目利き書店員が、いまもっとも売りたい徳間文庫の1冊を選ぶ「徳間文庫大賞2025」に、村山由佳さんの『雪のなまえ』が決定しました。高校入試に頻出する作品で、親子で読みたい感動の家族ドラマです。
受賞作品は、2025年11月頃から受賞記念帯に巻き替え、装いも新たに全国書店で展開される予定です。今後の新帯や書店展開情報などは「徳間文庫大賞」特設サイトに随時告知される予定です。
ぜひ、書店で手に取ってみてください。
『雪のなまえ』
著者:村山由佳
発売日:2023年12月
発行所:徳間書店
定価:902円(税込)
ISBN:9784198949082
「夢の田舎暮らし」を求めて父が突然会社を辞めた。いじめにあい登校できなくなった小学5年生の雪乃は、父とともに曾祖父母が住む長野で暮らし始め、仕事を続けたい母は東京に残ることになった。胸いっぱいに苦しさを抱えていても、雪乃は思いを吐き出すことができない。そんな雪乃の凍った心を溶かしてくれたのは、長野の大自然、地元の人々、そして同級生大輝との出会いだった――。
(徳間書店公式サイト『雪のなまえ』より)
「徳間文庫大賞2025」は、2023年10月~2025年3月に刊行された徳間文庫119作品の中から絞り込んだノミネート3作品の中から、有志書店員5人で構成する選考委員「徳間文庫大賞実行委員会」が得点形式で投票。その結果をもとに、8月に実行委員長2人が徳間書店会議室で約1時間にわたる討議を行い、大賞が決定されました。
村山由佳さんの受賞コメント
毎日、大地を相手にする仕事へと出かけてゆく読者さんたちに、また明日の朝が楽しみになるようなひとときを届けたくて書き綴った物語です。
国が〈農〉を大切にしなくなっている今だからこそなおさら、この作品で素晴らしい賞を頂けたことが嬉しくてなりません。
小学生の雪乃が、大自然と人に揉まれてつかみとった〈ほんとうのこと〉。あらためて、多くの皆さんのもとへ届きますように。
村山由佳(むらやま・ゆか) 1964年生まれ。立教大学卒業。
『天使の卵 エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞受賞。『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ、『Row&Row』『二人キリ』『PRIZE』など著書多数。またエッセイに『猫がいなけりゃ息もできない』『もみじの言いぶん』などがある。
【書店員のコメント】
・第7章のラストで頬が濡れに濡れた。本作に込められた優しさは、多くのひとに必要とされるものと断言!!(ときわ書房本店・宇田川拓也さん)
・色々つまっている作品。家族とは、社会とは、農業とは、いじめとは。読んでいてすごく心をうたれました。紹介していただき感謝です。彼らのこの後も気になります。 (八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店・狩野大樹さん)
徳間文庫大賞
2015 年、全国の書店員を中心に徳間文庫大賞実行委員会が創設されました。優れた小説を発表する作家を奨励し、毎年刊行された徳間文庫の中から、優れた作品に贈呈されます。
〈歴代受賞作品〉
【第1回】書下し部門『妖草師』(武内涼)/定番部門『先生のお庭番』(朝井まかて)
【第2回】『生きるぼくら』(原田マハ)
【第3回】『警視庁公安J』(鈴峯紅也)
【第4回】『二年半待て』(新津きよみ)
【第5回】『朽ちないサクラ』(柚月裕子)
【第6回】『痣』(伊岡瞬)
【第7回】『黙過』(下村敦史)
【第8回】『麻倉玲一は信頼できない語り手』(太田忠司)
【第9回】『歌舞伎座の怪紳士』(近藤史恵)
【第10回】『国道食堂 1st season』(小路幸也)/『月はまた昇る』(成田名璃子)