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“ わたしが恋をしたのは、学校イチのイケメンでも、憧れの先生でもなく、国民的スーパースターでした。”
日本中の女の子を虜にする国民的スーパースターと、平凡な女子高生。普通なら交わることのない2人が出会い、運命の恋をする……。誰もが一度は憧れる、おとぎ話のような“格差恋”を描いた映画『午前0時、キスしに来てよ』が、12月6日(金)に公開されました。
「そんなこと現実にあるはずがない」と笑うのは簡単。しかし本作には、大人もいつの間にか物語の世界にどっぷり浸ってしまう、ファンタジーをリアルに感じさせる秘密がたくさん詰まっています。
今回は、同作を手がけたプロデューサーの髙木由佳さん(フジテレビ編成制作局 映画制作部)にお話を伺いました。
髙木由佳(たかぎ ゆか)
フジテレビジョン編成制作局映画制作部所属。映画『午前0時、キスしに来てよ』(2019)でプロデューサーデビュー。アソシエイト・プロデューサーとして『翔んで埼玉』、『コンフィデンスマンJP』(ともに2018)などのヒット作に携わる。
―― 本作は、『きょうのキラ君』や『近キョリ恋愛』でも知られるみきもと凜さんの人気少女漫画が原作です。まずは実写化の企画を立ち上げた理由について教えてください。
私は、今回の作品がプロデューサーとしてのデビュー作なんです。これまでいろんな先輩プロデューサーのもとで仕事をしてきたなかで、ずっと「『ノッティングヒルの恋人』みたいな王道の格差恋を描く映画を作りたい」という思いがあって、みきもと先生の『午前0時、キスしに来てよ』に出会ったときに「これを実写映画化したい!」と強く感じました。
内容はもちろんですが、『ひるなかの流星』(2017年)や『翔んで埼玉』『コンフィデンスマンJP』『コード・ブルー』(いずれも2019年)など幅広い映画に携わって多角的に作品を見てきたなかで、タイトルを「0(ゼロ)キス」と略せて、なおかつ略したときとフルタイトルに開きがない、そういうキャッチーさも素晴らしいなと思いました。
―― 実写化決定の際、みきもとさんのコメントに「0キスは実写化をするのが難しいと思っていたため度々お断りしていました」とありましたが、実現するに至った最も大きな理由は何だったのでしょうか?
「情熱と地道な努力が実を結んだ」としか言いようがないのが大部分ですが(笑)、私の書いたプロットをみきもと先生がすごく気に入ってくださったと聞いています。もしかしたら、それが決定打だったのかもしれません。
『午前0時、キスしに来てよ』は現在も連載中ですが、プロットを書いた当時はまだストーリーが6巻あたりまでしか進んでいなくて、明らかになっていない要素がたくさんありました。楓と日奈々もやっとキスすることができて、さあこれから、というところで(笑)。なので、ラストシーンも含めて考える必要があったんです。プロットを気に入ってくださったということは、先生が描きたかったことをきちんと表現できていたということだと思うので嬉しかったですね。
―― プロットを立てるにあたって、ポイントにしたことは何ですか?
一番大切にしたのは「女の子の夢を全部入れること」です。どんなに手の届かない存在だとしても、やっぱり王子様みたいな人と結ばれたいって、誰もが一度は思うじゃないですか。本音をいえば、きっと大人になっても、心のどこかにそういう気持ちはあると思うんです。
―― そうですね。できれば私もそうなりたいです……!
ですよね(笑)。だから、映画を観ている2時間だけでも夢を見てもらえたらいいなと思って、本当に宝箱みたいな、夢や妄想をふんだんに詰め込んだ作品にしました。
シンデレラみたいな要素と、先ほど言った『ノッティングヒルの恋人』のように、ある日別世界の人が偶然目の前に現れて、お互いに運命を感じて恋に落ちるけれど多難が待ち受けていて……というラブコメの要素、どちらも含んでいることに、つい先日も「これでよかったんだろうか?」と悩んだりしました。でもやっぱり今考えても、1本の映画にするにあたってどちらの要素も必要だったと思っています。
―― そんな夢の世界に浸るためには、違和感なく没入するための“土台づくり”が必要ですよね。
そうですね。私も、若い女の子たちだけじゃなくて、大人が観てもしっかり作品世界に入り込めるような上質なラブストーリーにするということを心がけました。
単なる惚れた腫れたの話じゃなくって、なぜ楓と日奈々がお互いのことを好きになったのかや、2人の心が動く瞬間を、いかにあからさまな表現を使わずにきちんと観ている方々に伝えるか。楓や日奈々を通して、自分と誰かの“もしもの物語”として観ることができるか。
もちろん、自分の好きな芸能人を想像していただいてもいいですし、たとえば学校や職場の先輩みたいな、憧れの存在の人にあてはめたりしながら「2時間この別世界にトリップできるか?」という点は追求しました。
―― では、まずはキャストについて伺います。本作では片寄涼太さんと橋本環奈さんがダブル主演をつとめていらっしゃいますが、お二人をキャスティングされた理由は何だったのでしょうか?
『午前0時、キスしに来てよ』の映画化にあたっては、最初から楓役を片寄涼太さんにオファーすると決めていました。
『ひるなかの流星』の試写会で初めてご本人にお会いした時、服装から何から完璧に決まっていて、ひと目で「綾瀬楓だ!」と思ったんです。これはお会いしてお話しさせていただいてから思ったのですが、演技や作品に対して真摯に受け止める姿勢みたいなことも含めて「まさに、楓そのものだ!」と感じ、片寄さんがオファーを受けてくださったときはとても嬉しかったです。
橋本環奈さんに関しては、『銀魂』や『斉木楠雄のΨ難』で見せたようなコメディエンヌとしての活躍が印象的ですよね。あんなに美少女なのに、そこまで振り切った演技ができるんだ!というところが非常に魅力的で、ヒロイン・日奈々の“優等生だけど、実はむっつり……”という一面も完璧に表現してくださるんじゃないかと思いました。
その一方で、バラエティではサバサバした性格の印象が強いからこそ、橋本さんのような美少女に“王道のラブストーリー”を演じてもらいたかった。映画を観てもらえればわかると思うんですけど、日奈々はものすごくはまり役ですよ。「平凡な女子高生なのに、芸能人に好かれてイケメンの幼なじみにも好かれている」なんて、普通は反感買っちゃいますよね。でも一歩間違えればあざとくなってしまう役を、本当に嫌味なく、かわいく演じてくださっています。
それは、新城毅彦監督の手腕によるところも大きいです。今までにきっと誰も見たことがない、橋本さんの“魅力”を引き出してくださいました。ふとしたときの仕草やコロコロ変わる表情がすっごくかわいいので、ぜひ観てほしいです!
―― 片寄さんはご自身もスーパースターですけれど、「綾瀬楓」にどんなふうに臨んでいましたか?
台本もかなり読み込んで、現場で監督から演出されたことを、細かいバランスやニュアンスを完璧に理解して、次のテイクではスマートに演じていたのが印象的でした。
初めのうちはその意気込みが演技にも出てしまうことがあったんですが、監督と「もっと削ぎ落とそう」「もっと軽く、余裕を出していこう」と相談しながら作り込んでいって。片寄さんご本人にもお伝えしたんですけど、片寄さん史上、最高にかっこいいですよ。これも自信があります。
―― 次に伺いたいのが、音楽です。映画を拝見していて、音楽へのこだわりを強く感じたんですが……。
そこに気づいてもらえたのは、本当に嬉しいです! 憧れをたくさん詰め込んだ作品ですが、観たことのあるようなキラキラ映画にはしたくなかったので、空気感や人物の心情にしっかり寄り添いつつ、それでいて洋画のラブコメのような雰囲気が出るようにと、今回は林イグネル小百合さんに音楽をお願いしました。たとえば冒頭で日奈々が朝目覚めるシーンでは、フレンチポップな感じの音楽にしたり……。
イグネルさんの持つ独特な曲調は、これまでにない新鮮さがあると思います。
―― そういう“ちょっと背伸びした感じ”が全体を通して演出されている一方で、日奈々と楓との格差はけっこうはっきり表現されていますよね。
そうですね。「スーパースターと付き合うとはどういうことか」は物語における最大の壁なので、日奈々と楓それぞれの“生活圏”は、視覚的にもかなり差をつけて表現しました。「2人が結ばれるって、運命だけどやっぱり奇跡だよね」ということを、きちんと描きたかったんですよね。
たとえば日奈々は日本的な奥ゆかしい民家に住んでいて、楓はものすごく天井が高くて広い、開放的な高層マンションの部屋に住んでいます。それから、日奈々が通う学校も、画としてのキラキラ感を求めるなら広くてきれいな校舎がいいと思うんですけど、彼女はあくまで一般JKなので、観ている方が自分の学校と重ねられるような、あえて独特な特徴のない一般校を探しました。
あとは「綾瀬楓」を演出するものとして、衣装にもかなりこだわりましたね。片寄さんも衣装合わせの段階から本当にたくさんアイデアを出してくださって、結果、劇中では70着以上の衣装を使用しています。
片寄さんは私服も持ち込んでくださって、たとえば教室にやってきたときのパンツや靴、遊園地のシーンでジャケットの中に着ているデニムのシャツは、片寄さんの私服です。髪型もシーンによって大きく変えていて、だからこそ、国民的スーパースターだということの説得力が増したと思っています。私は“片寄七変化”と呼んでいます(笑)。1つの作品でここまでいろいろな格好をするのも本当に珍しいので、注目してください!
―― 1度目の鑑賞はどっぷり物語に浸って目が追いつかない可能性があるので、それは耳寄り情報ですね。では最後に、絶対に見逃せないおすすめのシーンと、もう一度観たくなるちょっとマニアックな鑑賞の仕方を教えてください!
(※一部ネタバレを含みますので、前情報なしでご覧になりたい方はご注意ください※)
まず個人的にキュンときたところは、日奈々のお家でのBBQのシーンで幼なじみと自分の知らない話をして楽しそうにしている日奈々の様子を見て、嫉妬してしまった楓のセリフ「俺は君のことだと、結構余裕ないんです」。スーパースターがこれを言っちゃうって、かなりグッときますよね。
それから橋本環奈さん史上一番スイートな表情が見られるのは、幼なじみのあーちゃん(眞栄田郷敦)に「俺と結婚すればいいじゃん」と言われたときの、彼を見上げる日奈々の表情。これはぜひ、スクリーンの大画面で見ていただきたいです。
新城監督イチオシは、マスク越しのキスシーン。キスシーンって通常だとアップで撮ることが多いんですけど、さすが新城監督というか、人通りのある場所でのこのキスシーンを、監督は引いて撮っているんですよね。「キスされているだけでもドキドキなのに、こんなところじゃ皆に見られちゃうよ!」っていう臨場感がものすごく伝わってきますよ。
……というふうに1度目を楽しんだら、2度目はぜひ、楓の視点で物語を楽しんでみてください。日奈々は等身大な“私たち側”のキャラクターなので、やっぱり1度目は自然と日奈々視点になると思うんです。でも楓視点にガラッと切り替えてみると、こちらもすごく感情移入できるんですよ。マネージャーのしげちゃん(遠藤憲一)や、かつての仲間とのシーンは、特に感情的に動かされるものがあると思います。
―― ありがとうございました!
【STORY】優等生の日奈々(橋本環奈)は、誰もがみとめる超・マジメ人間。でも、ほんとはおとぎ話のような王子様との恋にあこがれる夢見がちな女子高生だった……。そんなある日、国民的スーパースター・綾瀬楓(片寄涼太)が、映画の撮影で学校にやってきた! 運命の出会いをするふたり。ま、まさか、これはおとぎ話のはじまりっ?! 楓の気取らない性格とやさしさにふれ、どんどん楓のことが好きになっていく日奈々。絶対バレてはいけないスーパースターとJKのヒミツの恋の行方は? 最高にファンタジックで、ロマンティックなリアル・シンデレラLOVEストーリーの誕生です。
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE) 橋本環奈
眞栄田郷敦 八木アリサ 岡崎紗絵 鈴木勝大 酒井若菜 遠藤憲一
原作:みきもと凜『午前0時、キスしに来てよ』(講談社「別冊フレンド」連載)
監督:新城毅彦
脚本:大北はるか
音楽:林イグネル小百合
主題歌:「One in a Million -奇跡の夜に-」GENERATIONS from EXILE TRIBE
配給:松竹
12月6日(金)全国公開
©2019映画『午前0時、キスしに来てよ』製作委員会