「青山美智子」小説 2024年ベストセラーランキング発表
2017年に47歳で作家デビューを果たした青山美智子さん。デビュー作『木曜日にはココアを』は、心に温もりを届ける連作短編として多くの読者に愛され、第1回宮崎本大賞を受賞しました。
その後も本屋大賞で注目を集め続け、2021年に『お探しものは図書室まで』が第2位に輝いて以来、『赤と青とエスキース』、『月の立つ林で』、『リカバリー・カバヒコ』と次々にノミネート。そして、現在選考中の2025年本屋大賞の『人魚が逃げた』に至るまで、5年連続でノミネートされ続けています。
〉〉「2025年本屋大賞」ノミネート10作品は こちら
青山さんの作品は、日常の中にひそむ小さな幸せや、人と人との温かな絆を優しく描き出しています。登場人物の悩みや心の動きに深く共感でき、読者の心にそっと寄り添うような物語が魅力です。
小説は「連作短編」の形式を多く取り入れており、一見独立しているように見える物語が、読み進めるうちに登場人物や出来事を通じてつながっていきます。例えば、『赤と青とエスキース』では一枚の絵画が複数の人生を結びつけ、『人魚が逃げた』では現実と童話が交錯しながら伏線が見事に解き明かされていく過程が楽しめます。物語の伏線が一つに結ばれる瞬間は心に響きわたり、読了後も深い余韻に浸りながら、最初から最後まで読み返したくなるはずです。
そこで今回は、青山さんの小説で、2024年の販売冊数を集計したベストセラーランキングをお届けします。各作品のあらすじもあわせてご紹介しますので、ランキングを参考に、ぜひ書店店頭で気になる1冊を手に取ってみてください。
※ランキングは2024年の販売冊数を集計しています(集計期間:2024/1/1~2024/12/31)
※シリーズ作品は一つにまとめています
※日販調べ
「青山美智子」2024年に一番人気の作品は…?!
青山美智子さんの小説で、2024年に一番人気があった作品は、『お探し物は図書室まで』でした。
物語は、人生に悩む5人の登場人物が、町の小さな図書室を訪れることから始まります。それぞれ異なる悩みを抱えた彼らが、図書室の司書・小町さんが選んだ本とその“おまけ”に導かれ、自分の問題と向き合い、解決への一歩を見出していく、心温まる連作短編集です。
本作は、2021年の本屋大賞で第2位に輝いたほか、アメリカの雑誌『TIME』が選ぶ「2023年の必読書100冊」(THE 100 MUST-READ BOOKS OF 2023)にも選出されるなど、国際的にも高く評価されています。
発売日:2023年2月
発行所:ポプラ社
定価:814円(税込)
ISBN:9784591176016
「お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?」
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。
自分が本当に「探している物」に気がつき、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。(ポプラ社公式サイト『お探し物は図書室まで』より)
「青山美智子」小説 2024年ベストセラーランキング
第2位『赤と青とエスキース』
- 赤と青とエスキース
- 著者:青山美智子
- 発売日:2024年09月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:858円(税込)
- ISBNコード:9784569904238
メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……(「金魚とカワセミ」)。額縁工房に勤める空知は、仕事を淡々とこなす毎日に迷いを感じていた。そんな時、「エスキース」というタイトルの絵に出会い……(「東京タワーとアーツセンター」)。
一枚の絵画をめぐる、五つの愛の物語。彼らの想いが繋がる時、奇跡のような真実が現れる――。
著者新境地の傑作連作短編。(PHP研究所公式サイト『赤と青とエスキース』より)
第3位『木曜日にはココアを』(「マーブルカフェ」シリーズ)
- 木曜日にはココアを
- 著者:青山美智子
- 発売日:2019年08月
- 発行所:宝島社
- 価格:704円(税込)
- ISBNコード:9784800297129
川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。
そのカフェで出された一杯のココアから始まり、東京とシドニーをつないでいく12色のストーリー。卵焼き作る、ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる……。
小さな出来事がつながって、最後はひとりの命を救う――。あなたの心も救われるやさしい物語。
(宝島社公式サイト『木曜日にはココアを』より)
■そのほかの「マーブルカフェ」シリーズ作品
- 月曜日の抹茶カフェ
- 著者:青山美智子
- 発売日:2023年06月
- 発行所:宝島社
- 価格:760円(税込)
- ISBNコード:9784299044099
- いつもの木曜日
- 著者:青山美智子 田中達也
- 発売日:2022年09月
- 発行所:宝島社
- 価格:1,980円(税込)
- ISBNコード:9784299032812
第4位『リカバリー・カバヒコ』
- リカバリー・カバヒコ
- 著者:青山美智子
- 発売日:2023年09月
- 発行所:光文社
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784334100520
5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。
近くの日の出公園には古くから設置されているカバのアニマルライドがあり、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで“リカバリー・カバヒコ”。
アドヴァンス・ヒルに住まう人々は、それぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。
誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。(光文社『リカバリー・カバヒコ』特設サイトより)
第5位『人魚が逃げた』
- 人魚が逃げた
- 著者:青山美智子
- 発売日:2024年11月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784569857947
ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。
そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、娘と買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、高級クラブでママとして働くホステス。
銀座を訪れた5人を待ち受ける意外な運命とは。そして「王子」は人魚と再会できるのか。そもそも人魚はいるのか、いないのか……。
(PHP研究所公式サイト『人魚が逃げた』より)
第6位『猫のお告げは樹の下で』
- 猫のお告げは樹の下で
- 著者:青山美智子
- 発売日:2020年06月
- 発行所:宝島社
- 価格:770円(税込)
- ISBNコード:9784299005304
ふと立ち寄った神社で出会った、お尻に星のマークがついた猫――ミクジの葉っぱの「お告げ」が導く、7つのやさしい物語。
失恋した相手を忘れたい美容師、中学生の娘と仲良くなりたい父親、なりたいものが分からない就活生、夢を諦めるべきか迷う主婦……。なんでもない言葉が「お告げ」だと気づいたとき、思い悩む人たちの世界はガラッと変わっていく――。
あなたの心もあたたかくなる連作短編集。(宝島社公式サイト『猫のお告げは樹の下で』より)
第7位『ただいま神様当番』
- ただいま神様当番
- 著者:青山美智子
- 発売日:2022年05月
- 発行所:宝島社
- 価格:780円(税込)
- ISBNコード:9784299028853
ある朝目を覚ますと、腕に大きく「神様当番」という文字が! 突然現れた神様のお願いを叶えないと、その文字は消えないようで……?
幸せの順番待ちに疲れたOL、弟にうんざりしている小学生の女の子、リア充と思われたい男子高校生、乱れた日本語に悩まされる外国人教師、部下が気に入らないワンマン社長。ムフフと笑ってほろりと泣ける、5つのあたたかい物語。(宝島社公式サイト『ただいま神様当番』より)
第8位『鎌倉うずまき案内所』
- 鎌倉うずまき案内所
- 著者:青山美智子
- 発売日:2021年04月
- 発行所:宝島社
- 価格:825円(税込)
- ISBNコード:9784299014900
古ぼけた時計店の地下にある「鎌倉うずまき案内所」。そこには、双子のおじいさんとなぜかアンモナイトが待っていて……。
会社を辞めたい20代男子。ユーチューバーを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。孤立したくない中学生。40歳を過ぎた売れない脚本家。ひっそりと暮らす古書店の店主。平成を6年ごとにさかのぼりながら、悩める人びとが「気づくこと」でやさしく強くなる――。ほんの少しの奇跡の物語。(宝島社公式サイト『鎌倉うずまき案内所』より)
第9位『月の立つ林で』
- 月の立つ林で
- 著者:青山美智子
- 発売日:2022年11月
- 発行所:ポプラ社
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784591175354
長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家。
つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。
月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの思いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく――。(ポプラ社公式サイト『月の立つ林で』より)
第10位『マイ・プレゼント』(「プレゼント」シリーズ)
- マイ・プレゼント
- 著者:青山美智子 Uーku
- 発売日:2022年07月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784569852232
本書は、新進気鋭の水彩作家・U-ku(ゆーく)氏のアートから受けるインスピレーションをもとに、ハートフル小説の旗手・青山美智子氏が短い物語を綴った特別な作品集。
読む人によっても、読むタイミングによっても、まったく違う景色を見せてくれる本書の中には、今のあなただけが受け取れる、何かのヒントが詰まっているかも。
大切な人への贈り物にもぴったりな珠玉の一冊です。
(PHP研究所公式サイト『マイ・プレゼント』より)
■そのほかの「プレゼント」シリーズ作品
- ユア・プレゼント
- 著者:青山美智子 Uーku
- 発売日:2022年12月
- 発行所:PHP研究所
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784569853550
青山美智子×ミニチュア写真家・田中達也のコラボ小説『遊園地ぐるぐるめ』が発売!
青山美智子さんと、Instagramで390万人以上のフォロワーを誇るミニチュア写真家・見立て作家の田中達也さんがコラボした小説『遊園地ぐるぐるめ』が、3月5日(水)に発売されました。
本作は、田中さんのミニチュア作品にインスパイアされた青山さんが物語を書き、その物語を読んだ田中さんがさらに新たな作品を生み出すという、遊び心あふれる連作短編小説です。2人の豊かな想像力が織りなす幸福感たっぷりの一冊ですので、ぜひ書店で手に取って、楽しい時間をお過ごしください。
著者:青山美智子、田中達也
発売日:2025年3月
発行所:ポプラ社
定価:1,870円(税込)
ISBN:9784591185711
〈あらすじ〉
日常をちょっと一休み。
ワクワクのつまったワンダーランドへようこそ。
とある町にある「遊園地ぐるぐるめ」に訪れた6人のお客さんとそして――。
忙しい日常、悩みの多い毎日をつかの間忘れて、アトラクションを全力で楽しめば、悩みも不安も、新たな心持ちで向き合える。
自分の中にある「楽しむ」心を取り戻す、喜びでいっぱいに満たされる連作短編小説です。
『遊園地ぐるぐるめ』刊行記念!特別トークイベント開催
『遊園地ぐるぐるめ』の刊行を記念して、青山美智子さんと田中達也さんによる特別トークイベントが、3月20日(木・祝)に開催されます。これまでも青山さんの小説の装丁を手がけてきた田中さんですが、今回、お二人が揃ってトークイベントに登場するのは初めてです。
お二人の出会いのエピソードから、トップクリエイター同士のコラボレーションだからこそ生まれたインスピレーションまで、創作の裏話を楽しく語っていただきます。ぜひ、この貴重な機会にご参加ください。
◆イベント概要
・登壇者:青山美智子、田中達也
・日時:3月20日(木・祝) 開演17:00 トークイベント終了18:30 お渡し会終了 20:00
・場所:日販グループ「オチャノバ」
・アクセス:〒101-8710 東京都千代田区神田駿河台4-3 新お茶の水ビルディング7F
・主催:ポプラ社/日販
・問い合わせ:ポプラ社(poplar_event@poplar.co.jp)・定員:80名
※当イベントは、リアル会場とオンライン配信で開催します〈会場チケット抽選申込専用ページ〉https://poplar-yuenchi-cyusen.peatix.com/
〈オンラインチケット申込ページ〉https://poplar-yuenchi-online.peatix.com/
著者のプロフィール
青山美智子
あおやま・みちこ。1970年生まれ、愛知県出身。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系の新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。デビュー作『木曜日にはココアを』で第1回宮崎本大賞受賞。『猫のお告げは樹の下で』は第13回天竜文学賞受賞。『お探し物は図書室まで』『赤と青とエスキース』で2021・2022年本屋大賞第2位。『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』も本屋大賞にノミネートされ、4年連続ノミネートとなる。また、『お探し物は図書室まで』は、米『TIME』誌が発表する「2023年の必読書100冊」に、唯一の日本人作家の作品として選ばれた。他の著書に『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』『いつもの木曜日』『ユア・プレゼント』など。
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