全72作品の中から、4種類の“こわい”種類別大賞が決定
7月1日(火)、日販図書館選書センター(以下、選書センター)が主催する「こわいほん大賞2025」の結果が発表されました。
「こわいほん大賞」は、選書センターのコンシェルジュが選出したノミネート作品の中から、全国の図書館関係者が「もっともこわい」と感じた本に投票し、大賞を決定する企画です。本企画が初開催された昨年、「こわい本は小中学生を中心に人気があるため、ノミネート作品を参考に購入したい」「毎年更新してほしい」と図書館員から多くの反響が寄せられました。2回目の開催となる本年は、72冊のこわい本がノミネートされ、「ぞわぞわ」「ひやひや」「びくっ」「どろどろ」の4部門において大賞が決定されました。
開催概要
■ノミネート図書
選書センターでの選書実績をもとに、選書センターのコンシェルジュが、「ぞわぞわ」「ひやひや」「びくっ」「どろどろ」の4つの“こわい”種類に分類、全72冊を選出
■ 投票参加者
全国の図書館関係者(501名)
■ 投票方法
ノミネート図書の中から“こわい”種類別に1人最大3冊ずつ投票
■ 投票期間
2025年5月7日(水)~6月13日(金)
投票結果
〈ぞわぞわ部門 大賞〉
著者:江戸川乱歩、イラスト:ホノジロトヲジ
発売日:2020年12月
発行所:立東舎 発売所:リットーミュージック
定価:1,980円(税込)
ISBN:9784845635641
人気シリーズ「乙女の本棚」第18弾は江戸川乱歩×イラストレーター・ホノジロトヲジのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。私の膝の上には、いろいろな人が入りかわり立ちかわり、腰をおろしました。
作家である佳子に届いた1通の手紙。「奥様」と始まるその文章には、ある椅子職人の生活が綴られていた。(立東舎公式サイト『人間椅子』より)
【ぞわぞわ部門大賞受賞のコメント】立東舎 編集担当者より
もはや「古典」とも言える江戸川乱歩の『人間椅子』ですが、この本にはホノジロトヲジさんによるイラストがたくさん収録されています。その美しさに魅了されたり、文章と見比べたり、色々な「ぞわぞわ」を味わってみてください。
【投票コメント】
「中学生の時、初めて読んで衝撃を受けました。それらしい椅子を見るたび、想像してゾワゾワすること、間違いなし!」(小学校司書)
「文豪の小説を美しいイラストで表現されていて、小説が苦手な中学生でも読みやすいと思う」(中学校司書)
〈ひやひや部門 大賞〉
原作:宮沢賢治、絵:スズキコージ
発売日:1988年5月
発行所:三起商行
定価:1,650円(税込)
ISBN:9784895881067
2人の紳士が山の中でたどり着いたのは一軒の西洋料理店、「山猫軒」。
お腹をすかせていた男たちはどんな料理が出てくるのか楽しみにしながら、扉に書かれた注文を受けていきます。
一体、扉の向こうには何があるのか!?
ページをめくる度に現れる注文の数々に興味をひかれずにはいられません! 教科書などに掲載されるなど、おなじみのこの名作にスズキコージによる不思議な雰囲気の絵が新しい風を吹き込みます。
改めて読み返してみると、驚くほどえほんの中へ引き込まれていきます。(ミキハウス公式サイト『注文の多い料理店』より)
【ひやひや部門大賞受賞のコメント】三起商行 出版部担当営業・清水剛さんより
「ミキハウスの宮沢賢治絵本シリーズ」第1作目で30年以上前に刊行した作品にもかかわらず、今尚色褪せず、こうして皆様に受け入れられた事が、絵と文が見事にマッチした素晴らしい作品である証明だと、改めて強く実感しました。
【投票コメント】
「子どもの頃初めて読んだ時から怖いといえばコレです。トラウマだったのが今ではクセになる怖さ」(小学校司書)
「定番だが、小学校1・2年で一度は読んでおいてほしい」(小学校司書)
〈びくっ部門 大賞〉
『こっちをみてる。』
作:となりそうしち、絵:伊藤潤二、編:東雅夫
発売日:2024年2月
発行所:岩崎書店
定価:1,760円(税込)
ISBN:9784265079599
世界中、顔、顔、顔…。誰も気づいてない。となりそうしち(怪談えほんコンテスト大賞受賞作)と伊藤潤二が描く、叫びたくなる恐怖。
(岩崎書店公式サイト『こっちをみてる。』より)
【びくっ部門大賞受賞のコメント】岩崎書店 担当編集者・堀内日出登巳さんより
となりそうしちさんは、この作品で「怪談えほんコンテスト」大賞を受賞してデビュー。一読したときから「絵はホラー漫画家の伊藤潤二さんに!」と感じた本格的怪異譚です。
その念願がかない、最高の一冊となりました。このたびはすてきな賞をありがとうございました。
【投票コメント】
「伊藤潤二さんの画力に脱帽です。素直に『怖ぇ』と実感する絵本ですね。子供向けだからといって妥協しないところが最高です」(図書館関係者)
「間違いなく一番怖いです」(小学校司書)
〈どろどろ部門 大賞〉
『二人一組になってください』
著者:木爾チレン
発売日:2024年9月
発行所:双葉社
定価:1,815円(税込)
ISBN:9784575247688
「このクラスには『いじめ』がありました。それは赦されるべきことではないし、いじめをした人間は死刑になるべきです」
とある女子高の卒業式直前、担任教師による【特別授業(ゲーム)】が始まった。突如開始されたデスゲームに27人全員が半信半疑だったが、余った生徒は左胸のコサージュの仕掛けにより無惨な死を遂げる。
自分が生き残るべき存在だと疑わない一軍、虚実の友情が入り混じる二軍、教室の最下層に生息し発言権のない三軍――。本当の友情とは?
無自覚の罪によるいじめとは何か?
生き残って卒業できるのは果たして誰か?(双葉社公式サイト『二人一組になってください』より)
【どろどろ部門大賞受賞のコメント】著者 木爾チレンさんより
素敵な賞に『二人一組になってください』を選んでいただき、ありがとうございます。
どろどろしているのは物語なのか、それとも私の心なのか。
書いていてわからなくなることもありますが、デスゲームならではのこわさの奥に、何か心に残るものがあれば、うれしいです。
【投票コメント】
「子どもたちからのリクエストが多かった。SNSで知って入れてほしいと言われた」(小学校司書)
「二人一組に込められた怖さがダントツ」(小学校司書)
日販図書館選書センターでの展示
日販図書館選書センターは、小中学校児童・生徒向けの図書を中心に約3万冊を常時取り揃え、学校図書館関係者の皆様が、実際に図書を手に取って選書できるセンターです。今回の「こわいほん大賞2025」のすべてのノミネート図書はもちろん、新刊の展示も充実させており、新しい本と出会う機会を常にご提供しています。ご来場の際には、気に入った図書を即時発注することも、選んだ本のリストをお持ち帰りいただくことも可能です。
司書資格を持ち専門知識を備えたコンシェルジュが常駐し、ご来場いただいた方との対話を通じて、ご希望のテーマでの選書のご提案から他校での展開事例のご紹介まで、それぞれのニーズに沿った選書をサポートします。
※日販図書館選書センターは、学校図書館関係者(司書・教員など)、公共図書館関係者、その他教育機関関係者の方がご利用いただけます
日販図書館選書センター概要
所在地:東京都千代田区麹町3-7-4 秩父屋ビル4階
電話:03-3288-5055
FAX:03-3288-5060
アクセス:東京メトロ有楽町線 麹町駅1番出口 徒歩5分
東京メトロ半蔵門線 半蔵門駅6番出口 徒歩5分
JR中央線 四ツ谷駅麹町口 徒歩10分
来場申込:事前予約制です。公式サイト【来場予約】よりお申込みください。
※年末年始、お盆時期、棚卸、図書入れ替えなど、臨時休業の場合があります。
営業時間などの詳細につきましては、【公式サイト】をご覧ください。
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