薬局の待合室で新刊書籍の販売を行う、大阪府豊中市の「ページ薬局」は、6月1日に開局5周年を迎えたことを記念して、「小説家15人の処方せん」フェアをスタートさせました。期間は6月2日(月)~8月30日(土)。
「小説家15人の処方せん」フェアでは、15人の小説家による「本の処方」が記載されたブックカバーを当該の書籍に被せて展開。さわや書店フェザン店(岩手県盛岡市)でかつて実施されたフェア「文庫X」のように、本の中身がわからない仕掛けとなっています。
本の処方を担当した15人の小説家は、以下の通りです(五十音順、敬称略)。
青山美智子 浅倉秋成 一穂ミチ 井上夢人 岩井圭也 下村敦史 新川帆立 蝉谷めぐ実 知念実希人 早見和真 増山実 町田そのこ 丸山正樹 宮島未奈 山口未桜
例えば、町田そのこさんは「悪夢に困っているとき」、宮島未奈さんは「味方がいないと思ったときに」の処方としておすすめの本にブックカバーを被せています。
▲フェアのオリジナルブックカバー ※ブックカバーのみの販売は行っていません
オリジナルのブックカバーは、ブックカバーで著名な、大阪市鶴見区の正和堂書店がデザインを担当しました。実際の処方せんに似せたデザインは、「ページ薬局」ならではのフェアをより一層、引き立たせています。
なお、ブックカバーのデザインを担当した正和堂書店も、今回のフェア企画を開催しています。
また、今回のフェアは、多くの人たちに手に取ってもらいたいとの思いから、一人の小説家あたり2点までと購入を制限しています。
※ページ薬局では同フェアの趣旨上、処方された本の中身については、SNS等での投稿および、オリジナルブックカバーの転売について、お控えいただきたいと呼びかけています
なぜ「処方せんのブックカバー」を企画したのか?
今回、「処方せんのブックカバー」を企画した理由について、ページ薬局を運営する瀬迫貴士さんは、「出版業界を少しでも盛り上げたいから」と話しています。
ページ薬局では、オープン当初から毎年、「文庫本100冊プレゼント!」「ページ薬局1周年記念 オリジナル図書カードプレゼント企画」「ページ薬局3周年記念企画 推し本POPグランプリ」など、さまざまなイベントを実施してきました。
基本的には「業界の明るいニュースにならないか」、「書店に足を運ぶきっかけ作りにならないか」といった思いから企画を実施してきたそうです。
今回の5周年企画についても、「書店に行きたいと思ってもらうには」という思いを実現する方法を模索。かねて「本の処方せんをやったら?」と言われたことを思い出し、「医者の処方せんのように作家の先生が本の処方せんをしたら面白いかも?」と閃いたそうです。
瀬迫さんは、「本企画で処方してくださった先生方、諸々のご確認をいただきました各出版社の方々、デザインのみならずさまざまなご相談にも応じてくださった正和堂書店さん、棚作りのご支援をしてくれた書店員さん、本当にありがとうございました! 実現に至りましたのも皆さまのおかげだとひしひしと感じています」と関係者に謝意を述べています。
瀬迫貴士(せさこ・たかし)
薬剤師、二代目経営者。毎週どこかの本屋さんに足を運ぶこと10年以上。この習慣と2019年の「1ヶ月100冊読書」をきっかけに、書店員経験もないのに調剤薬局経営メインの法人にて薬局×本屋「ページ薬局」を2020年にオープン。リアル書店ならではの価値を伝えたい。
薬局×本屋「ページ薬局」とは
「ページ薬局」は、薬局の待合で新刊書籍の販売を行う薬局×本屋です。2020年6月1日、大阪府豊中市の阪急宝塚線蛍池駅の近隣で開局しました。運営するのは有限会社フレンドです。
「普段本屋に行かない人にも薬局に本を置くことで偶然の出会いを提供する」をコンセプトに、店舗を運営。絵本、小説、ビジネス、実用書など幅広いジャンルの本を約1,000冊ほど取り扱っています。
ページ薬局の公式サイト