小説「虎に翼」の主人公のモデルとなった三淵嘉子が執筆した書籍を復刊『女性法律家 復刊版』

NHK連続テレビ小説「虎に翼」の主人公のモデルとなった三淵嘉子が執筆した書籍を復刊『女性法律家 復刊版』

今年4月1日(月)より放送が始まったNHK連続テレビ小説「虎に翼」の平均世帯視聴率が右肩上がりで最高記録を更新しています。第13回と第15回が16.9%と過去最高を記録していましたが、5月13日(月)に放送された第31回は17.1%(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)と最高記録を更新しました。

また、キャストたちの数々のシーンやセリフなどがXのトレンド入りを果たしたり、20~34歳の女性、いわゆるF1層の視聴者が他の朝ドラよりも多いなど、これまでの朝ドラ作品以上に「虎に翼」が注目を集めています。

NHK連続テレビ小説「虎に翼」概要

【内容】主演は伊藤沙莉。日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリー。困難な時代に立ち向かい、道なき道を切り開いてきた法曹たちの情熱あふれる姿を描く。
【作】吉田恵里香
【音楽】森優太
【主題歌】「さよーならまたいつか!」米津玄師
【語り】尾野真千子
【キャスト】伊藤沙莉 / 石田ゆり子 岡部たかし 仲野太賀 森田望智 上川周作 土居志央梨 桜井ユキ 平岩 紙 ハ・ヨンス 岩田剛典 戸塚純貴  松山ケンイチ 小林 薫

(NHK公式サイトより)

 

読者や書店からの問合せ殺到!40年以上の時を経て復刊

女優の伊藤沙莉さんが演じる「虎に翼」の主人公・猪爪寅子のモデルは、日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ女性・三淵嘉子さんです。三淵さんは明治大学女子部出身で、女性として初めて弁護士、判事、裁判所所長となった人物です。詳しいプロフィールは明治大学公式サイトへ。

6月18日(火)に有斐閣により復刊される『女性法律家 復刊版』は、その三淵さんが代表執筆者となり、総勢13人の女性法律家が、法曹の世界、そして自らの仕事や後進へ託した熱い想いを「自身の言葉」でつづった書です。

日本で男女雇用機会均等法が制定された1985年よりも前の1983年に本書は刊行されました。それから約40年の時を経て、このたび、「虎に翼」が大きな話題となる中、読者や書店などから本書の復刊を求める声が多数寄せられ、出版元の有斐閣は本書の復刊を決定されました。

 

本書「復刊にあたって」

三淵さん自身が書いた原稿が掲載されている書籍はとても珍しいそうです。「虎に翼」の関連書は多数出版されていますが、三淵さんの人となりが分かる本書を読めば、一層「虎に翼」を楽しむことできる一冊です。

ぜひ、書店店頭で手に取ってみてください。

『女性法律家 復刊版』

著者:三淵嘉子 (元裁判官、元弁護士)/執筆者代表
発売日:2024年6月18日
体裁:四六判並製カバー付・276ページ
発行所:有斐閣
価格:2,530円(税込)
ISBN:9784641126527

 

【目次】

Ⅰ 女性法律家の誕生とその歩み
1 私の歩んだ裁判官の道(三淵嘉子)
Ⅱ 裁判官・検察官の職務
2 女性法曹に開かれた裁判所の扉(永石泰子)
3 検事、国連そしてマスコミの世界へ 道なき道にいどむ(佐藤欣子)
Ⅲ さまざまの分野の弁護士活動
4 弁護士として32年(鍛冶千鶴子)
5 行きつくところまで行った借地のトラブル(山本清子)
6 多様な家庭紛争 解決へのたゆまぬ努力(宇野美喜子)
7 企業法務の実態(若菜允子)
8 無罪の判決を得るまで(土肥幸代)
9 問題児・素晴らしい活力の持主たち(石川恵美子)
10 働く人たちとともに(大脇雅子)
11 経済界における公正な競業秩序のために(松尾和子)
12 女性による女性のための法律事務所(笠原郁子)
13 ニューヨークの法律事務所の一員として(伊藤廸子)

 

本書「原版 はしがき」

復刊企画担当者のコメント

三淵先生は、本書刊行の1年後にこの世を去りました。

『女性法律家』所収の「私の歩んだ裁判官の道」は、三淵先生ご自身の人生を振り返って、最も心に残る熱い想いが凝縮された、まさに三淵先生の「自分史」とも言える文章だからこそ、伝わってくるものも多いのだと感じます。

今回、朝ドラの影響で、三淵先生の活躍が注目されていますが、三淵先生の後進として、同じフィールドで闘い続けてきた女性法律家の先生方の活躍ぶりも本当にカッコよく、ドラマティックです。

先生方が活躍された時代は、昭和・平成の時代でしたが、令和に生きる私たちにとっても「うんうん」と共感したり、思わず手をはたいてしまいたくなったり、ホロリとしてしまうような感動的なエピソードが盛りだくさん。
いつの時代も「真摯に頑張っている姿」というのは、人の心を打つものです。

『女性法律家』に執筆されている13名の先生方のエピソードが、今だからこそ、令和に生きる私たちの活力にもなると思います。