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大人も子どもも知っておきたい経済教養小説!「お金」の価値観を変えてくれる『きみのお金は誰のため』【総合4.0】

きみのお金は誰のため(東洋経済新報社)田内学

きみのお金は誰のため
著者:田内学
発売日:2023年10月
発行所:東洋経済新報社
価格:1,650円(税込)
ISBNコード:9784492047354

 

『きみのお金は誰のため』の要点

1.ボスは優斗に3つの謎をつきつける。その1つがお金に価値がないというものだ。しかし優斗はなかなか信じられない。そんな優斗にボスはトランプを使って、ただの紙切れが価値を持つ瞬間を見せるのだった。

2.お金の価値を知ると同時に、優斗はお金が人と人をつなげていることを知る。お金の先には必ず誰かの働きがある。お金のおかげで人々は支え合っているのである。

3.一見お金があれば何もかも解決できてしまうような気がする。しかし、ボスはお金に物事を解決する力はないと説明する。お金そのものは無力だ。優斗はそのことを納得することになる。

 

『きみのお金は誰のため』レビュー

お金。現代社会でそれを身近に感じない人はいない。誰もがその価値を知っているし、誰もがそれを追い求める。ほとんどの人はお金欲しさに労働し、給料としてお金をもらう。

しかし、立ち止まって考えてみる。お金とは一体何なのだろうか。汗水流して手に入れた一万円札。それ自体はただの紙切れのはずだ。なぜこんなものをもらって、人は喜ぶのだろうか。よくよく考えれば、私たちはお金について知らないことが多い。いや、自分がお金について無知なことすら気づかずに生きている。

本書は、我々がお金に対して抱いている誤解を解くところから始まる。お金にまつわる過大評価や幻想をいとも鮮やかに振り払うのだ。物語は主人公である優斗が、「ボス」からお金にかんする講義を受けることで進んでいく。経済や金融の前提知識は必要ない。中学生の優斗と同じ目線で、身近でわかりやすい例を通してお金への理解を深めることができる。

「お金自体に価値はない」。そう言われてもすぐには納得できず、異を唱える人が多いはずだ。詭弁だ。きれいごとだ。現実を見ろ。そんな言葉が脳裏を掠めるのも無理はない。しかし、本書を読み終わったらきっとこう思うはずだ。「たしかに、お金に価値はない」と。それほど本書は華麗に新たな視点をもたらしてくれる。お金は大事だ、お金がたくさん欲しいと思っている人にほど、本書をおすすめしたい。

 

『きみのお金は誰のため』が気になる方におすすめ

10歳から知っておきたいお金の心得
著者:八木陽子
発売日:2019年11月
発行所:えほんの杜
価格:1,650円(税込)
ISBNコード:9784904188569