エレガントな毒の吐き方 脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術
著者:中野信子
発売日:2023年5月
発行所:日経BP発行、日経BPマーケティング発売
価格:1,320円(税込)
ISBN:9784296000944
『エレガントな毒の吐き方 脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術』の要点
1.分かる人にだけ分かるように嫌みを言い、相手に真意を察してもらうのが京都風のコミュニケーションだ。
2.無理な依頼をされたとき、京都風にやんわり断るフレーズは「いえ、うれしいですけどちょっと。もっと合っている方を探しましょうか」だ。
3.相手を褒めているように見せかけると、角の立たない伝え方になる。たとえば、ピアノの音がうるさいと伝えたいときには「お嬢さん、ピアノが上手どすなぁ」という表現がぴったりだ。
『エレガントな毒の吐き方 脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術』レビュー
誰かからイヤなことをされたとき、あなたならどうするだろう? ハッキリと「迷惑です」「やめてください」と言えるシチュエーションもあるだろう。だが、上司や取引先など、関係を切れない人が相手だったら? おそらく多くの人はぐっと我慢するはずだ。
相手との関係を断ち切るわけでも、黙って我慢するわけでもない。ふんわりと言い返して、相手が真意に気づいて行動を改めてくれたらOK、そうでなければ「なんて鈍い人!」とこっそり嘲笑して留飲を下げる――これが本書の提案する知的戦略「エレガントな毒の吐き方」だ。
著者の中野信子氏によると、この戦略のお手本は京都人の「イケズ」である。有名なのは「元気なお子さんやねえ(=うるさいよ、静かにさせなさい)」だろう。分かる人は「嫌みを言われている」と気づくが、そうでない人にとってはただの褒め言葉であることがポイントだ。
著者によると、こうした“言いにくいことを賢く伝える”コミュニケーションは脳科学的に見ても合理的だそうだ。人間の脳は本来、ヒエラルキーで上位に立つために、相手を言い負かすことを好む傾向にある。だが現代においては、大きな集団の中に小さな集団が複数あり、それぞれの行き来が頻繁に発生する。今日の敵は明日の味方かもしれないから、相手を言い負かしてサヨウナラ、とはいかないのだ。
本書では、京都人への聞き取りをもとに、エレガントな毒の吐き方のルールが示される。本書で京都風の伝え方を習得すれば、コミュニケーションのモヤモヤが晴れること請け合いだ。
『エレガントな毒の吐き方 脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術』が気になる方におすすめ
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