12月1日（金）、2023年の年間ベストセラー（日販調べ）が発表されました（集計期間：2022年11月22日～2023年11月21日）。

 

「コスパを重視した消費」「SNSを通じた購買行動」といった傾向が顕著

2023年の書籍購買傾向は、社会的な傾向と同じように「コスパを重視した消費」「SNSを通じた購買行動」といった傾向が顕著でした。

TikTokなどのSNSが、商品の比較や購入の検討において大きな影響力を発揮し、数ある書籍の中から話題の書籍を堅実に購入したいというコスパ意識を反映してか、テレビやSNSでの紹介、ランキングや賞で評価されたことをきっかけとして売上が大きく伸びる傾向がありました。

また、YouTuberが手掛けた書籍が上位にランクインするなど、動画コンテンツの影響力も健在でした。

総合ランキング部門

『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』が総合第1位に！

総合ランキングでは、『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』が第1位となり、2023年で一番売れた本となりました。

学参ジャンルの本としては初の総合第1位となる快挙で、2023年1月にテレビで取り上げられたことをきっかけに人気に火が付きました。その後も多数のメディアで取り上げられ、子どもが楽しく算数力を強化できることはもちろん、大人にとっても脳の体操として、圧倒的なわかりやすさと楽しさが話題になり、幅広い層に受け入れられました。

 

第2位は『大ピンチずかん』でした。次々と訪れるピンチをレベルの大きさや起こる頻度で分類し、子どもならではのユニークな視点で紹介した絵本で、大人も楽しめることから老若男女から人気を集めました。また、発売からわずか1年半で「第15回 MOE絵本屋さん大賞2022」「第6回 未来屋えほん大賞」「第13回 リブロ絵本大賞」など、絵本賞で8冠を達成したことでも話題となりました。

11月22日（水）には、続編の『大ピンチずかん2』も発売されています。

 

第3位と第4位には、ホラー作家でYouTuberでもある雨穴さんの『変な家』『変な絵』がランクインしました。Web記事発のオカルトミステリーで、X（旧Twitter）やYouTubeの動画が人気のきっかけとなりました。「変な家」のYouTube動画は再生回数1,500万回を超えています（2023年11月30日時点）。

『変な家』は実写映画化も決定し、間宮祥太朗さんと佐藤二朗さんのダブル主演で2024年3月に公開予定です。

 

第6位は、凪良ゆうさんの小説『汝、星のごとく』でした。凪良さんは、『流浪の月』で受賞した2020年本屋大賞に続き、本作で2023年本屋大賞を受賞しています。『汝、星のごとく』は、瀬戸内の島で出会った男女の約15年間を描いた恋愛小説で、数多の受賞、ノミネートを重ねた作品です。11月8日（水）には、その続編となる中編集『星を編む』が発売されました。

 

第7位は、タレント・俳優のMEGUMIさんが初めて手掛けた美容本『キレイはこれでつくれます』でした。自身が実践した1,000以上の美容法の中から、本当に効果があったものだけを厳選し紹介しています。SNSで取り上げられたことで、著者と同年代の女性のみならず、男性からも幅広く支持を集めました。

 

第9位の『パンどろぼう』は、2020年4月に刊行を開始した根強い人気の絵本シリーズ。第15位、第17位にも同シリーズの『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』『パンどろぼうとほっかほっカー』がランクインしました。キャラクターの見た目のインパクトやタイトルのキャッチーさ、ストーリーの展開やシュールな世界観など、子どもも大人も楽しめる要素が多いことが人気の理由です。書籍だけでなく、服や雑貨、食品などの関連グッズも多く発売されています。

 

第18位の『20代で得た知見』は、TikTokでのハッシュタグ投稿などで話題となり、10～20代の若い読者層とSNSの強い結びつきが表れています。

 

 

部門別ランキング

【単行本ビジネス】『頭のいい人が話す前に考えていること』が第1位に

第1位は『頭のいい人が話す前に考えていること』で、2020年の年間ベストセラーから3年連続第1位だった『人は話し方が9割』は第2位となりました。

『頭のいい人が話す前に考えていること』は、オンライン記事や新聞広告の効果とともに、ブルーを基調とした柔らかいデザインの表紙により、女性読者も取り込みました。

 

第3位の『とにかく仕組み化』は、『リーダーの仮面』『数値化の鬼』に続く、安藤広大さんのシリーズ第3弾の著書。累計発行部数は22万部で、シリーズ累計での発行部数は97万部を突破しています。

 

ビジネス書全体では、物価上昇や円安などによる将来への不安からか、引き続き資産形成・資産運用への関心の高さが感じられ、第5位に『本当の自由を手に入れる お金の大学』、第8位に『ジェイソン流お金の増やし方』、第9位に『1年で億り人になる』がランクインしています。

 

【写真集】『乃木坂46 遠藤さくら1st写真集 可憐』が堂々の第1位に

『乃木坂46 遠藤さくら1st写真集 可憐』が第1位でした。2023年12月発売のシングル「Monopoly」でもＷセンターを務めるなど、乃木坂46の中心的な人気メンバーである遠藤さくらさんの勢いもあり、2023年10月発売ながら第1位を獲得しました。

 

第2位には『齋藤飛鳥写真集 ミュージアム』がランクイン。2023年5月に乃木坂46の卒業コンサートを終えた齋藤飛鳥さんの、アイドル活動の集大成となった1冊です。

 

第3位には、男性5人組YouTuber・コムドットの写真集『コムドット写真集 JOURNEY 通常版』がランクインしました。本作は、2023年上半期ベストセラー（日販調べ）の写真集ジャンルで第1位を獲得していて、年間ランキングでも上位となりました。

 

【コミック】『呪術廻戦』が連覇達成！上位作品が不動の人気

2022年年間ベストセラー、2023年上半期ベストセラーのコミックジャンルで第1位だった『呪術廻戦』が、年間ベストセラーでも第1位となりました。2023年7月からは、原作屈指の人気エピソードである「懐玉・玉折」「渋谷事変」がTVアニメ化されています。

また、コミック全体では、『ONE PIECE』『SPY×FAMILY』『東京卍リベンジャーズ』など、2023年上半期ベストセラーと顔ぶれも順位も変動がなく、上位作品の不動の人気をうかがわせる結果となりました。