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「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」高松燈役の羊宮妃那さんインタビュー「本は歌と同じように、年代に関係なく繋がれるもの」 

9月1日(金)から、全国約640店舗で開催されている、アニメ「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」との書店コラボキャンペーンを記念して、高松燈役の羊宮妃那さんにインタビューしました。

 

〉〉「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」 書店コラボキャンペーンはコチラ

 

「MyGO!!!!!」のメンバーや楽曲の魅力のほか、「絵本が大好き」な羊宮さんに、絵本の楽しみ方や書店への想いを語っていただきました。

羊宮妃那(ようみや ひな)
3月26日生まれ。奈良県出身。
青二プロダクション所属。
オフィシャルサイト:https://www.aoni.co.jp/search/yomiya-hina.html
X:https://mobile.twitter.com/hina_youmiya

 

難しい言葉を知らないといけない世界で、心に響くやさしい言葉で伝える絵本はすごい

――全国の書店で、「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」とのコラボキャンペーンを実施していますが、羊宮さんも書店にはよく行かれるそうですね。

書店には普段から行きます。絵本がすごく好きで、ついつい寄ってしまいます。書店さんによっておすすめしている絵本が違っていて、特に大人向けの絵本が置いてあると、「どんな本があるのだろう」と気になります。

――羊宮さんは書店のどんなところがお好きですか?

年齢に関係なく、いろいろな人がいることです。絵本コーナーに行くとよくおじいちゃんやおばあちゃんに会うのですが、「お孫さんのために買われるのかな」と想像しています。私が幼いころに父や母に読んでもらった作品でいまだに覚えているお話もあって、本は歌と同じように、年代に関係なくつながれるものだなと感じています。

――書店は誰でも気楽に入れる場所であってほしいですね。

本屋さんは本当になくなってほしくないなと思います。電子書籍にも、紙の本にもそれぞれの良さがありますが、私は紙の本に書かれた文字から温かみを感じることが多くて、手に取って本を読むということがとても好きなんです。

 

――書店ではどんなふうに本を選んでいますか?

少し中身を読んでみて、この続きが気になるなと思ったら、すぐにページを閉じて買っています。表紙が気になったものは、中身を読まずに買うこともありますね。泣けるような家族物のストーリーには弱いです。

――おすすめの絵本はありますか?

ヨシタケシンスケさんの『もしものせかい』という作品があるのですが、すごく考えさせられるなと思って買った一冊です。絵本には子ども向けなイメージがありますが、大人が読んでも感じることがたくさんあります。ひらがなだからこそ伝わることなど、本当にいろいろな魅力があって、可能性が無限大だなと思います。これだけ難しい言葉を知らないといけない世界で、こうも心に響くやさしい言葉で伝える絵本は本当にすごいと思います。もっとこの魅力が広がってほしいです!

もしものせかい
著者:ヨシタケシンスケ
発売日:2020年02月
発行所:赤ちゃんとママ社
価格:990円(税込)
ISBNコード:9784870141469

――どんな時に絵本を楽しんでいるのでしょうか。

家に絵本の本棚があるのですが、切羽詰まっている時や孤独を感じる時に、目をつぶってパッと手で掴んだ本を読みます。それこそリフレッシュ方法の一つですね。

――絵本ならではの癒しですね。

「MyGO!!!!!」の「栞」という曲に、「“普通”とか”あたりまえ”ってなんだろう」という歌詞があるのですが、本当にそう感じる瞬間がたくさんあって。どんどん言葉が増えていくなかで、難しい言い方もできるけれども、それでもなじみある言葉であったり、小さな子でもわかるような言葉であったり。生きている世界や絵本の中の世界、年代なども含めて、見ている景色が違うのだからいろいろな表現があっても良いんだと、改めて感じる瞬間が何度もあり、その度に狭まってしまう視界が開けていくような気がするんです。

――「MyGO!!!!!」のメンバーが読んでいそうな本や、メンバーにおすすめしたい本はありますか?

絵本を読んでいそうなのは燈ちゃん(高松燈)くらいしかいなさそうですよね。

燈ちゃんは、junaidaさんの『街どろぼう』が合うイメージです。山の上に住む孤独な巨人が、ふもとの街の家をすべて持ち帰ってしまうのですが、結局独りでいることに変わりはなく、孤独なままで……。詳しくはぜひお手にとって読んでみていただけければと思うのですが、「何が巨人を独りにさせていたのか?」ということを、考えさせられるお話でした。燈ちゃんも自分一人が孤独で、自分は周りと見ているものが違うと感じていたけれど、みんなと交わることで、それぞれいろいろなものを抱えながら生きていると気がつけました。自分から扉を開けないと、「自分だけ」と思っている孤独を壊せなかったのかな……と感じています。

街どろぼう
著者:junaida
発売日:2021年07月
発行所:福音館書店
価格:1,650円(税込)
ISBNコード:9784834086225

 

「潜在表明」はいつまでも自分と一緒に痛みを抱えて歩いてくれる曲

――それでは、「MyGO!!!!!」の楽曲などにも触れていきたいと思います。今回の書店コラボキャンペーンでは、アニメエンディングテーマの「栞」にかけて、楽曲をモチーフにしたしおりをノベルティにしています。しおりに使われた中で一番好きな楽曲は何ですか?

「潜在表明」です! 歌詞の中に「僕であろうとすることが どうしてこんなに痛いの?」という部分があって、その後に「僕であろうとするために この痛みがあるのなら 見失わないように 抱きしめている」というサビにつながります。みんなそれぞれ持っている価値観があり、その上で自分だからこそ感じる痛みがある。それぞれが生活している環境の中で、時には飲み込まなくてはいけない言葉がいくつもあると思います。 しかし、そこから生まれる感情からしか得られないものもあって、そのように痛みを感じることができる人だからこそ、その人でしか成しえないことがいくつもあると思うんです。前向きな歌ではまったくないのですが、だからこそ「潜在表明」はいつまでも自分と一緒に痛みを抱えて歩いてくれる曲なのではないかと思っています。

 

▼【Official Music Video】潜在表明 / MyGO!!!!!

https://www.youtube.com/watch?v=bkUqxpb_vYY

 

――ありがとうございます。ちなみに、今回のノベルティで、「潜在表明」をモチーフにしたしおりに描かれているキャラクターは……。

そよちゃん(長崎そよ)ですよね! そよちゃんもきっと、いろんなことを飲み込んできた子だと思うので、潜在表明のモチーフというのは納得です。

 

――立希ちゃん(椎名立希)の裏面は「影色舞」ですね。

「影色舞」も、明るい曲調ですが、歌詞は暗いイメージですよね。

――たしかに、「影色舞」はアップテンポな曲ですが、歌詞に込められているものは深いですね。

それこそ、絵本も子どものころに明るい話だと思っていた作品が、大人になってから読んでみると深いメッセージが込められている作品だなと思うことがあります。たぶん歌も同じで、聞いたときは曲調で明るい曲、暗い曲という印象を持つことが多いのかなと思うのですが、歌詞に触れた瞬間その印象が変わることもあって、本当にいろんな楽しみ方があると思います。

――羊宮さんはご自身で作詞もされるとのことですが、どんな時に歌詞を書いているのでしょうか。

もともと「MyGO!!!!!」の活動をする前から歌詞を書いていました。日々過ごしていく中で飲み込まなくてはいけない言葉があるんじゃないかなと、潜在表明のところでもお話しさせていただきましたが、私も飲み込んでしまうことがありました。辛いとか、逃げたいとか、助けてほしいとか、この言葉を誰かに伝えてしまったら、自分は「弱い人」になるのではないかと思って、ずっと胸の中に押し込めていたんです。

でもそんな時、本当は伝えたかった自分の言葉を歌に乗せて歌ったことがあって。誰にも届かないままではありますが、気持ちは少し楽になった気がしたんです。もう少し頑張ろうって。

 

一冊との出合いで人生が変わる人は本当にいる。絵本もその一つだと思っています。

――今回のノベルティには、アニメで象徴的な回となった10話の場面写も使用していますが、10話はどんな感想でしたか。

そよちゃんが大好きなので、とにかくそよちゃんの涙に心を打たれてしまいました。例えば周りから見ていて、なんでこの人はこういう行動をするのかな、どうしてこんなことで怒るのかな、悲しむのかなと思うことは誰にでもあるのではないでしょうか。でも、見えない部分も含めてその人なりにいろいろな感情を抱えているんだと思っていて。そよちゃんも同じだと思います。見えているものがすべてではないとわかってはいながら、人間は見えているものでしか感じること、そして想像することしかできない。そんな中でも、「MyGO!!!!!」のメンバーが歌でつながる瞬間がとても感動的でした。

――11月にはアルバムのリリースも控えていますが、ぜひこれを聴いてほしいという曲はありますか?

「歌いましょう鳴らしましょう」は、私が以前から聴いていたメガテラ・ゼロさんが作曲してくださった曲で、仮歌を聴いたときから大好きな一曲です。今までの「MyGO!!!!!」にはないような曲で、歌い方も若干変えています。

――タイトルも今までと違った印象ですね。

そうなんです! 初めてちゃんと読めるタイトルだ!と思いました。「栞」ですら、読み方が“しおり”でいいのかと思う人も多かったのではないでしょうか……。本当にいい曲なので、ぜひ聴いてほしいです。


――今後の「MyGO!!!!!」について、注目してほしいポイントなどはありますか?

現実でもライブをしているバンドなので、歌でも成長を表現したいと思っています。「MyGO!!!!!」だからこそ感じる成長を、みなさんに見つけていただけるのも楽しみの一つです。心にもやもやを抱えているときとか、それこそ燈ちゃんのように「なぜかひとりぼっちな気がする」「周りと違うような気がする」と思ったときは、「MyGO!!!!!」の曲の歌詞に注目してほしいですし、それで救われる方がたくさんいらっしゃると、私は感じています。

――今回の書店コラボキャンペーンで、初めて書店に行く方や、久々に本を手に取った方もいると思います。最後に、そんな方に向けて、本の楽しみ方やアドバイスをお願いします。

一冊との出合いで人生が変わる人は本当にいると思っていて、絵本もその一つだと思っています。意識していても誰かを傷つけてしまうこともあるなかで、自分の世界が広がると視野も広がるし、そうなることで相手を傷つけないことも増えると思います。自分をレベルアップさせたいなと思ったとき、本当に何でもいいので文字に触れる、それこそ本屋さんで触れてみるというのは、素敵なことだと思いますし、活字があまり得意じゃないよって方こそ、ぜひ絵本を読んでみてほしいです。

――本日はありがとうございました!

(撮影/那須竜太)