12月12日(木)、日本文学振興会より第172回芥川龍之介賞の候補作が発表されました。
芥川賞とは:優秀な「純文学短編作品」に対して贈られる賞
芥川賞は、直木賞と同じく日本文学振興会が昭和10年に制定。新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品のうち最も優秀なものに贈られ(応募方式ではない)、主に無名もしくは新進の作家を対象としている。授賞は上半期・下半期の年2回。
選考委員は、小川洋子・奥泉光・川上弘美・川上未映子・島田雅彦・平野啓一郎・松浦寿輝・山田詠美・吉田修一の各氏。
第172回芥川龍之介賞候補作品
・安堂ホセ「DTOPIA」(文藝秋季号)
・鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」(小説トリッパー秋季号)
・竹中優子「ダンス」(新潮11月号)
・永方佑樹「字滑り」(文學界10月号)
・乗代雄介「二十四五」(群像12月号)
ノミネートされた5人のうち、安堂ホセさん、乗代雄介さん以外は初の候補入り。安藤さんは3度目、乗代さんは5度目の候補入りとなりました。
選考会は、2025年1月15日(水)に築地「新喜楽」にて開催。贈呈式は、2月下旬に都内で行われます。また受賞作は、2月10日(月)発売の『文藝春秋』3月号に全文と選評を掲載。直木賞受賞作は、2月21日(金)発売の『オール讀物』3・4月合併号に作品の一部と選評が掲載されます。
安堂ホセ「DTOPIA」(3回目)
©岩澤高雄
あんどう・ほせ 1994年東京都生まれ。2022年「ジャクソンひとり」で第59回文藝賞を受賞しデビュー。
〈主な作品〉
『迷彩色の男』(河出書房新社)=第45回野間文芸新人賞候補、第170回芥川賞候補
『ジャクソンひとり』(河出書房新社)=第168回芥川賞候補
鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」(初)
すずき・ゆうい。2001年5月23日生まれ。福島県郡山市出身。2024年、西南学院大学卒。2024年「人にはどれほどの本がいるか」で第10回林芙美子文学賞佳作を受賞。
〈主な作品〉
「人にはどれほどの本がいるか」=2024年小説トリッパー春季号
「ゲーテはすべてを言った」=2024年小説トリッパー秋季号
竹中優子「ダンス」(初)
©新潮社
たけなか・ゆうこ。1982年11月22日山口県下関市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2016年「輪をつくる」で第62回角川短歌賞受賞。2022年、第60回現代詩手帖賞受賞。2024年、投稿小説「ダンス」で第56回新潮新人賞を受賞。
〈主な作品〉
『輪をつくる』(KADOKAWA)=第23回現代短歌新人賞受賞、第48回現代歌人集会賞受賞
『冬が終わるとき』(思潮社)=第28回中原中也賞最終候補
『汐入町と洗濯機』(しろねこ社)
永方佑樹「字滑り」(初)
ながえ・ゆうき。東京都生まれ。〈詩〉をテキストのフォルムとしてだけではなく〈行為〉としてとらえ、水等の自然物やデジタル等を詩的メディアとして使用し、「詩を行為する」表現を国内外で展開(「Dialogue 対話-Voix 聲」:仏ポンピドゥ・センター企画「Jonas Mekas Poetry Day」2024等)。2019年、詩集『不在都市』で第30回歴程新鋭賞受賞。2022年秋、米国国務省教育文化局の助成でインターナショナル・ライティング・プログラム(IWP/アイオワ大学)に参加。2024年、初の中編小説「字滑り」を「文學界」に発表。
〈主な作品〉
『√3』(思潮社オンデマンド)
『不在都市』(思潮社)=第30回歴程新鋭賞受賞
乗代雄介「二十四五」(5回目)
のりしろ・ゆうすけ。1986年6月18日北海道江別市生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒。2015年「十七八より」で第58回群像新人文学賞を受賞しデビュー。2018年『本物の読書家』で第40回野間文芸新人賞、2021年『旅する練習』で第34回三島由紀夫賞を受賞。2022年、同作で第37回坪田譲治文学賞を受賞。2023年『それは誠』で第40回織田作之助賞受賞、2024年、同作で第74回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
〈主な作品〉
『十七八より』(講談社)
『本物の読書家』(講談社)=第40回野間文芸新人賞受賞
「未熟な同感者」=『本物の読書家』に併録
『最高の任務』(講談社)=第162回芥川賞候補
『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』(国書刊行会)
『旅する練習』(講談社)=第164回芥川賞候補、第34回三島由紀夫賞受賞、第37回坪田譲治文学賞受賞
『皆のあらばしり』(新潮社)=第166回芥川賞候補
『掠れうる星たちの実験』(国書刊行会)
『パパイヤ・ママイヤ』(小学館)
『それは誠』(文藝春秋)=第169回芥川賞候補、第40回織田作之助賞受賞、第74回芸術選奨文部科学大臣賞受賞
※直木賞候補作はこちら