第13回となる、2023年の「広島本大賞」が発表され、ノンフィクション部門は『ある行旅死亡人の物語』(武田惇志、伊藤亜衣/毎日新聞出版)、コミック部門は『男子校の生態』(コンテくん/KADOKAWA)が受賞となりました。
「広島本大賞」は、広島の書店員とタウン情報誌有志が広島の魅力に溢れた本を紹介し、その中から「広島本大賞」として毎年発表している、広島発の本の賞です。受賞作の詳細は下記の通りです。
なお、授賞式は11月25日(土)の開催で、受賞作家を招いての有観客による実施が検討されています。
2023年(第13回)広島本大賞 受賞作
【ノンフィクション部門】
- ある行旅死亡人の物語
- 著者:武田惇志 伊藤亜衣
- 発売日:2022年11月
- 発行所:毎日新聞出版
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784620327587
2020年4月。兵庫県尼崎市のとあるアパートで、女性が孤独死した。
現金3400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑......。記者二人が、残されたわずかな手がかりをもとに、身元調査に乗り出す。舞台は尼崎から広島へ。たどり着いた地で記者たちが見つけた「千津子さん」の真実とは?「行旅死亡人」が本当の名前と半生を取り戻すまでを描いた圧倒的ノンフィクション。(毎日新聞出版公式サイト『ある行旅死亡人の物語』より)
【コミック部門】
- 男子校の生態
- 著者:コンテくん
- 発売日:2023年03月
- 発行所:KADOKAWA
- 価格:1,210円(税込)
- ISBNコード:9784041136171
男子だらけの世界も、悪くない。
男子校に中学高校6年間通っていたコンテくんの日常を、ゆるっと描いたエッセイ漫画。これまでTwitterで公開していた既存作の再録のほか、描き下ろしも多数収録!(KADOKAWA公式サイト『男子校の生態』より)
選考経過について
選考会では、選考委員からの推薦が多かった『アナウンサー辞めます』『ある行旅死亡人の物語』『男子校の生態』『102歳、一人暮らし。』『本屋で待つ』の5作品を中心に検討が重ねられました。
推薦の声がもっとも多かったのが、受賞作となった『ある行旅死亡人の物語』です。読み応えのあるルポであり、謎がすべて解決しない点も含めてリアリティがあること、著者である記者たちの執念も感じさせる内容が高く評価されました。一方で「死亡人の出身地がたまたま広島だった、という内容のルポを『広島本大賞』としていいものか」という意見もあったものの、ノンフィクションとしての完成度などの評価が上回り、受賞作となりました。
『男子校の生態』は、「作中では広島とは書かれていない」「下ネタが多い」といった意見もあったものの、モデルである修道中学校・高等学校(広島県広島市)の関係者が読めば地元だとすぐわかること、また楽しく読めるコミックエッセイで、大賞作品として広くアピールできることが評価されました。
『アナウンサー辞めます』も人気アナウンサー・横山雄二さんの想いが伝わる小説で、強く推す声があったものの、残念ながら受賞には至りませんでした。
第13回広島本大賞ノミネート作品(タイトルの五十音順)
・『アナウンサー辞めます』横山雄二(角川春樹事務所)
・『ある行旅死亡人の物語』武田惇志、伊藤亜衣(毎日新聞出版)
・『陰陽師と天狗眼―巴市役所もののけトラブル係THE COMIC―(1)』漫画:三戸、原作:歌峰由子(キルタイムコミュニケーション)
・『世界のリーダー185人 ヒロシマ、ナガサキで発した「言葉」』三山秀昭(南々社)
・『男子校の生態』コンテくん(KADOKAWA)
・『チョコレート最強伝説 尾道のチョコレート工場「ウシオチョコラトル」の物語』中村真也(晶文社)
・『102歳、一人暮らし。 哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』石井哲代、中国新聞社(文藝春秋)
・『星屑すぴりっと』林けんじろう(講談社)
・『本屋で待つ』佐藤友則、島田潤一郎(夏葉社)
※2022年4月~2023年3月発売(奥付ベース)の本が対象です
広島本大賞実行委員が所属する書店 ※広島県内の書店
ウィー東城店、紀伊國屋書店(広島店、ゆめタウン広島店、ゆめタウン廿日市店)、啓文社、廣文館、ジュンク堂書店広島駅前店、広島蔦屋書店、フタバ図書(五十音順)