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恋愛小説を読まない書店員が『この恋は世界でいちばん美しい雨』を薦める理由とは:わが店のイチオシ本(vol.30 BOOKSあんとく やまが店)

全国の書店員さんが一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。

第30回は、熊本県山鹿市のBOOKSあんとく やまが店の本部門主任・宮﨑佳祐さんにご登場いただきました。

宮﨑さんが紹介してくれたのは、映画「今夜、ロマンス劇場で」など脚本家としても活躍する、宇山佳佑さんの『この恋は世界でいちばん美しい雨』。雨がきっかけで恋に落ちた2人が、ある事故をきっかけに苛酷で切ない日々を生きることになる愛と奇跡の物語です。

 

「恋愛小説を読まない」筆者がこの本を選んだ理由とは

私は、普段恋愛小説はあまり読む方ではありません。

そんな私が紹介するのは、宇山佳佑さんの恋愛小説『この恋は世界でいちばん美しい雨』です。

何故この本を選んだのか?

30歳を過ぎ、純粋とは程遠い存在になってしまったこともあってか、帯の「絶対泣きます」などの表現に対しても、どこか冷めた具合に「本当かな?」と疑う気持ちの方が大きくなっている今日この頃です。なので、その気持ちを改めるべく、あえて手に取って読んでみました。

 

やさしい雨に「泣きました」

集英社からいただいた、販促用のPOPと小さい手作りの傘を使って『この恋は世界でいちばん美しい雨』の展開を行ったところ、じわじわと良い反応がありましたので、興味を持っていました。

読み終えた感想ですが、結果から言うと、泣きました。はい。ぼろっぼろに泣きました。おっさんですけど泣きました。涙で前が見えず、読めませんでした、というくらい泣きました。やさしい雨でした。主人公たちの互いを思いやる行動に美しさを感じ、感動を覚えました。まっすぐな心は胸を打ちます。

タイトルにある通り、雨に関するお話ではありますが、それに限ったことはなく、時期に関係なく読めます。また、情景がイメージできます。故に、話に引き込まれ、共感できました。

帯の推薦文はどれも的確で、正直私が語ることはないくらいです。ただ、ひとこと言うならば、「恋っていいものだな」と年甲斐もなく考えてしまいました。

書店員という立場上、実写映画化などメディア化されたらいいなという思惑もありますが、良質な作品を多くの人に知ってもらいたい、という単純な気持ちが強いです。
実売結果の甲斐もあって、ほかの支店でも推薦商品として拡売することが決まりました。

沢山の方に読んでもらえるよう、可能な限り展開を続けていきます。見かけた際は、是非、手に取ってみてください。

◆作り手からのメッセージ◆
「僕の創作の原点」と著者の思い入れも強い本書。宇山さんが10年前に舞台の脚本として初めて書いたラブストーリーを、小説に編み直しました。片寄涼太さんの推薦コメントと美しい装丁も後押しして、若い読者に人気です。雨がつなぐ切ない恋の物語を、ぜひお楽しみください!(集英社 文芸編集部 栗原佳子さんより)

 

店舗紹介

BOOKSあんとく やまが店(Tel.0968-43-6166)
〒861-0501 熊本県山鹿市山鹿字黒田754-1-2
※営業時間 9:00~24:00


(「日販通信」2019年9月号「わが店のイチオシ本」より転載)