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「D4DJ」書店コラボキャンペーンを記念して、福島ノア役の佐藤日向さんにインタビュー 「自分の中の引き出しは読書から増えている」

6月16日(金)から、全国約400店舗で開催されている「D4DJ」書店コラボキャンペーンを記念し、プロジェクト内のユニット・Photon Maiden 福島ノア役の佐藤日向さんにインタビューしました。

 

〉〉「D4DJ」× 書店コラボ キャンペーン概要についてはこちら

 

読書が趣味である福島ノアさんと同じく、自身も「大の読書好き」である佐藤さんに、本や書店への思いや、D4DJの魅力を語っていただきました。

佐藤日向(さとう ひなた)
1998年12月23日生まれ。新潟県出身。
2010年4月~2014年3月まで、成長期限定ユニット「さくら学院」のメンバーとして活動。
主な出演作に『D4DJ』(福島ノア役)、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(星見純那役)など。
2023年6月には、舞台『セトウツミ』に出演し、TV、映画、舞台、声優とマルチに活躍する。
WEBザテレビジョンにて「佐藤日向の#砂糖図書館」を連載中。

 

書店の魅力は「性格が出るところ」

――このたびはインタビューを受けていただきありがとうございます。現在、「D4DJ」と書店のコラボキャンペーンが開催されていますが、佐藤さんはどんな時に書店に行かれるのでしょうか。

基本は、ふらっと立ち寄ることが多いです。ここの書店が有名だから行ってみようというよりは、降り立った駅に書店があるから寄ってみるという感じで、いろいろな本屋さんをまわっています。

――その時々に、その場所にある書店に行くというのはとてもよい楽しみ方ですね。

仕事で今まで行ったことのない駅に行く機会が多く、その先々で書店に足を運ぶのが好きです。舞台の稽古が始まる3時間前に書店に行ってゆっくり本を見たり、カフェが併設されている書店で本を買ってそこで読んでみたりするのが好きですね。

――今回のキャンペーンでは、「D4DJ」とのコラボということで、「書店で本を“ディグる”」をキーワードにしています。佐藤さんならではの本のディグり方(探し方)はありますか?

書店にある手書きのPOPが、すごく惹かれる内容や書き方だと、「こんなに褒めているならおもしろいんじゃないか」と思うので、つい手に取りがちです。

『盲目的な恋と友情』は初めて読んだ辻村深月さんの作品だったのですが、店頭で楽譜がデザインされた表紙に惹かれて手に取ったら、物語が思わぬ方向に展開していくおもしろさに衝撃を受けました。そこから辻村さんの作品を一気に読み始めたこともあり、とても印象的な書店での出合いだったと思っています。

盲目的な恋と友情
著者:辻村深月
発売日:2017年2月
発行所:新潮社
価格:649円(税込)
ISBN:9784101388823

 

 

――表紙やPOPを見て、ピンときたものを買うのが佐藤さんのディグり方ということですね。

20代になってから、好きな本の系統みたいなものは変わりましたね。それにあわせて書店で立ち寄るコーナーもちょっと変わって、よりジャンルの幅が広くなった感じがします。最近は、ホラーも好きなのだということに気付き始めました。たとえば、芦沢央さんの『火のないところに煙は』はホラーの要素が満載で、実体験のように書かれているのにフィクションであるという不思議な感覚が楽しめます。櫛木理宇さんも、『ホーンテッドキャンパス』シリーズから読み始めて、ホラー要素がめちゃくちゃおもしろいと感じています。

火のないところに煙は
著者:芦沢央
発売日:2021年7月
発行所:新潮社
価格:693円(税込)
ISBN:9784101014326

 

ホーンテッド・キャンパス
著者:櫛木理宇
発売日:2012年10月
発行所:KADOKAWA
価格:748円(税込)
ISBN:9784041005385

 

――逆に、事前に調べて本を買いに行くこともありますか?

最近では、私よりも本が好きな方と舞台で共演したのですが、楽屋で一緒だった時に本のお話をしたことがきっかけで、本をプレゼントしてくださったんです。「こういう本もあるんだ」という発見にもなりましたし、その方がInstagramに投稿している本をチェックしています。

――佐藤さんの思う、書店の魅力はどんなところでしょうか。

書店の魅力は立地やそこで働く書店員さんの考えなどが反映されて、そのお店独自の「性格が出るところ」ですかね。POPだったり、本の並べ方だったりにも性格や好みが出ていると思うので、自分と相性の良い書店さんを探して歩くのもおもしろいです。自分が立ち寄って、「こんなラインアップがあるんだ」と思える書店にはまた行きたくなります。

――自分との相性が良い書店を選ぶ、というのはすてきですね。

両親も本が好きだったので、子どものころから書店に連れて行ってもらっていました。当時は自分が「これがいい!」と思った本をリストアップして、よく家族みんなで週末に買いに行っていました。日常的に自分に合う書店を探すことが染みついているのかもしれないですね。

 

登場人物の中だったら、自分はどの役に当てはまるかというのを考えながら読んでいます

――好きな作家さんやジャンルはありますか?

先ほども紹介した通り、辻村深月さんの作品は好きでたくさん読んでいます。ファンレターも書いたことがあるくらい大好きですね。ジャンルで言えば、ホラーやミステリーが好きですが、幅広く読んでいます。最近は、読み終わった後にぼーっとしながら結末についてじっくり考えられる作品や、読了後の余韻を楽しめる作品が好きになりました。

――最近読んでおもしろかった作品はありますか?

自分が読んだ中でベストヒットというくらい好きなのは『ラブカは静かに弓を持つ』です。読んでいるだけで音楽が聞こえてくるような世界観が、今までの読書では体験してこなかったようなもので、おもしろかったです。嘘をつくことの苦しさや、女性のしたたかなところなども描かれていて、音楽のように全身で文章を浴びたい人にはぜひ読んでほしいです。

ラブカは静かに弓を持つ
著者:安壇美緒
発売日:2022年5月
発行所:集英社
価格:1,760円(税込)
ISBN:9784087717846

 

『JK、インドで常識ぶっ壊される』は、女子高生が実体験に基づいてこの本を書いたという事実がすごいなと思いましたね。私が旅行できる機会があまりない分、自分の知らない世界を知ることができることや、本を通して旅することができるのは、読書の魅力のひとつだと思います。

JK、インドで常識ぶっ壊される
著者:熊谷はるか
発売日:2021年12月
発行所:河出書房新社
価格:1,540円(税込)
ISBN:9784309030166

 

 

――これから読んでみたいジャンルはありますか?

翻訳された本を読むのがあまり得意ではないのですが、海外ミステリーを原文のまま読んでみることに挑戦したいですね。

滑舌のレッスンで「ロミオとジュリエット」の台詞を母音だけで読むというトレーニングをしていたのですが、その日本語が硬い文章で、難しいなと思ったんです。でも、私は日本にある海外の大学に通っていたこともあり、大学の授業で「ロミオとジュリエット」の原文は簡単だから読んでみてと言われ、読んでみたら本当に自分の英語力でも読めたんです。言葉の受け取り方は読み手によって違うと思うので、日本語に置き換えられていない原文を読んだらどういう印象になるのかなというのは気になりますね。

――レッスンでも本を読む機会があるということですが、読書が演技やお仕事の参考になることはありますか?

私のように演技の仕事をしていて、かつ読書が好きな人には「あるある」だと思うのですが、本を読んでいる時に、自分だったらどう演じるかとか、登場人物の中だったらどの役に当てはまるかというのを想像しながら読んでいます。台詞の部分などは結構大切に読んでいるので、自分の中の(演技の)引き出しは読書から増えている気がしますね。演技をするうえで、読書からしか得られない想像力があると感じていて、日常の中の小さな変動が人にとっては大切な事件になるとか、そういった感覚を本からもらっています。舞台に立たせていただく機会も多く、なるべくナチュラルなお芝居をしたいなと思っていることが、読書を続ける理由の一つでもあります。

 

書店には、自分をアシストしてくれる言葉たちがあふれています

――ご自身と同じく「読書が好き」な福島ノアさんに、ぜひ読んでほしい本はありますでしょうか。

『やなせたかし 明日をひらく言葉』は私が初めて読んだエッセイですが、「これから何に挑戦するにも、年齢は関係ない」ということがすごく伝わってきました。心に残った言葉もたくさんあったので、「こう」と決めたら夢中になっちゃうノアちゃんにぴったりなのではないかと思います。何歳だから遅いよねということはなく、やりたいと思った時が挑戦しどきと思えるエッセイです。

やなせたかし明日をひらく言葉
著者:やなせたかし
発売日:2012年7月
発行所:PHP研究所
価格:660円(税込)
ISBN:9784569678313

 

――福島ノアさんや、ノアさんが所属するユニットPhoton Maidenの魅力を教えてください。

音楽性が自由であり、いろいろな冒険ができるのがPhoton Maidenの強みだと思います。各楽曲で傾向が被っているなと感じるものがほとんどなくて、いろいろな切り口や角度からの楽曲も、原点であるようなサイバーっぽい楽曲もあります。

ノアちゃんについては、自分とキャラクターが寄ってくる傾向があるなと思っています。最初はそうでもなかったのですが、ノアちゃん同様、私も「かわいいもの好き」が加速していて、かわいいと思うものに一途に突っ走っていくところが似ているのではないでしょうか。ノアちゃんのように、床が抜けるまでではないですけど、私も紙で読むのが好きなので、どんどん本が増殖していって、本棚が埋まっていっているところも似ているかなと思います。

――今回の書店コラボキャンペーンを通して、久しぶりに本を読む方もいらっしゃると思います。最後に、今回のキャンペーンをきっかけに書店を訪れる方へ、本との出合いや選び方についてメッセージをいただければと思います。

私が今回紹介した本はぜひ手に取っていただきたいものばかりですし、書店さんごとにおすすめしている本もまったく違うので、ぜひいろいろなお店を巡ってみてほしいです。表紙だったり、あらすじだったり、帯だったり、自分に何が刺さるのかわからなくても、書店には、自分をアシストしてくれる言葉たちがあふれています。まずは足を運んでいただけたら、必ず「引っ掛かる言葉」があるはずです。栄養と一緒で、自分に足りない言葉を補うのは書店や本からが一番だと思います。足りない言葉をディグりに、ぜひ書店に行ってみてください!

――本日はありがとうございました!

(撮影/那須 竜太)