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第169回芥川賞に市川沙央さん『ハンチバック』、直木賞は垣根涼介さん『極楽征夷大将軍』、永井紗耶子さん『木挽町のあだ討ち』のダブル受賞!

169回芥川賞・直木賞

日本文学振興会は7月19日(水)、第169回芥川龍之介賞、直木三十五賞の選考会を東京・築地「新喜楽」で開き、芥川賞に市川沙央さん『ハンチバック』、直木賞には垣根涼介さん『極楽征夷大将軍』、永井紗耶子さん『木挽町のあだ討ち』をそれぞれ選出しました。芥川賞の市川さんは初の候補で受賞、直木賞の垣根さんは3回目、永井さんは2回目で、直木賞はダブル受賞となりました。

なお、芥川賞受賞作は、8月10日(木)発売の「文藝春秋」9月号に全文と選評を掲載。直木賞受賞作は、8月22日(火)発売の「オール讀物」9・10月合併号に作品の一部と選評が掲載されます。

贈呈式は、8月下旬に都内で行われます。

 

芥川賞

市川沙央「ハンチバック」(初)

いちかわ・さおう。1979年生まれ。早稲田大学人間科学部(通信教育課程)卒。2023年「ハンチバッ
ク」で第128回文學界新人賞を受賞しデビュー。

ハンチバック
著者:市川沙央
発売日:2023年06月
発行所:文藝春秋
価格:1,430円(税込)
ISBNコード:9784163917122

井沢釈華(しゃか)の背骨は右肺を押しつぶす形で極度に湾曲し、歩道に靴底を引きずって歩くことをしなくなって、もうすぐ30年になる。

両親が終の棲家として遺したグループホームの、十畳ほどの部屋から釈華は、某有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とつぶやく。

ところがある日、グループホームのヘルパー・田中に、Twitterのアカウントを知られていることが発覚し——。

(文藝春秋BOOKS『ハンチバック』より)

〈主な作品〉
「ハンチバック」(文學界2023年5月号)

 

第169回芥川龍之介賞候補作品

・石田夏穂「我が手の太陽」(群像5月号)
・市川沙央「ハンチバック」(文學界5月号)
・児玉雨子「##NAME##(ネーム)」(文藝夏季号)
・千葉雅也「エレクトリック」(新潮2月号)
・乗代雄介「それは誠」(文學界6月号)

 

直木賞

垣根涼介『極楽征夷大将軍』(3回目)

かきね・りょうすけ。1966年4月27日長崎県諫早市生まれ。筑波大学卒。2000年「午前三時のルースタ 一」で第17回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞しデビュー。

極楽征夷大将軍
著者:垣根涼介
発売日:2023年05月
発行所:文藝春秋
価格:2,200円(税込)
ISBNコード:9784163916958

動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。
足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて後醍醐天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。
一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。

混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか?
幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。

(文藝春秋BOOKS『極楽征夷大将軍』より)

〈主な作品〉
『ワイルド・ソウル』(幻冬舎)=第6回大藪春彦賞、第25回吉川英治文学新人賞、第57回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞
『君たちに明日はない』(新潮社)=第18回山本周五郎賞受賞
『光秀の定理』(KADOKAWA)=第4回山田風太郎賞候補
『室町無頼』(新潮社)=第6回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞、週刊朝日「2016年歴史・時代小説ベスト10」第1位。第156回直木賞候補、第7回山田風太郎賞候補
『信長の原理』(KADOKAWA)=第9回山田風太郎賞候補、第160回直木賞候補

 

永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(2回目)

Ⓒ新潮社

ながい・さやこ。1977年生まれ。神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学文学部卒。2010年『絡繰り心中』で第11回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー(単行本は『恋の手本となりにけり』と改題し同年小学館刊)。

木挽町のあだ討ち
著者:永井紗耶子
発売日:2023年01月
発行所:新潮社
価格:1,870円(税込)
ISBNコード:9784103520238

ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙は多くの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者という侍が仇討ちの顛末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。

(新潮社公式サイト『木挽町のあだ討ち』より)

〈主な作品〉
『恋の手本となりにけり』(小学館、『絡繰り心中 部屋住み遠山金四郎』と改題の上、小学館文庫)
『旅立ち寿ぎ申し候』(小学館、『福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得』と改題の上、小学館文庫)
『帝都東京華族少女』(幻冬舎、のち加筆修正の上『華に影 令嬢は帝都に謎を追う』と改題し双葉文庫)
『広岡浅子という生き方』(洋泉社)
『横濱王』(小学館)
『大奥づとめ』(新潮社、『大奥づとめ よろずおつとめ申し候』と改題し新潮文庫)
『商う狼 江戸商人杉本茂十郎』(新潮社)=第40回新田次郎文学賞、第10回本屋が選ぶ時代小説大賞、第3回細谷正充賞受賞。第27回中山義秀文学賞候補
『女人入眼』(中央公論新社)=第167回直木賞候補
『木挽町のあだ討ち』(新潮社)=第36回山本周五郎賞受賞

 

第169回直木三十五賞候補作品

・冲方丁『骨灰』(KADOKAWA)
・垣根涼介『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)
・高野和明『踏切の幽霊』(文藝春秋)
・月村了衛『香港警察東京分室』(小学館)
・永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)

 

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