「柚月裕子」小説 2024年ベストセラーランキング発表
柚月裕子さんは、2008年に『臨床真理』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビューしました。以降、数々の賞を受賞し、今や日本のミステリー界で確固たる存在感を放っています。
柚月さんの作品は、単なる謎解きに留まらない、深く骨太な人間ドラマが息づいています。社会の不条理や人間の弱さ、あるいは内に秘めた強さや信念といった、私たちが日々直面するさまざまな感情や葛藤が、登場人物たちの言葉や行動を通してリアルに描かれています。
中でも、「孤狼の血」シリーズに代表されるような、警察と裏社会の攻防を描く硬派な世界観は、柚月作品ならではの魅力です。その描写はリアリティと迫力に満ちており、一度読み始めれば、物語の緊迫感に引き込まれて抜け出せなくなることでしょう。
柚月さんの創作の幅は広く、警察小説や法廷ミステリーはもちろん、将棋を題材にした作品や、近年では家族の絆を描いた物語まで手がけています。どの作品も、読者の予想をいい意味で裏切る展開や、読み終えた後に深い余韻を残すことで、多くの読者を魅了し続けています。
まだ柚月さんの作品を読んだことがない方も、心を揺さぶる物語の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
そこで今回は、2024年の販売冊数をもとに集計した、柚月さんの小説ベストセラーランキングをお届けします。各作品のあらすじもあわせてご紹介しますので、ランキングを参考に、ぜひ書店店頭で気になる1冊を手に取ってみてください。
※ランキングは2024年の販売冊数を集計しています(集計期間:2024/1/1~2024/12/31)
※シリーズ作品は一つにまとめています
※日販調べ
「柚月裕子」2024年に一番人気の作品は…?!
2024年にもっとも人気があった小説は、『朽ちないサクラ』に続くシリーズ2作目となる『月下のサクラ』でした。前作『朽ちないサクラ』は、杉咲花さん主演で映画化され、シリーズの累計発行部数は30万部を突破しました。
本シリーズは、主人公である森口泉が、警察組織の醜い闇に立ち向かう姿を描いた警察小説です。『朽ちないサクラ』では警察広報職員として事件の裏側に触れてきた森口泉が、『月下のサクラ』では念願の刑事となり、新たな事件に立ち向かいます。
◎柚月さんのインタビュー記事もチェック!
・不条理と戦う女性刑事を通して“人間”を描く|『月下のサクラ』柚月裕子インタビュー
『月下のサクラ』
著者:柚月裕子
発売日:2024年2月
発行所:徳間書店
定価:902円(税込)
ISBN:9784198949174
念願かない警察広報職員から刑事になった森口泉。記憶力や語学力を買われ、希望していた機動分析係へ配属された。自分の能力を最大限に発揮し、事件を解決に導く――。だが配属当日、会計課の金庫から約一億円が盗まれていることが発覚。メンバー総出で捜査を開始するが、犯行は内部の者である線が濃厚だった。署が混乱する中、さらに殺人事件も発生。組織の闇に泉の正義が揺れる。
(徳間書店公式サイト『月下のサクラ』より)
■シリーズ作品
- 朽ちないサクラ
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2018年03月
- 発行所:徳間書店
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784198943233
「柚月裕子」小説 2024年ベストセラーランキング
第2位『チョウセンアサガオの咲く夏』
- チョウセンアサガオの咲く夏
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2024年04月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784041143247
米崎地検の検事・佐方貞人の事務官をつとめる増田陽二。高校時代の柔道部の恩師の告別式で、旧友の伊達と再会した増田は、同じく同級生の木戸とその夜旧交を温める。増田にとって、伊達は柔道をやめずに済んだ恩人であり、ヒーローだった。だが、大阪で警察官になったという伊達には、ある秘密があった……。(「ヒーロー」)
〈佐方貞人〉シリーズスピンオフ作品をはじめ多ジャンル作を集めた、著者初のオムニバス短編集。
(KADOKAWA公式サイト『チョウセンアサガオの咲く夏』より)
第3位『ミカエルの鼓動』
- ミカエルの鼓動
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2024年10月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:1,001円(税込)
- ISBNコード:9784167922818
大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。
そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。大学病院の暗部を暴こうとする記者が、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。
二人の医師の「志」がぶつかり合い、大学病院の闇が浮かび上がる。命を救うための、正義とは――。
(文藝春秋公式サイト『ミカエルの鼓動』より)
第4位『風に立つ』
- 風に立つ
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2024年01月
- 発行所:中央公論新社
- 価格:1,980円(税込)
- ISBNコード:9784120057281
家族だから伝わらない想いがある――。非行少年を預かることになった不器用な父と子。『盤上の向日葵』の著者による、傑作家族小説。
(中央公論新社公式サイト『風に立つ』より)
第5位『あしたの君へ』
- あしたの君へ
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2019年11月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784167913779
裁判所職員採用試験に合格し、家裁調査官に採用された望月大地。
だが、採用されてから任官するまでの二年間――養成課程研修のあいだ、修習生は家庭調査官補・通称“カンポちゃん”と呼ばれる。
試験に合格した二人の同期とともに、九州の県庁所在地にある福森家裁に配属された大地は、当初は関係書類の記載や整理を主に行っていたが、今回、はじめて実際の少年事件を扱うことになっていた。
窃盗を犯した少女。ストーカー事案で逮捕された高校生。一見幸せそうに見えた夫婦。親権を争う父と母のどちらに着いていっていいのかわからない少年。
心を開かない相談者たちを相手に、彼は真実に辿り着き、手を差し伸べることができるのか――。
彼らの未来のため、悩み、成長する「カンポちゃん」の物語。(文藝春秋公式サイト『あしたの君へ』より)
第6位『慈雨』
- 慈雨
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2019年04月
- 発行所:集英社
- 価格:968円(税込)
- ISBNコード:9784087458589
警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。
(集英社公式サイト『慈雨』より)
第7位『盤上の向日葵』(上・下)
- 盤上の向日葵 上
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2020年09月
- 発行所:中央公論新社
- 価格:880円(税込)
- ISBNコード:9784122069404
- 盤上の向日葵 下
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2020年09月
- 発行所:中央公論新社
- 価格:858円(税込)
- ISBNコード:9784122069411
平成六年、夏。埼玉県の山中で白骨死体が発見された。遺留品は、名匠の将棋駒。叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志した新米刑事の佐野は、駒の足取りを追って日本各地に飛ぶ。折しも将棋界では、実業界から転身した異端の天才棋士・上条桂介が、世紀の一戦に挑もうとしていた。
(中央公論新社『盤上の向日葵(上)』特設ページより)
第8位『検事の信義』(「佐方貞人」シリーズ)
- 検事の信義
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2021年10月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784041115428
検事・佐方貞人は、亡くなった実業家の書斎から高級腕時計を盗んだ罪で起訴された男の裁判を担当していた。被告人は実業家の非嫡出子で腕時計は形見に貰ったと主張、それを裏付ける証拠も出てきて、佐方は異例の無罪論告をせざるを得なくなってしまう。なぜ被告人は決定的な証拠について黙っていたのか、佐方が辿り着いた驚愕の真相とは(「裁きを望む」)。
孤高の検事の気概と執念を描いた、心ふるわすリーガル・ミステリー!(KADOKAWA公式サイト『検事の信義』より)
■そのほかの「佐方貞人」シリーズ作品
- 最後の証人
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2018年06月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:638円(税込)
- ISBNコード:9784041066584
- 検事の本懐
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2018年07月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:770円(税込)
- ISBNコード:9784041066591
- 検事の死命
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2018年08月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:715円(税込)
- ISBNコード:9784041066607
第9位『暴虎の牙』(上・下)(「孤狼の血」シリーズ)
- 暴虎の牙 上
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2023年01月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:748円(税込)
- ISBNコード:9784041127568
- 暴虎の牙 下
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2023年01月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:792円(税込)
- ISBNコード:9784041127582
「極道がなんぼのもんじゃ!」博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原――。愚連隊「呉寅会」を束ねる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とカリスマ性で勢力を拡大していた。広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、その情報網から、呉寅会と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の臭いを嗅ぎ取る。賭場荒らし、シャブ強奪……酷薄な父からの幼少期のトラウマに苦しみ暴走を続ける沖を、大上は止められるのか?
(KADOKAWA公式サイト『暴虎の牙(上)』より)
■そのほかの「孤狼の血」シリーズ作品
- 孤狼の血
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2017年08月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:836円(税込)
- ISBNコード:9784041049549
- 凶犬の眼
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2020年03月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:858円(税込)
- ISBNコード:9784041088968
第10位『パレートの誤算』
- パレートの誤算
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2017年04月
- 発行所:祥伝社
- 価格:803円(税込)
- ISBNコード:9784396343002
ベテランケースワーカーの山川が殺された。新人職員の牧野聡美は彼のあとを継ぎ、生活保護受給世帯を訪問し支援を行うことに。仕事熱心で人望も厚い山川だったが、訪問先のアパートが燃え、焼け跡から撲殺死体で発見されていた。聡美は、受給者を訪ねるうちに山川がヤクザと不適切な関係を持っていた可能性に気付くが……。生活保護の闇に迫る、渾身の社会派ミステリー!
(祥伝社公式サイト『パレートの誤算』より)
第11位『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』
- 合理的にあり得ない
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2020年05月
- 発行所:講談社
- 価格:770円(税込)
- ISBNコード:9784065190654
上水流涼子は弁護士資格を剥奪された後、頭脳明晰な貴山を助手に探偵エージェンシーを運営。
金遣いが荒くなった妻に疑念を抱く夫、賭け将棋で必勝を期すヤクザ、野球賭博絡みのトラブルetc.。
欲に塗れた人物たちの難題を涼子は知略と美貌を武器に解決するが――。
著者の魅力全開、極上痛快エンターテインメント!(講談社公式サイト『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』より)
第12位『臨床真理』
- 臨床真理
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2019年09月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:836円(税込)
- ISBNコード:9784041083116
臨床心理士・佐久間美帆が担当した青年・藤木司は、人の感情が色でわかる「共感覚」を持っていた……。美帆は友人の警察官と共に、少女の死の真相に迫る! 著者のすべてが詰まった鮮烈なデビュー作!
(KADOKAWA公式サイト『臨床真理』より)
第13位『ウツボカズラの甘い息』
- ウツボカズラの甘い息
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2018年10月
- 発行所:幻冬舎
- 価格:1,023円(税込)
- ISBNコード:9784344428027
鎌倉で起きた殺人事件の容疑者として逮捕された主婦の高村文絵。無実を訴えるが、鍵を握る女性は姿を消していて――。全ては文絵の虚言か、悪女の企みか? 戦慄の犯罪小説。
(幻冬舎公式サイト『ウツボカズラの甘い息』より)
第14位『蟻の菜園 ―アントガーデン―』
- 蟻の菜園
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2019年06月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:836円(税込)
- ISBNコード:9784041066614
結婚詐欺容疑で介護士の冬香が逮捕された。婚活サイトで知り合った複数の男性が亡くなっていたのだ。美貌の冬香に関心を抱いたライターの由美が事件を追うと、冬香の意外な過去と素顔が明らかになり……。
(KADOKAWA公式サイト『蟻の菜園 ―アントガーデン―』より)
第15位『教誨』
- 教誨
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2022年11月
- 発行所:小学館
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784093866644
吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。響子は十年前、我が子も含む女児二人を殺めたとされた。香純は、響子の遺骨を三原家の墓におさめてもらうため、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。香純は、響子が最期に遺した言葉の真意を探るため、事件を知る関係者と面会を重ねてゆく。
(小学館公式サイト『教誨』より)
■文庫も発売中
- 教誨
- 著者:柚月裕子
- 発売日:2025年02月
- 発行所:小学館
- 価格:891円(税込)
- ISBNコード:9784094074338
第173回直木賞候補作『逃亡者は北へ向かう』
柚月裕子さんの最新刊『逃亡者は北へ向かう』が第173回直木賞候補にノミネートされました。
本作は、震災直後の東北を舞台に、殺人を犯して逃亡する青年と追う刑事の人生を描く長編小説です。ぜひ、本作もランキング作品とあわせて、チェックしてみてください。
〉第173回直木賞候補6作は、こちら
著者:柚月裕子
発売日:2025年2月
発行所:新潮社
定価:2,090円(税込)
ISBN:9784103561316
震災直後に殺人を犯し、死刑を覚悟しながらもある人物を探すため姿を消した青年・真柴亮。刑事の陣内康介は津波で娘を失いながらも容疑者を追う。ふたりはどこへ辿り着くのか──。『孤狼の血』『盤上の向日葵』の著者が地元・東北を舞台に描く震災クライムサスペンス。
(新潮社公式サイト『逃亡者は北へ向かう』より)
著者プロフィール
柚月裕子
ゆづき・ゆうこ。1968年、岩手県生まれ。2008年、『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。2013年、『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。2016年、『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。他に、『慈雨』『盤上の向日葵』『ミカエルの鼓動』『教誨』『風に立つ』など著書多数。
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