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第1位『ホタルの嫁入り』の作家・橘オレコさん「愛が重い男子……好きですね(笑)」「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」受賞記念インタビュー

“コミックのプロ”である全国の書店員が、「たくさんの人にすすめたい漫画」「皆に読んでほしい漫画」として選んだ「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」が2月1日(木)に発表されました!

「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」結果一覧はこちら

19回目となる今回は、TVドラマ化もされた『プロミス・シンデレラ』の作者、橘オレコさんの最新作『ホタルの嫁入り』が第1位を獲得しました! 書店員からは、「(いい意味で)ちょっと愛が重すぎじゃありませんか?」「ヤバイ男にドキドキ……」と、主人公・進平の愛の重さに触れる推薦コメントが多数寄せられました。

今回は第1位受賞を記念して、『ホタルの嫁入り』の作者、橘オレコさんにお話を伺いました。

ホタルの嫁入り 第一巻
著者:橘オレコ
発売日:2023年06月
発行所:小学館
価格:715円(税込)
ISBNコード:9784098521470

あらすじ
時は明治。家名にも美貌にも恵まれるも、余命わずかと言われている伯爵令嬢・紗都子の夢は、家の利益になる結婚をすることだけ。突如、謎の殺し屋に命を狙われた紗都子は、その場を生き延びるために殺し屋・後藤進平に提案をする。「私と結婚してください――私と結婚すれば、全てが手に入ります!」その場限りの嘘のはずが、進平はとんでもなく愛が重い男で……この婚約から、逃げられない――!? 『プロミス・シンデレラ』の著者最新作! 愛が重い殺し屋×華族令嬢の契約結婚ラブサスペンス、開幕!

(小学館 公式サイト『ホタルの嫁入り(1)』より)

橘オレコ
2017年にマンガ雑誌アプリ「マンガワン」にて読み切り『主任様と新人くん』で商業デビュー。2018年1月から2022年3月まで、「マンガワン」と「裏サンデー」にて『プロミス・シンデレラ』を連載(単行本全16巻)。2018年6月から10月までは、pixivコミックにて同作のスピンオフ作品『#バツイチアラサー女子と男子高校生』も連載(単行本全1巻)。

 

サイコパスな殺し屋×お姫様の設定にどハマりして生まれた作品

――「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」第1位受賞、おめでとうございます。書店員の皆様からは、「進平の愛がとんでもなく歪んでて重い……好きです!」「紗都子は見た目は儚いけれど中身は強くてカッコイイ女性。判断力に痺れる!」などの声が寄せられました。まずはご感想をお聞かせください。

癖のある男の子と強気な女の子の組み合わせで、最初は楽しんでもらえるか不安でしたが、喜んでいただけてホッとしています。私自身は読者の方々と直に接することができる機会がないので、SNSなどで反響を感じてはいるのですが、重版がかかっても「本当にそんなに読んでいただけているのか……!?」と、どうしても実感が湧かないときもあるんです。そんな中、読者の方々と直に接している全国の書店員さんに「おすすめ」として選んでいただいたとのことで、本当にたくさんの方に読んでいただけているんだと安心するとともに、喜びがとても大きいです。

――『ホタルの嫁入り』の受賞について、この作品ならではの見どころを教えてください。

見どころ……全部です(笑)。アクションシーンは初めての経験でしたが、一生懸命描いています。荒々しい部分と繊細な部分を織り交ぜたような作品にしたいと思っているので、伝わっているとうれしいです。

――進平と紗都子について、殺し屋とお嬢様という、本来交わらない身分の設定にされたのは、なにか理由があったのでしょうか。

漫画や映画、ドラマなどのさまざまなコンテンツ上で、サイコパスな殺し屋×お姫様という設定にものすごくハマった時期があり、そこから影響を受けて描いてみることにしました。

――『ホタルの嫁入り』を描く中で、印象に残っているシーンとその理由をお聞かせください。

舟上バトルを繰り広げる、第17話ですかね。アクションシーンを描くのに資料を読んだり鏡を見たりモデルを使ったり……作画に時間がかかりました。それ以上に描きたい話はまだまだ先にあります。

 

進平は愛情を知らない子どものようなイメージ

――『幼なじみの英二くん』などにも共通しますが、進平から紗都子への愛のように、愛の重い男子が橘先生の作品には多いですよね。ここは橘先生の好みでしょうか。

愛が重い男子……好きですね(笑)。愛されたらうれしいじゃないですか。まぁでもどんなキャラにも“萌え”を見いだせるタイプなので、癖があればヤンデレじゃなくてもよかったんですけどね。

――ヒーローの進平は、紗都子に向けて狂気的なまでの愛を注ぐ一方、非常にピュアな愛情の示し方も見え隠れする点が魅力的だと感じます。進平を描かれる際に意識しているポイントをお聞かせください。

進平は試し行動ばかりして、相手の気持ちを確かめようとするんですが、愛情を知らない子どものようなイメージで描いています。

――対するヒロインの紗都子は、外見にも才能にも恵まれたお嬢様でありながら、読み進めるにつれて、それが努力によって培われてきたものだと分かる芯の強いキャラクターですね。彼女の強さを表現する際に、意識しているポイントをお聞かせください。

紗都子は育った環境により強くならざるをえなかった……と言いますか、強さの中に少しだけ脆さも混ざった女の子だということを意識して描いています。

――2人の関係は、第1話ラストの「私たち結婚しましょう!」から急速に動き出し、その後段々と思いを寄せるようになっていきますが、描いていて一番楽しかった2人の関係性のシーンを教えてください。

第2話が楽しかったかな。24〜25ページ目の音やセリフのない表現は一度やってみたかった描写で、その後の話でも何度か取り入れていますね。30ページ目の進平が紗都子を抱きしめて求婚するシーンは、ネーム(※漫画の設計図)では違った構図だったのですが、思い切って勝手に変更した覚えがあります。

 

表情は中途半端にしない、というこだわり

――第1話の進平の真っ黒な瞳や、第12話の「すごく綺麗だ」と言われる紗都子の瞳など、橘先生の瞳の描き方がとても印象的です。

ありがとうございます。目もこだわっていますが、表情なども楽しんで描いています。結構オーバーに描くことが多く、怖くしたいなら徹底的に怖くするなど、中途半端にしないことを心がけています。私自身の、0か100か……という極端な性格が影響しているのかな。

 

――第18話で進平が紗都子にキスする朝の布団のシーンなど、台詞のない場面でのドキドキ感もたまりません。

あのシーンは読む方にドキドキしていただきたかったので、うれしいです。

 

作品を描く中で、まずは自分が楽しむ

――橘先生は育児をきっかけに家で漫画を描くようになったとのことですが、もともと漫画はお好きでしたか? 漫画に限らず、お好きなもの・こと、ご自身の創作の源泉や、影響を受けていると思うものについてお聞かせください。

漫画が好きというよりは、絵を描くことが好きでした。幼いころから一人夢中で描いていましたが、中学、高校では部活が忙しく描かなくなって……。子どもを産んでから時間ができて、ふと思い出してまた描き始めたという感じです。漫画とはまったく関係のない趣味のおかげで、楽しく描けているのかなとも思います。最近では運動も好きですし、好きなものを食べに行くことや、あとギャンブルとか(笑)。

――コミック作品を描くにあたり、大切にされていることをお聞かせください。

まずは自分が楽しむことですかね。楽しんでいないとその感情が作品にダイレクトに出てしまうので。描くのがしんどいなと思い始めたら、思いきって休みをとったりします。

――最後に、作品を手に取っていただく読者の皆様へメッセージをお願いいたします。

いつも応援ありがとうございます。皆様のお手紙や感想、メッセージなど、すべて目を通させていただいております。今後も魂を込めて一生懸命描いていきたいと思いますので、どうぞ温かく見守っていてください。よろしくお願いいたします。

 

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