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芥川賞作家・金原ひとみ『YABUNONAKA―ヤブノナカ―』が第79回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)を受賞!

金原ひとみ『YABUNONAKA―ヤブノナカ―』

金原ひとみの新たなる代表作

金原ひとみさんの小説『YABUNONAKA―ヤブノナカ―』が、第79回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)を受賞しました。毎日出版文化賞(1947年創設)は、毎年、優れた著作物や出版活動を顕彰している賞です。

芥川賞受賞作『蛇にピアス』から22年、本作は金原さんの新たなる代表作となっています。SNS、マッチングアプリ、#MeToo、そしてフェミニズム――急激な価値観の変容が生んだ歪みと真正面から格闘した、著者最長となる400字詰め原稿用紙1,000枚の大著であり、常に時代の変化を見据えてきた金原さんの集大成ともいえる、極めて強度の高い一作です。

本作のタイトルや構造は、芥川龍之介の短編『藪の中』から着想を得ています。一人称を切り替える多視点形式を採用し、それぞれの心情はこの上もなく濃密に提示されます。それによって、「同じ世界に生きているのにわかりあえない」人間の業の深さを鮮明に描き出しています。

多様性の一方で、主張の異なる者たちの分断が叫ばれる現代。ぜひ書店で手に取って、作品に触れてみてください。

 

金原ひとみさんの受賞コメント

金原ひとみ©文藝春秋

この本の刊行時のコメントとして、「変わりゆく時代を共にサバイブしよう」という言葉を書きました。この小説は、誰かを排除するためでも、誰かを貶めるためでも、誰かを断罪するためでも、誰かを救済するためでもなく、時代に翻弄される私たちが生き延びていくための手掛かりになる、地図のようなものを作りたいという思いから始まりました。

読むことで答えが得られるわけではないし、溜飲も下がらないけれど、濁流のような社会の変化の早さ無慈悲さに流されず、目を逸らしたくなる自他への嫌悪の中で立ち止まり、考え、顧み、想像し、検討する時間は手に入るのではないかと思います。

選考委員の皆さま、この本に携わってくれた全ての人、読んでくれた全ての人に感謝しています。本当にありがとうございました。

〈著者プロフィール〉
金原ひとみ

かねはら・ひとみ。作家。1983年生まれ。主な著書に『蛇にピアス』『アンソーシャル ディスタンス』など。

 

本作の推薦コメント

・朝井リョウさん(『フィガロジャポン』2025年9月号対談より抜粋)

金原さんの本って、耳元で怒鳴ってくれる。ラッパー金原ひとみ!


・山内マリコさん
(日本経済新聞書評)

前時代にいた自分を断罪し、潔く殺す。圧巻の大長編。

 

書誌情報

金原ひとみ『YABUNONAKA―ヤブノナカ―』『YABUNONAKA―ヤブノナカ―』
著者:金原ひとみ
発売日:2025年4月
発行所:文藝春秋
定価:2,420円(税込)
ISBN:9784163919683

文芸誌「叢雲(むらくも)」元編集長の木戸悠介、その息子で高校生の越山恵斗、編集部員の五松、五松が担当する小説家の長岡友梨奈、その恋人、別居中の夫、引きこもりの娘。ある女性がかつて木戸から性的搾取をされていたとネットで告発したことをきっかけに、加害者、被害者、その家族や周囲の日常が絡みあい、うねり、予想もつかないクライマックスへ——。

(文藝春秋公式サイト『YABUNONAKA―ヤブノナカ―』より)

 

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