西加奈子さんが、コロナ禍の最中、滞在していたカナダでがんを宣告され、治療を終えるまでの約8か月間を綴った自身初のノンフィクション作品『くもをさがす』が、「書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト 2023」大賞を受賞しました。
- くもをさがす
- 著者:西加奈子
- 発売日:2023年04月
- 発行所:河出書房新社
- 価格:1,540円(税込)
- ISBNコード:9784309031019
2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。
カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。
切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作。(河出書房新社公式サイト『くもをさがす』より)
「書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト」は、昨年まで開催されていた「Yahoo!ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞」の意図を尊重する形で、今年初めて開催されたもの。丸善ジュンク堂書店が発起人となり、全国書店スタッフが「これぞベストノンフィクション」と推す作品を選ぶ賞として、実施されました。
丸善ジュンク堂書店の全スタッフを対象に行った投票結果から上位46作品をノミネート作品として選出し、9月1日から30日までの1か月間、同社および全国の書店スタッフによる投票を募り、『くもをさがす』が大賞に選ばれました。投票には合計約370名の書店員が参加しています。
全国の書店店頭では、10月26日(木)より、大賞作『くもをさがす』が展開されています。
▲写真はジュンク堂書店池袋本店
西加奈子さんからの受賞コメント
書き始めたとき、誰かに読ませるつもりはなく、もちろん出版の予定もありませんでした。今自分に起こっていることを見過ごしたくない、そして、自分自身と間違いなく目を合わせたい、そう思って書き始めたこの文章は、日々形を変え、発声し、生きようとし始めました。今、『くもをさがす』は、たくさんの方の声を得て、たくさんの方の視線を孕んで、ますます強く生きています。そうなるともう、これはすでに私だけのものではありません。私の、私だけのためにあったはずの言葉は、身体の境界を越え、あなたの力を借りて、今、私から離れた場所で、まっすぐに私を見つめています。この文章に、美しい命を与えてくださったことに、心から感謝します。
■西 加奈子(にし かなこ)プロフィール
1977年、イラン・テヘラン生れ。エジプトのカイロ、大阪で育つ。2004年に『あおい』でデビュー。2007年『通天閣』で織田作之助賞を受賞。2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞受賞。2015年に『サラバ』で直木賞を受賞。ほか著書に『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『ふる』『i』『夜が明ける』など。カナダでがんに罹患した際のことを記した『くもをさがす』を今年4月に刊行、29万部のベストセラーに。治療中に執筆していた短編をまとめた『わたしに会いたい』が11月2日刊行予定。
受賞記念のトークセッションが開催
受賞を記念して、西加奈子さんのトークセッションが開催されます。
当日の模様は、下記URLにて無料配信されます。
・聞き手:ジュンク堂書店池袋本店 市川真意さん
・開催日時:2023年11月16日(木) 19:00~20:00
・開催場所:youtubeのみ
〉https://youtube.com/live/Ws-lV6ho6gU?feature=share
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