人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

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ゴールデンウィークは本屋巡りへ――知識や物語がつまった空間を楽しみませんか?

新年度が始まってそろそろひと月。年度のスタートに合わせ、新しいことを学びたい、趣味を広げたいなど、さまざまな思いを胸に抱いている人も多いのではないでしょうか。

まとまった休みが取れるゴールデンウィークは、そんな新しい挑戦を始めるのに絶好のチャンス。特に本屋は、さまざまなジャンルを網羅した、気軽に立ち寄れる知識や物語の宝庫であり、その場にいるだけでも新しい発見がある空間です。

このゴールデンウィークは、新しい知やカルチャーとの出合いを楽しむとともに、「本屋」という空間自体を楽しんでみてはいかがでしょうか?

今回は、そんな「本屋」にちなんだ雑誌や本をご紹介します。

 

伊坂幸太郎さんがPOP対決に挑戦!一穂ミチさん、凪良ゆうさんの書店短編も!

オール讀物 2025年 06月号
著者:
発売日:2025年04月22日
発行所:文藝春秋
価格:1,500円(税込)
JANコード:4910021030657

『オール讀物』5・6月号の特集は「本屋さんへ行こう!」。巻頭グラビアから始まる「伊坂幸太郎 vs 編集部 POP対決!」は、伊坂幸太郎さんとオール讀物編集部が、書店員さんにPOP作りを習って5書店で展開し、どちらが売上に貢献できたかを競うというもの。伊坂さん提案の本企画、POP作りの顛末と勝負の行方はいかに……!?

また、名物書店員による座談会「“街の本屋”はこう考える」や、一穂ミチさん、凪良ゆうさんの書店を舞台にした短編小説が掲載されるなど、本屋さんと本屋さんへの思いが詰まった特集となっています。

 

書店員の「売り場からベストセラーをつくる!」の思いがつまったブックガイド

本屋大賞 2025
著者:本の雑誌編集部
発売日:2025年04月
発行所:本の雑誌社
価格:880円(税込)
ISBNコード:9784860116026

先日、阿部暁子さんの『カフネ』が受賞し大きな話題となった「2025年本屋大賞」。同賞は、書店員有志の「売り場からベストセラーをつくる!」という強い思いで発案、運営され、今年で22回目を迎えました。

本と読者をもっとも身近に知る目利きの書店員たちによって選ばれた作品が、毎年多くの読者の心をつかんでいるのは、すでにみなさんがご存じのことでしょう。また、翻訳小説部門や、既刊の中から「時代を超えて残る本」や「今読み返しても面白いと書店員が思った本」を選ぶ発掘部門など、書店員が作る賞ならではの部門も設けられています。

『本屋大賞2025』は、受賞作品についてや作家の声とともに、書店員による推薦コメントが掲載されています。全国の書店員がどのような視点で本を選び、なぜその本を推しているのか、熱い思いとともに、小説の読み方が広がるブックガイドです。

【本屋大賞】関連記事はこちら

 

本屋と出版社を営む日々と「小さな本屋」への思い

本をともす
著者:小谷輝之
発売日:2025年03月
発行所:時事通信出版局
価格:2,200円(税込)
ISBNコード:9784788720152

『本をともす』は、出版社勤務を経て、東京・梅屋敷に、出版も行う新刊書店「葉々社」を開業した小谷輝之さんの日々の記録です。

本屋としての毎日や、ひとり出版社としての活動、双方を営む上で感じてきたこと、考えてきたことが思いを込めて綴られています。大型書店にも小さな本屋にも、それぞれの魅力があります。そこで働く人々の思いを受け取りに、さまざまな本屋に足を運んでみたくなるエッセイです。

 

江戸中期の出版人「蔦屋重三郎」とは

現在放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の主人公・蔦屋重三郎。彼は、江戸時代中期に活躍した出版人であり、書店業界にも多大な影響を与えた人物です。

貸本屋を営んでいた重三郎は、やがて本の編集や出版業へと事業を拡大。重三郎の営む「耕書堂」は、文化の発信地となりました。また、喜多川歌麿や東洲斎写楽などの浮世絵師を世に送り出した名プロデューサーでもあることから、「耕書堂」は書店としての機能だけでなく、作家や絵師が集う“サロン”となり、新たな作品の創出や江戸の文化発展に寄与しました。

この機会に、ぜひ蔦屋重三郎の活躍と、「文化を育てる場」としての書店のあり方について触れてみてはいかがでしょうか? 下記の特集では、大河ドラマを楽しみながら蔦屋重三郎について知ることができる、関連作品7作をご紹介しています。

 

戦後の書店史をたどり、出版流通の課題を考える

町の本屋はいかにしてつぶれてきたか
著者:飯田一史
発売日:2025年04月
発行所:平凡社
価格:1,320円(税込)
ISBNコード:9784582860795

近年特に、書店業界の厳しい状況がさまざまなニュースで報道されており、書店数の減少のみならず、「無書店市町村」の存在も懸念されています。それは、本屋に寄って、ゆっくりと本の背表紙を眺めつつ、偶然の出合いを楽しむという豊かな時間と読書体験が失われることにつながります。

『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』は、戦後の書店史をたどりながら、現在までの書店を取り巻く環境を詳らかにしています。著者はあとがきで「失われた書店の姿を描くことは、いまはまだ存在しない書店の姿をつくりだすことにつながると思う」と書いています。出版業界が変わろうとしているいま、新しい動きについても触れられた、諸問題に向き合わんとする一冊です。