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vol.63 岡山県:TSUTAYA BOOKSTORE 岡山駅前店|宮崎駿監督のジブリ映画原作コミック『風の谷のナウシカ』(わが店のイチオシ本)

全国の書店員さんが、もっともおすすめの本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。

第63回は、岡山県岡山市にあるTSUTAYA BOOKSTORE 岡山駅前店の、BOOK担当・西田圭佑さんのご登場です。

今回、西田さんが紹介してくださったのは、宮崎駿監督のジブリ映画でも有名な『風の谷のナウシカ』の、コミックス全7巻箱入りセット 「トルメキア戦役バージョン」です。

人類の生存を巡る普遍的なテーマで美しく描かれた本作は、映画では語られなかったその後の世界や、ナウシカの活躍を知ることができます。世代を超えて読み継がれる本作の魅力について、西田さんに綴っていただきました。

風の谷のナウシカ(7巻セット)
発売日:2003年10月
発行所:徳間書店
価格:4,367円(税込)
ISBNコード:9784192100106

 

風の谷のナウシカ」の本当の結末は、コミックで明かされる

僕が働く「TSUTAYA BOOKSTORE 岡山駅前」は岡山駅から徒歩5分の駅前商店街に位置する商業施設「イコットニコット」の2階にあります。本や文具の販売だけでなく、雑貨やアート作品の販売も行っています。店内にはベーカリカフェやコワーキングスペースを併設しており、趣味や仕事を通じて人と人とが出会える場として地域の皆様にご利用いただいております。

また、当店ではお立ち寄りいただいたお客様へ、本を知るきっかけや、心を動かすものや人との出会いをお届けすべく、本のオリジナルフェアや一押し本のご紹介、雑貨作家さんの作品を集めた企画展や人気キャラクターのポップアップストアなど、さまざまな作品を月替わりでおすすめしています。

そんな当店がオープンから変わることなくずっとおすすめしている作品が1点あります。

その作品は宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』。誰もが知っているスタジオジブリの名作アニメ「風の谷のナウシカ」の原作コミックです。当店がおすすめしているのはB5サイズのワイド版コミックス全7巻のBOXセットで化粧箱に入ったタイプになります。

コミック版の『風の谷のナウシカ』は、アニメ雑誌『アニメージュ』にて1982年に連載が開始されました。映画作成による休載期間を挟みながらも12年かけて1994年に完結しています。アニメはコミックの連載開始から2年後の1984年に長編映画として全国公開され、公開から40年近くたった今でも多くの人に愛されています。

アニメとコミックで設定の違いなどがありますが、僕が読んで一番驚いたのは、映画では宮崎監督が伝えたい思いの半分も描かれていなかった!ということです。コミックを読むとわかるのですが、映画はコミックの2巻の途中までしか描かれていません。アニメとして映画化されているのは、壮大な物語の序盤でしかなく、本当の結末や宮崎監督が伝えたかった思いはコミックを読まないとわからないのです。

ナウシカという作品は、アニメ映画とコミック全7巻を読むことでやっと完結します。「巨神兵」による「火の7日間」はなぜ起こったのか。「腐海」や「王蟲」はどうして生まれたのか。アニメでは謎に包まれていたナウシカたちが住む世界の全容もコミック内で明らかにされます。

この作品を読むと、自然の大切さや人類の在り方についても考えさせられます。「SDGs」が叫ばれる現代。誰かの考えるきっかけになればという思いも込めて、僕が書店員であり続ける限り売り続けていきたい作品です。

 

◆作り手からのメッセージ◆

連載終了後も長きにわたり愛され続ける『風の谷のナウシカ』は、いまだに古びない作品です。むしろ、今この時代に起こっていることは、「ナウシカ」の世界とリンクしているかのように思えます。難解なところもありますが、何度読んでも新たな発見がある――世界はナウシカに抱かれているのです。

(徳間書店 アニメージュ編集部編集長 川井久恵さんより)

 

TSUTAYA BOOKSTORE 岡山駅前店(Tel.086-238-3535)
〒700-0023
岡山県岡山市北区駅前町1-8-18 イコットニコット2階