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2020年本屋大賞は凪良ゆう『流浪の月』 “普通”を揺さぶる、引き離された男女の物語

4月7日(火)、「2020年本屋大賞」の受賞作が発表されました。

今回は7名が初ノミネートされており、候補作家10名のいずれが大賞に選ばれても本屋大賞初受賞。

凪良ゆうさんの『流浪の月』が、大賞を受賞しました。10年以上ボーイズラブを書き続け、2017年に非BL作品『神さまのビオトープ』を発表しさらに読者を拡げた凪良さんの、初めての一般文芸作品です。

流浪の月
著者:凪良ゆう
発売日:2022年02月
発行所:東京創元社
価格:814円(税込)
ISBNコード:9784488803018

あらすじ
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。(東京創元社公式サイトより)

 

〉〉凪良ゆうさんのインタビューはこちら
漫画家志望から本屋大賞作家へ 凪良ゆうに聞く、創作のルーツといま思うこと

 

2020年本屋大賞の結果

なお、『流浪の月』を含めたノミネート10作品の順位は下記のとおりです。今回は、一次投票に全国477書店から586人、二次投票には300書店から358人が参加しました。

第1位『流浪の月』(凪良ゆう/東京創元社)
第2位『ライオンのおやつ』(小川糸/ポプラ社)
第3位『線は、僕を描く』(砥上裕將/講談社)
第4位『ノースライト』(横山秀夫/新潮社)
第5位『熱源』(川越宗一/文藝春秋)
第6位『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢沙呼/講談社)
第7位『夏物語』(川上未映子/文藝春秋)
第8位『ムゲンのi』(知念実希人/双葉社)
第9位『店長がバカすぎて』(早見和真/角川春樹事務所)
第10位『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(青柳碧人/双葉社)

また、翻訳小説部門はソン・ウォンピョンさんの小説デビュー作『アーモンド』(訳:矢島暁子)が受賞しました。

「ばあちゃん、どうしてみんな僕のこと変だって言うの?」
「人っていうのは、自分と違う人間が許せないもんなんだよ」

扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。
そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通り魔に襲われたときも、ただ黙ってその光景を見つめているだけだった。
母は、感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」を丸暗記させることで、なんとか“普通の子”に見えるようにと訓練してきた。
だが、母は事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちになってしまう。
そんなとき現れたのが、もう一人の“怪物”、ゴニだった。激しい感情を持つその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく──。(祥伝社『アーモンド』特設サイトより)

 

発掘部門は『無理難題が多すぎる』に

また、本屋大賞受賞作の発表よりも早く、4月1日(水)には発掘部門から「超発掘本!」が発表されました。

発掘部門は、本屋大賞のエントリー対象よりも前(今回は2018年11月30日以前)に刊行された作品の中から、ジャンル不問で「時代を超えて残る本」「今読み返しても面白いと思う本」を選ぶもの。

今回は2006年に文庫で刊行された、哲学者・土屋賢二さんの『無理難題が多すぎる』が選ばれました。「週刊文春」(文藝春秋)の連載「ツチヤの口車」をまとめた、60篇からなるエッセイ集です。

この本を推薦したのは、北海道にある岡本書店 恵庭店の山口榛菜さん。

「等身大で、クスリと笑えて、特に救われない。でも、なんとなく、ダメな自分が、そのまま、ダメなままで、生きていてもいいような気がする。そんな優しいエッセイです」と推薦コメントを寄せています。

▼2020年本屋大賞 発表会の映像はこちら

 

昨年の本屋大賞受賞作は『そして、バトンは渡された』

昨年本屋大賞を受賞したのは、瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』。

以下、小野寺史宜さんの『ひと』、深緑野分さんの『ベルリンは晴れているか』と続きました。

第1位『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ/文藝春秋)
第2位『ひと』(小野寺史宜/祥伝社)
第3位『ベルリンは晴れているか』(深緑野分/筑摩書房)
第4位『熱帯』(森見登美彦/文藝春秋)
第5位『ある男』(平野啓一郎/文藝春秋)
第6位『さざなみのよる』(木皿泉/河出書房新社)
第7位『愛なき世界』(三浦しをん/中央公論新社)
第8位『ひとつむぎの手』(知念実希人/新潮社)
第9位『火のないところに煙は』(芦沢央/新潮社)
第10位『フーガはユーガ』(伊坂幸太郎/実業之日本社)