書店ゼロ自治体の美術館跡地に“本を起点としたにぎわい”をつくる　静岡県長泉町「クレマチスの丘」でブックフェス開催

2024.10.22 / イベント・フェア / 記事ほんのひきだし編集部

静岡県長泉町にある文化複合施設「クレマチスの丘」内の旧ヴァンジ彫刻庭園美術館で、10月27日（日）、本とマルシェと文学をテーマにしたイベント「BOOK PARK×mishima vege marche×伊豆文学アートミーツフェスタ in クレマチスの丘」が開催されます。

このイベントは、長泉町に新たな文化接点を創出し、“本を起点としたまちのにぎわい”をつくることを目的としたイベントです。入場は無料で、静岡県、静岡県駿東郡長泉町、ながいずみ観光交流協会、伊豆文学フェスティバル実行委員会、日本出版販売、mishima vege marcheの共催で開催されます。

“書店ゼロ自治体”に本との接点をつくる

長泉町は、静岡県で最も人口増加率が高く、地方創生のモデルとして注目されている一方で、2023年8月以降、書店が一軒も営業していない、いわゆる“書店ゼロ自治体”です。これを背景に今年2月、長泉町と日本出版販売は「本を起点としたまちづくりに関する包括連携協定」を締結し、「本屋がないまちで、本を起点に、より豊かなコミュニティをつくること」を目的に、さまざまな場でにぎわいづくりに向けた計画を進めてきました。

協定締結以前の2023年9月には、長泉町内のJR御殿場線・下土狩駅前広場にて、駅周辺のにぎわい創出を目的とした社会実験「駅前リビング」を実施。本をコンテンツの柱として「学び」「芸術」「食」などさまざまな文化的アクティビティを楽しめる交流拠点を設け、実施前に比べて当日の人流が約9倍に増えるなどの成果をもたらしました。

これを受けて、さらに取り組みの規模を拡大すべく、包括連携協定における取り組みの第1弾として、今回の「地場のマルシェ、地域書店、地域企業との共催大型イベント」の開催が実現しました。

かつて人々が芸術と自然を楽しんだ美しい庭園を、再び活気あふれる場所に

開催地となる旧ヴァンジ彫刻庭園美術館は、美しい庭園とともに芸術体験の場として20年余にわたって親しまれてきたものの、2023年9月に閉館し、施設からの要請で今年2月に静岡県に無償譲渡されたのち、新たな文化施設としての利活用計画が検討されてきました。

今回のイベント開催は、かつて多くの人々が訪れ芸術と自然を楽しんだ場所に、再び文化との接点、にぎわいを生み出し、旧ヴァンジ彫刻庭園美術館を含むクレマチスの丘エリア全体の、今後の可能性を見出すことを目的としています。

イベントは、「BOOK PARK」「mishima vege marche（第40回）」「伊豆文学アートミーツフェスタ」の3つのテーマに分けたエリアで構成されます。各エリアの間には遊具や休憩スペースが用意されており、来場者は約2.4万平米の広大な敷地内を自由に回遊しながら、思い思いに文化に触れ、遊び、自然を満喫することができます。

そのうちのブックフェス「BOOK PARK」には、静岡県および近隣県の5書店が出店し、各店の書店員が現地で直接来場者に本を販売することで、本との接点だけでなく、書店との新たな接点づくりにもつなげます。

※出店（五十音順）：Ginger Books cafe、TSUTAYA BOOKSTOREサントムーン柿田川店、長倉書店、マルサン書店、谷島屋書店