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第171回芥川賞は朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』と松永K三蔵『バリ山行』、直木賞は一穂ミチ『ツミデミック』に決定

日本文学振興会は7月17日(水)、第171回芥川龍之介賞、直木三十五賞の選考会を東京・築地「新喜楽」で開き、芥川賞に朝比奈秋さん『サンショウウオの四十九日』と松永K三蔵さんの『バリ山行』、直木賞には一穂ミチさん『ツミデミック』をそれぞれ選出しました。芥川賞の朝比奈さんと松永さんはともに初候補でダブル受賞。直木賞の一穂さんは3回目の候補で受賞となりました。

なお、芥川賞受賞作は、8月9日(金)発売の『文藝春秋』9月号に全文と選評を掲載。直木賞受賞作は、8月22日(木)発売の『オール讀物』9・10月合併号に作品の一部と選評が掲載されます。
贈呈式は、8月下旬に都内で行われます。

 

芥川賞

朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』

©石渡朋

あさひな・あき。1981年生まれ。京都府出身。2021年「塩の道」で第7回林芙美子文学賞を受賞。2022年、同作を収録した単行本『私の盲端』でデビュー。

サンショウウオの四十九日
著者:朝比奈秋
発売日:2024年07月
発行所:新潮社
価格:1,870円(税込)
ISBNコード:9784103557319

周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。不思議なことはなにもない。けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか? そして今これを考えているのは誰なのか――三島賞受賞作『植物少女』の衝撃再び。最も注目される作家が医師としての経験と驚異の想像力で人生の普遍を描く、世界が初めて出会う物語。

(新潮社公式サイト『サンショウウオの四十九日』より)

〈主な作品〉
『植物少女』(朝日新聞出版)=第36回三島由紀夫賞受賞
『あなたの燃える左手で』(河出書房新社)=第51回泉鏡花文学賞、第45回野間文芸新人賞受賞

 

松永K三蔵『バリ山行』

まつなが・けー・さんぞう。1980年茨城県水戸市生まれ。関西学院大学卒。2021年「カメオ」で第64回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。

バリ山行
著者:松永K三蔵
発売日:2024年07月
発行所:講談社
価格:1,760円(税込)
ISBNコード:9784065369609

古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。

「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋)

会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。

(講談社BOOK倶楽部『バリ山行』より)

〈主な作品〉
「カメオ」(群像2021年7月号)

 

第171回芥川龍之介賞候補作品

・朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)
・尾崎世界観「転の声」(文學界6月号)
・坂崎かおる「海岸通り」(文學界2月号)
・向坂くじら「いなくなくならなくならないで」(文藝夏季号)
・松永K三蔵「バリ山行」(群像3月号)

 

直木賞

一穂ミチ『ツミデミック』

いちほ・みち。1978年1月生まれ。大阪府大阪市出身。関西大学卒。2007年『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。

ツミデミック
著者:一穂ミチ
発売日:2023年11月
発行所:光文社
価格:1,870円(税込)
ISBNコード:9784334101398

大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中に話しかけてきた女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗は――「違う羽の鳥」
調理師の職を失った恭一は、家に籠もりがち。ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣に住む老人からもらったという。翌日、恭一は得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れると――「特別縁故者」
渦中の人間の有様を描き取った、心震える全6話。

(光文社公式サイト『ツミデミック』より)

〈主な作品〉
『イエスかノーか半分か』(新書館ディアプラス文庫)
『スモールワールズ』(講談社)=第43回吉川英治文学新人賞受賞、第165回直木賞候補、第12回山田風太郎賞候補
『砂嵐に星屑』(幻冬舎)=第35回山本周五郎賞候補
『光のとこにいてね』(文藝春秋)=第168回直木賞候補

 

第171回直木三十五賞候補作品

・青崎有吾『地雷グリコ』(KADOKAWA)
・麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)
・一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)
・岩井圭也『われは熊楠』(文藝春秋)
・柚木麻子『あいにくあんたのためじゃない』(新潮社)

 

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