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2024年本屋大賞発表!!宮島未奈のデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』が受賞

4月10日(水)、東京・元赤坂の明治記念館において、2024年本屋大賞の発表、および贈賞式が開催されました。

今年で21回目となる本屋大賞を受賞したのは、宮島未奈さんのデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)です。

『成瀬は天下を取りにいく』
発行所:新潮社
発売日:2023年3月
判型:四六判
定価:1,705円(税込)
ISBN:9784103549512

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本屋大賞作家の看板、「身が引き締まる」と宮島未奈さん

第20回「R-18文学賞」で史上初のトリプル受賞(大賞、読者賞、友近賞)を果たした「ありがとう西武大津店」を含む、宮島未奈さんのデビュー作である『成瀬は天下を取りにいく』。第39回坪田譲治文学賞や第11回静岡書店大賞も受賞した話題作です。

▲受賞を喜ぶ宮島さん

受賞作の主人公・成瀬が結成するお笑いコンビ「ゼゼカラ」の舞台衣装を着て贈賞式に臨んだ宮島さんは、「『成瀬は天下を取りにいく』が本屋大賞のノミネート作品に選ばれてから滋賀県大津市はすごい盛り上がり」と本屋大賞の反響を披露。「私は本屋大賞はM-1グランプリのような賞だと思っています。M-1グランプリを勝ちとった人がM-1王者と呼ばれるように、この賞を受賞した作家は本屋大賞作家と呼ばれ、本屋大賞の看板を背負うことに身が引き締まる思いです」と心情を語りました。

また、作家デビューのきっかけとなった「R-18文学賞」について触れ、「当時、審査員を務めていた三浦しをんさんと辻村深月さんと同じ本屋大賞作家になれたのは光栄で奇跡のよう。来年の本屋大賞までの1年間は、今の私に想像できないことがたくさん起きると思いますが、成瀬と一緒なら大丈夫。『成瀬は天下を取りにいく』を読んでくださった皆さん、投票してくださった書店員の皆さま、ありがとうございます」とあいさつしました。

 

2024年本屋大賞

2024年本屋大賞は、全国の530書店の736人により一次投票が行われ、ノミネート10作品が決定。342書店の443人による二次投票を経て、大賞が決定しました。

大賞『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈(新潮社)
2位『水車小屋のネネ』津村記久子(毎日新聞出版)
3位『存在のすべてを』塩田武士(朝日新聞出版)
4位『スピノザの診察室』夏川草介(水鈴社発行/文藝春秋発売)
5位『レーエンデ国物語』多崎礼(講談社)
6位『黄色い家』川上未映子(中央公論新社)
7位『リカバリー・カバヒコ』青山美智子(光文社)
8位『星を編む』凪良ゆう(講談社)
9位『放課後ミステリクラブ (1)金魚の泳ぐプール事件』知念実希人(ライツ社)
10位『君が手にするはずだった黄金について』小川哲(新潮社)

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【2024年本屋大賞 実施概要】
■選考期間
2023年12月~2024年4月

■対象作品
2022年12月1日~2023年11月30日に刊行された(奥付に準拠)日本の小説
(判型問わず、オリジナルの小説)

■投票参加資格者
新刊を扱っている書店の店員であること
(オンライン書店店員、パート社員も含む)

■選考方法
(1)一次投票で一人3作品を選んで投票
(2)一次投票の上、集計結果上位10作品をノミネート本として発表
(3)二次投票はノミネート作品をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票
(4)二次投票の集計結果により大賞作品を決定
※『本の雑誌増刊 本屋大賞2024』にも宮島未奈さんの喜びの声や、各部門の投票結果の詳細が掲載されています

 

【翻訳小説部門】

2022年12月1日~2023年11月30日に日本で刊行された翻訳小説の中から、一人3作品までを投票し、集計して選ばれます。

今回は、本書が初の長編小説となる韓国の作家、ファン・ボルムさんの『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』 (牧野美加訳、集英社)が受賞しました。

ようこそ、ヒュナム洞書店へ
著:ファン・ボルム、訳:牧野美加
発売日:2023年9月
発行所:集英社
価格:2,640円(税込)
ISBN:9784087735246

 

▲ファン・ボルムさん

今回は翻訳部門開始以来、初めて贈賞式に作家が登壇。韓国から来日したファン・ボルムさんは「この作品が翻訳出版されると聞いて、日本でどう受け止めてくれるのか、気になっていました。ただ、この賞をいただけたということは、楽しんで読んでくれたということでもあり、とてもうれしく、ありがたく思います。この小説を書いているとき、ひとつの願いがありました。それは、ページを読み終えて本を閉じたあと、気持ちが安らいでほしいということです。この賞はとても私の応援となりました。これからも作家として生きていきたいです」などと本書への思いを語りました。

 

【発掘部門】

ジャンルを問わず、2022年11月30日以前に刊行された作品が対象。一次投票時に既刊本のお勧め本を1点投票。「本屋大賞」発表時に、「発掘部門」に投票された作品をリスト化して発表されます。

その中から、「これは!」と実行委員会が共感した1冊を選出した、2024年発掘部門「超発掘本!」には、井上夢人さんの『プラスティック』(講談社文庫)が選ばれました。

プラスティック
著者:井上夢人
発売日:2004年9月
発行所:講談社
価格:880円(税込)
ISBN:9784062748612

▲井上夢人さん

『プラスティック』が「超発掘本!」に選ばれた井上夢人さんは、「小説家はみな、自分の書いたものが多くの人に読んでもらえることを希望しています。同時になるべく長く読み継がれてほしいと考えています。ただ、多くの本では、そうは問屋が卸さない。本にしてもらっても1、2か月すると、作者に断りもなくすーーっと消えていく。それが今回、こういうかたちで30年前の本を掘り返していただき、日に当てていただけた。作家冥利に尽きる、とつくづく感じています」と喜びを語りました。