9月1日は防災の日 本から始める、もしもの備え
9月1日は「防災の日」です。地震や台風など、いつ起こるかわからない災害に備えて、日頃からできることを考えるきっかけとなる日です。
防災というと、非常食や防災グッズを準備することを思い浮かべがちですが、まずは「知ること」も大切な備えのひとつです。
ほんのひきだしでは、家族みんなで防災について考えるきっかけになる本を集めました。
今回は『未来へ繋ぐ災害対策 科学と政治と社会の協働のために』(有斐閣)をご紹介します。
過去の失敗を繰り返すことなく、教訓を未来へ繋ぐために必要な災害対策のパラダイム・シフトを提示する1冊です。
ぜひ書店店頭で手に取ってみてください。

『未来へ繋ぐ災害対策 科学と政治と社会の協働のために』
著者:松岡俊二、阪本真由美、寿楽浩太、寺本剛、秋光信佳
発売日:2022年12月
発行所:有斐閣
定価:2,970円(税込)
ISBN:9784641174801
【章立て】
序章 災害対策のパラダイム・シフト──科学と政治と社会の協働
第I部 教訓を過去から引き出す
第1章 地震・津波災害──東日本大震災における「想定外」
第2章 原子力災害──福島原発事故と安全神話
第3章 感染症災害──科学的予測と助言をめぐるすれ違い
第4章 気候変動災害──災害リスクの認識はなぜ難しいのかコラム①地震動予測と不確実性/コラム②広島市の防災対策──2018年7月豪雨の経験と教訓
第II部 教訓を未来へ繋ぐ
第5章 災害対策の倫理──何を優先すべきか
第6章 災害の記録と記憶──何が語り継がれるのか
第7章 科学技術への期待と限界──ウイルスの正しい知識と感染症対策の教訓
第8章 科学と政治と社会の協働──「対話の場」=「学びの場」の形成コラム③集合的記憶──1995年の阪神・淡路大震災から
終章 歴史の教訓を未来へ繋ぐ──エンパシーと境界知作業者
「想定外」を繰り返さないために、災害対策を根本から問い直す
地震・津波、原発事故、新型コロナ、気候変動など、私たちは、これまでの考え方だけでは対応しきれない、さまざまな危機に直面しています。
本書では、過去の災害を取り上げながら、これまでの災害対策をあらためて見つめ直します。「想定外」はなぜ起きるのか、安全神話はなぜ生まれるのでしょうか。過去の災害で何が起こり、そこから何を学ぶことができるのかを丁寧にたどりながら、その経験や教訓を次の災害に生かすために、これからどのような備えが必要なのかを考えていきます。

専門家任せにせず、みんなで考える災害対策へ
災害対策と聞くと、どこか「専門家や行政が考えること」のように感じるかもしれません。しかし、災害対策には科学だけでは答えを出せないことや、立場によって大切にしたいことが異なる問題もたくさんあります。
本書が提案するのは、専門家や行政だけに任せるのではなく、市民も加わって、ともに話し、考え、学び合うことです。それぞれの知識や経験を持ち寄り、違う立場の人の声にも耳を傾けながら、みんなが納得できる答えを探していき、これからの災害対策に必要な、新しい「考え方」を教えてくれます。

災害の経験と教訓を、未来へ繋ぐために
大きな災害が起こるたびに、さまざまな経験や教訓が積み重ねられてきました。しかし、それらを本当の意味で次の災害に生かすためには、何が必要なのでしょうか。
本書は、過去を振り返るだけでなく、そこから得た教訓を未来へ繋ぎ、災害対策や社会の仕組みそのものをよりよく変えていく道を探ります。その鍵となるのが、立場を超えた対話と学び合いです。災害対策を「誰かがするもの」ではなく、私たち自身がかかわるものとして捉え直し、未来のために何ができるかを考えさせてくれる一冊です。

【編集者のコメント】
本書は、災害対策の「正解」を提示するものではありません。唯一の正解がなく、簡単に解決のできない「厄介な問題」は、社会の議論が深まらずに、同じ「失敗」を繰り返していることを本書から学ぶことができます。専門家・行政・市民が対話を行い、お互いが納得しうる対策を導き出すためには何が求められているのか。それぞれが災害対策のパラダイム・シフトという挑戦に向けた一歩を踏み出すことを後押しする一冊です。
著者プロフィール
松岡俊二
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授(専攻:環境経済・政策学)
阪本真由美
兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授(専攻:防災学)
寿楽浩太
東京電機大学工学部教授(専攻:科学社会学)
寺本剛
中央大学理工学部教授(専攻:環境倫理学)
秋光信佳
東京大学アイソトープ総合センター教授(専攻:生物科学)
藤原広行
国立研究開発法人防災科学技術研究所マルチハザードリスク評価研究部門 部門長(専攻:応用地震学)
森渉
広島市危機管理室危機管理課課長補佐
高原耕平
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構人と防災未来センター研究部主任研究員(専攻:臨床哲学)
過去の記事はこちら
【9月1日は防災の日 「もしも」の前に読んでおきたい防災本特集vol.1】子どもと大人が一緒に楽しく学べる防災絵本『みんなでサバイブだ じしん・かざんのにほんでいきるきみへ』
【9月1日は防災の日 「もしも」の前に読んでおきたい防災本特集vol.2】地域ごとに自然災害とそれに対する防災のあり方を考えよう!『47都道府県・自然災害と防災百科』
【9月1日は防災の日 「もしも」の前に読んでおきたい防災本特集vol.3】もしものとき、映像は命を守れるのか『災害と映像 防災ドラマは社会を救えるのか』