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第168回芥川賞、直木賞はともにダブル受賞!芥川賞に井戸川射子さん『この世の喜びよ』、佐藤厚志さん『荒地の家族』、直木賞に小川哲さん『地図と拳』、千早茜さん『しろがねの葉』

日本文学振興会は1月19日(木)、第168回芥川龍之介賞、直木三十五賞の選考会を東京・築地「新喜楽」で開き、芥川賞に井戸川射子さん『この世の喜びよ』、佐藤厚志さん『荒地の家族』、直木賞には小川哲さん『地図と拳』、千早茜さん『しろがねの葉』をそれぞれ選出しました。芥川賞の2人はともに初の候補で両賞ともダブル受賞となりました。

なお、芥川賞受賞作は、2月10日(金)発売の「文藝春秋」3月号に全文と選評を掲載。直木賞受賞作は、2月22日(水)発売の「オール讀物」3・4月合併号に作品の一部と選評が掲載されます。

贈呈式は、2月下旬に都内で行われます。

 

芥川賞

井戸川射子『この世の喜びよ』(初)

Ⓒ田中尚樹

いどがわ・いこ。1987年兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒。

この世の喜びよ
発売日:2022年11月
発行所:講談社
価格:1,650円(税込)
ISBN: 9784065296837

 

思い出すことは、世界に出会い直すこと。
最初の小説集『ここはとても速い川』が、キノベス!2022年10位、野間文芸新人賞受賞。注目の新鋭がはなつ、待望の第二小説集。

幼い娘たちとよく一緒に過ごしたショッピングセンター。喪服売り場で働く「あなた」は、フードコートの常連の少女と知り合う。言葉にならない感情を呼び覚ましていく表題作「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。

ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する主婦を描く「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が主人公の「キャンプ」を収録。

二人の目にはきっと、あなたの知らない景色が広がっている。あなたは頷いた。こうして分からなかった言葉があっても、聞き返さないようになっていく。(本書より)

(講談社公式サイト『この世の喜びよ』より)

〈主な作品〉
『する、されるユートピア』(青土社)
『ここはとても速い川』(講談社)
『遠景』(思潮社)

 

佐藤厚志『荒地の家族』(初)

Ⓒ新潮社

さとう・あつし。1982年2月9日宮城県仙台市生まれ。東北学院大学文学部英文学科卒業。仙台市在住、丸善仙台アエル店勤務。2017年、第49回新潮新人賞を「蛇沼」で受賞しデビュー。

荒地の家族
発売日:2023年01月
発行所:新潮社
価格:1,870円(税込)
ISBN:9784103541127

 

元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点か――。40歳の植木職人・坂井祐治は、あの災厄の二年後に妻を病気で喪い、仕事道具もさらわれ苦しい日々を過ごす。地元の友人も、くすぶった境遇には変わりない。誰もが何かを失い、元の生活には決して戻らない。仙台在住の書店員作家が描く、止むことのない渇きと痛み。

(新潮社公式サイト『荒地の家族』より)

〈主な作品〉
「蛇沼」2017年新潮11月号
「境界の円居」2020年小説すばる5月号=第3回仙台短編文学賞大賞受賞
『象の皮膚』(新潮社)=第34回三島由紀夫賞候補

第168回芥川龍之介賞候補作品
・安堂ホセ「ジャクソンひとり」(文藝冬季号)
・井戸川射子「この世の喜びよ」(群像7月号)
・グレゴリー・ケズナジャット「開墾地」(群像11月号)
・佐藤厚志「荒地の家族」(新潮12月号)
・鈴木涼美「グレイスレス」(文學界11月号)

 

直木賞

小川哲『地図と拳』(2回目)

おがわ・さとし。1986年12月25日生まれ。千葉県千葉市出身。東京大学教養学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。2015年『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビュー。

 


地図と拳
発売日:2022年06月
発行所:集英社
価格:2,420円(税込)
ISBN:9784087718010

日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。
奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。

(集英社公式サイト『地図と拳』より)

〈主な作品〉
『ユートロニカのこちら側』(早川書房)
『ゲームの王国(上・下)』(早川書房)=第38回日本SF大賞受賞、第31回山本周五郎賞受賞
『嘘と正典』(早川書房)=第162回直木賞候補
『君のクイズ』(朝日新聞出版)

 

千早茜『しろがねの葉』(3回目)

ちはや・あかね。1979年8月2日生まれ。立命館大学文学部卒。2008年「魚神(いおがみ)」で第21回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。

しろがねの葉
発売日:2022年09月
発行所:新潮社
価格:1,870円(税込)
ISBN:9784103341949

戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。

(新潮社公式サイト『しろがねの葉』より)

〈主な作品〉
『魚神』(集英社)=第37回泉鏡花文学賞受賞
『あとかた』(新潮社)=第20回島清恋愛文学賞受賞、第150回直木賞候補
『男ともだち』(文藝春秋)=第151回直木賞候補、第36回吉川英治文学新人賞候補
『透明な夜の香り』(集英社)=第6回渡辺淳一文学賞受賞
『ひきなみ』(KADOKAWA)=第12回山田風太郎賞候補、第38回織田作之助賞候補
『わるい食べもの』シリーズ(集英社)
『犬も食わない』(共著、新潮社)
『胃が合うふたり』(共著、新潮社)

 

第168回直木三十五賞候補作品
・一穂ミチ『光のとこにいてね』(文藝春秋)
・小川哲『地図と拳』(集英社)
・雫井脩介『クロコダイル・ティアーズ』(文藝春秋)
・千早茜『しろがねの葉』(新潮社)
・凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社)