「#木曜日は本曜日」プロジェクト
2022年10月に始動した、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指すプロジェクト「#木曜日は本曜日」(主催:東京都書店商業組合)。毎週木曜日に本屋と本を愛する著名人やインフルエンサー、作家などの十数人が、「人生を変えた本」をテーマに実際に本屋で語るインタビュー動画を公開するとともに、彼らが選んだ人生を変えた本10冊を東京都内の約180店舗で販売するという試みです。
第1弾となる俳優・歌手の上白石萌音さんから、第18弾の俳優・松岡茉優さんが紹介する人生を変えた本については、特設サイトおよび東京都書店商業組合公式YouTubeチャンネル「東京の本屋さん~街に本屋があるということ~」にて動画を公開中です。
関連記事
・「死にゆく人間が一番生命力に溢れている」劇作家・芥川賞作家の本谷有希子の人生を変えた本とは?「#木曜日は本曜日」プロジェクト第16弾
2月16日(木)からの第19弾は、声優の梶裕貴さんが担当します。
梶裕貴さんプロフィール
声優、ナレーター。第7回(2012年)、第8回(2013年)に声優アワード主演男優賞を史上初2年連続で受賞。
代表作に2013年~「進撃の巨人」エレン・イェーガー役を務める。ほかにも、2012年~「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの広瀬康一役、2012~2013年「マギ」シリーズのアリババ・サルージャ役、2014年~「七つの大罪」メリオダス役、2016年〜「僕のヒーローアカデミア」轟焦凍役、2019年~「MIX」立花投馬役、2019年~「鬼滅の刃」錆兎役など、多数出演。
映画では2019年「天気の子」高井役、2019年「名探偵コナン 紺青の拳」リシ役、2022年「かがみの孤城」ウレシノ役などに出演。
ゲーム出演は「白猫プロジェクト」主人公役、「FINAL FANTASY零式」エース役。
趣味は旅行。
梶裕貴さんの人生を変えた10冊
『アレクサンダとぜんまいねずみ』(作:レオ・レオニ、訳:谷川俊太郎)
- アレクサンダとぜんまいねずみ
- 著者:レオ・レオニ 谷川俊太郎
- 発売日:1988年04月
- 発行所:好学社
- 価格:1,650円(税込)
- ISBNコード:9784769020059
ねずみのアレクサンダは、子供達にちやほやされる玩具のぜんまいねずみがうらやましくて仕方ありません。しかしある日、その玩具はゴミ箱に捨てられていたのです・・・
(好学社公式サイト『アレクサンダとぜんまいねずみ』より)
選書コメント:小学生の頃、国語の時間に「この作品をテーマにして勉強しよう」という授業があって、僕にとって初めて触れたレオ・レオニ作品が『アレクサンダとぜんまいねずみ』です。宿題の一環として、家で自分の家族に音読をして評価をしてもらいましょうというのがありました。(いまから)2~3年前に、母からその当時の音読をしているホームビデオの映像が送られてきたのですが、文章を読むということの「原体験」だったように思えます。映像を見ると、本当に楽しそうにのびのびと、役ごとにちょっと声を変えてみたり、声を小さくしてから大きくしたりと、いま見ると「意外とちゃんとやっているな」と(笑)。そこで何かを声に出して読むということを、自分の中で楽しいもので、特別な体験として印象づけてくれた経験というのが、もしかすると、いま声の仕事をしていることに繋がっているのかなという意味で、人生を変えてくれた1冊じゃないかなと思います。
『進撃の巨人』(諌山創)
巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の闘いが始まってしまう。
(講談社コミックプラス『進撃の巨人(1)』より)
選書コメント:主人公のエレン・イェーガー役を担当させていただいているわけですけれども、(先述の)絵本での声を使った表現、その体験からいまここに繋がっている作品で、僕の人生を変えてくれた1冊に間違いなく入る作品です。これがなければ、いま声優をやれているかというレベルで、関われたこと自体もそうですし、作品の描いているもの、そこから受ける心の変化や考え方というものも含めて、大きな影響は受けていますね。自分というものを改めて見つめ直すというか、こんな部分があったんだなというのを、すごく引き出してもらいました。演じることは表面的なことだけではないので、その時のエレンがどう思って、いままでのエレンがどうだったからいまこうなっているというものを、全部落とし込んで表現する必要があります。どうしても残酷さや醜さというものが軸になってきてしまう中で、自分自身のそういう部分にも向き合わなきゃいけなくて、エレンという人間がこんなにも自分と似てたんだと思うようになりました。
『あなたのための短歌集』(木下龍也)
- あなたのための短歌集
- 著者:木下龍也
- 発売日:2021年11月
- 発行所:ナナロク社
- 価格:1,870円(税込)
- ISBNコード:9784867320068
歌人・木下龍也さんが「お題」を受けて作歌する短歌の個人販売プロジェクト「あなたのための短歌」が一冊の歌集になりました。
依頼者の協力を得て、これまで作歌した700首の中から100題100首を一冊に収めました。歌人がひとりの想い(お題)と向き合うことで生まれた短歌が詰まった歌集です。(ナナロク社公式サイト『あなたのための短歌集』より)
選書コメント:「あなたのための」というのは、木下さんに依頼をしてくるひとりひとりの人たちのことで、こういうテーマで自分にとっての、自分のための短歌をひとつ作ってくださいという企画で、そこから選ばれた100作が掲載されています。注文、依頼の内容も人それぞれで、例えば「愛」でお願いしますとか、勇気づけられるような歌をお願いしますなどさまざまあるなかで、ここまで寄り添ってひとりひとりに書かれているというのが、本当に素晴らしいなと思いました。その中には「これは自分もそうだな」と思うものもあって、この「あなた」というものには、読者のことも入っているんだろうなと。いろいろなテーマがあるので、きっと読むタイミングによって感じ方が違う作品です。
動画の紹介
プロジェクトの背景
近年、電子書籍の台頭・書籍のネット購入率の増加などを受け全国の本屋の数が激減しています。2000年には21,495店舗存在した本屋が2020年には11,024店舗(出版科学研究所調べ)と約半数にまで落ち込み、東京都にある中小書店(街の本屋)を中心に組織する東京都書店商業組合の加盟店舗数もまた、2022年1月時点で287店とピークだった1984年の1,426店から8割程度減少しています。
こうした苦境を受け同組合では、お客様の忙しい日々の中でゆっくり本と向き合う時間として、週の真ん中に位置する“木曜日”に目を向け、週に1回本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指して「#木曜日は本曜日」プロジェクトを開始しました。
同プロジェクトは東京都中小企業団体中央会の特別支援「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」として、同中央会より委託を受け、東京都書店商業組合が運営しています。