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「Ave Mujica」の「その先」を、希望を持って見届けて 豊川祥子役・高尾奏音さんへインタビュー

2025年1月14日(火)より開催されている、TVアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」との書店コラボキャンペーンを記念して、豊川祥子役の声優・高尾奏音さんにインタビューしました。

「BanG Dream! Ave Mujica」書店コラボキャンペーンの詳細はこちら

2025年1月より放送が開始されたTVアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」の魅力や見どころのほか、読書の楽しみ方やおすすめの本について語っていただきました。

高尾奏音(たかお かのん)
2002年9月10日生まれ。リンク・プラン所属。
イタリア「ミラノ国際ジュニアピアノコンクール」にて最高位(第1位)「ASSOLUTO」を受賞。
主な出演作は「BanG Dream!」シリーズ(豊川祥子役)、「原神」(ノエル役)など。

 

TVアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」が織り成すミステリー作品のような人間関係

――本日はよろしくお願いします。放送中のTVアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」は、2023年6月に放送されたTVアニメ「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」の続編に当たる作品です。「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」最終回における豊川祥子さんについての描写は、視聴者に大きな衝撃を与えていました。SNSでも反響を呼んでいましたが、高尾さんご自身の「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」の感想をお聞かせください。

これまでのバンドリシリーズとは雰囲気が大きく変わり、人の感情がリアルかつ繊細に描かれ、そこに「心の叫び」でもある音楽という要素が組み合わさることによって、より心揺さぶられる作品になっていると思います。私自身も演じながらすごく惹かれた物語でした。こんなに毎話面白く、キャラクターたちの魅力が溢れる作品に出会うことができて幸せです。

また、演じることの楽しさを再認識させてくれた作品だと思っています。かつては優しくて光のような存在だった祥子から、辛い境遇を背負い闇に堕ちていく祥子まで、ひとつの役でありながらも大きく変化するキャラクターを演じさせていただけたことは、役者としてすごく貴重でありがたい経験でした。

収録期間中に祥子として息をし景色を見渡したとき、こんなにも世界が薄暗い灰色に見えるんだと実感してしまい、私生活でもその感情が尾を引いて少しセンチメンタルな自分になってしまうほど、どっぷりと世界に引き摺り込んでくれた作品だったと思います。

――豊川祥子さんを取り巻く環境や心情の変化は見ている側も心が苦しくなりました……。TVアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」では、オブリビオニス/豊川祥子さんやAve Mujicaにフォーカスが当たると思いますが、アニメの見どころや、今後の放送で楽しみにしていてほしいところはどこですか?

「BanG Dream! Ave Mujica」は、全話を通して1作のミステリー小説を読んでいるかのような感覚で引き込まれる、1秒も無駄な描写が存在しない作品だと思います。「人間」というものについて深く考えさせられる物語で、どの目線で見るかによって、物事が“正解”になったり“不正解”に変わったりするような、表裏一体の世界に苦しみもがくキャラクターたちに、皆さんも共感できる感情がどこかに絶対あると思います。キャラクター全員が抱える精神の奥深さが今後明らかになっていくので、楽しみにしていてほしいです。

きっと話数を見進めるたびに、「どうなってしまうんだろう」とハラハラしたり、展開に衝撃を受けられる方がたくさんいらっしゃると思うのですが、Ave Mujicaのメンバーたちがどのようにバンドと向き合っていくのか、ぜひ最後まで希望を持って目を離さず見届けていただけたら嬉しいです。

――キャラクターの内面がより明らかになっていく瞬間、今からとても楽しみです。希望を持って見届けます。

祥子役としては、燈をはじめとするMyGO!!!!!メンバーとの関係性、祥子が結成したAve Mujicaの中でどう生きていくのか、また祥子に笑顔は戻ってくるのか、そういった部分に注目していただきたいなと思います。

また、ストーリーと共に今後登場するAve Mujicaの楽曲も、自信を持って見どころだと言える要素のひとつです。一曲一曲に意味があり、ムジカが織りなす人間関係や物語とリンクして、強く心に訴えかけてくる不思議なパワーを持つ曲たちだと思うので、楽しみにしていてほしいです。

――Ave Mujicaの楽曲は高尾さんご自身も演奏されていますね。高尾さんも幼少期からピアノを演奏されておりますが、オブリビオニス/豊川祥子さんを演じるにあたって、共感できる部分や、自分と異なる点などはありますか?

祥子と自分は、物事の感じ方や感情の動き方など、似ている部分があるなと思います。「BanG Dream! Ave Mujica」が後半に差し掛かるにつれて、演じながら共感できるシーンが多々ありました。特にCRYCHICの頃の祥子は、言動ひとつひとつが共感できることばかりで、すごく自然な感覚で演じさせていただいていました。

私自身も、これまでプライベートで牛丼屋さんやラーメン屋さんなどに行ったことがあまりなく、Ave Mujicaのメンバーに付いてきてもらって初めてちゃんと足を運んだり、ドリンクバーの飲み方をメンバーから教えてもらったりと、実は祥子と同様に少し世間知らずなところがあるのかもしれないと感じています(笑)。

――作中の豊川祥子さんと本当にリンクしていますね(笑)。

また、音楽が大好きなところも共通点だと思います。祥子は、状況が良いときも悪いときも、音楽に自分の感情を委ねている印象があります。私自身も、普段の練習やライブでピアノを弾くとき、頭で考えて音を調整しながら演奏するのではなく、その瞬間に自分が抱えている感情に身を任せて演奏したときの方が、周りから「良い演奏だった!」と言ってもらえることが多いなと感じているので、ピアノ演奏の仕方において、祥子と似た素質を少し持っているのかなと思ったりしています。

異なる点としては、あそこまで苦しい経験をしながらも、ずっとひとりで立ち向かうような意志の強さを私は持っていないと思います。私が祥子だったら、きっと周りを頼ってしまいますし、すべてを投げ出して諦めてしまうかもしれません。そんな環境にいながらも、めげずに音楽と向き合い、すべてをひとりで解決して生きていこうとしている祥子は、本当は誰よりも気高く強い女の子なんじゃないかと思えてしまう、憧れの存在です。

――アニメ放送終了後の4月にはMyGO!!!!!との合同ライブ「わかれ道の、その先へ」が開催予定です。アニメの中で両バンドの関係性が描かれるなか、ファンや視聴者もハラハラドキドキと心待ちにしているライブになりますが、このライブに向けての意気込みや、記事をご覧の皆様にお伝えしたいことはありますでしょうか。

アニメのストーリー展開によって、ライブの構成が大きく変わると思うので、まだ詳しくはお話しできないのですが、とにかく伝説に刻まれるようなライブにしたいと思っています。アニメ最終話までの展開を知っている身としては、この日のライブを想像するだけで胸がいっぱいになり、ステージから見る景色を思い描くだけで涙腺が緩みます。きっと皆さんも涙を流してしまう場面があると思うので、ハンカチは必須です……!

また、MyGO!!!!!とAve Mujicaという異なる音楽性を持つ2バンドが揃うからこそ生まれる化学反応を楽しみに、会場まで足を運んでいただけたら嬉しいです。「わかれ道の、その先へ」向かったとき、待っているのは何なのか、想像を膨らませながらお待ちください。

――この後のアニメの展開がより楽しみになりました! MyGO!!!!!とAve Mujicaのその先を、ぜひ見届けさせていただきたいです。

 

高尾奏音さんの本の読み方、オススメの本

――続いて、本や読書について伺います。現在、「BanG Dream! Ave Mujica」と書店のコラボキャンペーンが開催されていますが、高尾さんは普段本屋さんに行かれますか?

本屋さんにはよく行きます。お仕事とお仕事の合間に入って、直感を頼りにその場で気になる本を見つけて購入し、カフェで数時間読んでから、また次のお仕事に向かう日もあります。普段、のんびり本屋さんに行くときはまず新作コーナーを見てからミステリーのコーナーを覗いてみたり、声優のお友達の写真集を探してみたりもします!

――ミステリー作品がお好きなんですね! 高尾さんは、読書の魅力はどこにあると思いますか?

自分の人生は1回しかないけれど、本にはそれぞれ別の世界線が存在していて、読書をするたびにいろいろな人生を何回でも体験できるところが魅力だと思います。さまざまな世界に連れて行ってくれるので、知らなかった価値観に触れたり、現実の自分が体験できないようなことを本の中ではやってみたりすることができて、時間を忘れて楽しめます。

声優として多くのキャラクターに出会い、お仕事をさせていただくなかで、今まで自分が出会ってきた似ている性格の人の考え方を想像しながら演じることが多いんです。本の中はたくさんの人に出会うことができる場所でもあるので、このお仕事をするうえでもすごく力をもらっています。

――役作りにも繋がっているんですね……! 高尾さんが本を購入する際に、重視するものは何かありますでしょうか?

その時の気分にもよりますが、最近は「今の自分に足りていないものは何か」と考えて、当てはまるワードがタイトルやあらすじに入っている作品を選ぶことが多いです。そうやって選んだ本を読んでみて、必ずしも想像通りの内容やストーリーであるとは限らないのですが、何かしら自分を支えてくれるメッセージを見つけることができるなと思っています。あとはシンプルに、本屋さんに並んでいる本の中で表紙のデザインが気に入ったものを選ぶこともあります。

――自分に足りていないものを探す……、すごく素敵な本の探し方だと思います。最近読んだ面白かった本はなにかありますか?

最近読んだのは『恋とか愛とかやさしさなら』という本です。「もっと人に優しくできるようになりたい」という意識が高まっていたのと、表紙のデザインが美しく魅力的だったので手に取ったのですが、予想外のストーリーに衝撃を受けながらも、「自分が主人公の女の子の立場だったらどうするだろう」と自分自身の中にある愛情や倫理観について深く考えさせられた本でした。

あと、『ひとくち哲学 134の「よく生きるヒント」』という本を最近読んでいて、面白いなと思っています。兄からオススメされて借りた本で、ハッとさせられる言葉が多く見つかり、寝る前にちょっとずつ読むのが楽しいです。

恋とか愛とかやさしさなら
著者:一穂ミチ
発売日:2024年11月
発行所:小学館
価格:1,760円(税込)
ISBNコード:9784093867399

ひとくち哲学
著者:ジョニー・トムソン 石垣賀子
発売日:2023年03月
発行所:早川書房
価格:2,805円(税込)
ISBNコード:9784152102225

――どちらもやさしさの中に力強さを感じる本ですね……。Ave Mujicaのファン、「共犯者」である皆様にオススメしたい本はありますか?

『マスカレード・ホテル』がオススメです! 共犯者の皆様なら「マスカレード」というワードに親近感が湧くと思いますし、ストーリーもハラハラドキドキして続きが気になるので、読み始めると止まらなくなります。私は寝る前に読もうとページを開いて、気づいたら朝の4時に最後のページを読み終えていました!(笑)

マスカレード・ホテル
著者:東野圭吾
発売日:2014年07月
発行所:集英社
価格:1,100円(税込)
ISBNコード:9784087452068

――マスカレード! Ave Mujicaにピッタリのタイトルですね! 今回のコラボキャンペーンで書店に行かれる人の中には、普段本に触れない方もいらっしゃるかと思います。最後に、そんな皆様に向けて、本の楽しみ方やアドバイスをお願いします。

本も人と同じようにさまざまな性格の子がいると思っていて、自分とピッタリハマる性格の本に出合えたとき、読書がさらに楽しくなるのではないかなと思います。一冊一冊との出合いを大切に、自分に合うストーリーを見つけようとわくわくしながら本を探す時間も楽しんでみることがオススメです! 私もまだまだ出合ったことのない本ばかりなので、皆さんと一緒に本との出合いを楽しみたいと思っています!

――素敵なアドバイス、ありがとうございます! 本日はありがとうございました。