村上春樹、星野源、清少納言……時代とジャンルを超えて人気の文章に共通する「裏技」を解剖
『「好き」を言語化する技術』などで知られる文芸評論家の三宅香帆さんによる新刊『文体のひみつ なぜあの人の文章はつい読んでしまうのか?』が、12月9日(火)に発売されます。
本書では、過去の文学作品から現代のSNSまで、時代やジャンルを超えてあらゆる文章を横断的に分析することで、人の心をつかむ「文体」のひみつが明らかにされています。
書き手の表現の幅を広げ、読書体験をより豊かなものにしてくれるであろう本書を、ぜひ店頭でお手にとってご覧ください。
文体とは、書き手の「味」であり「歌い方」
本書の中で三宅さんは、“読書を楽しむには、「内容」や「ストーリー」のほかに、言葉のリズムや語り口、間の取り方といった「文体」を味わうことが大事”と述べています。
文体とは、絵画でいえば「絵のタッチ」、音楽でいえば「歌い方」のような、書き手固有の表現の癖のことです。
書き手の個性は、「ストーリー(何が書かれているか)」よりも「文体(どう書かれているか)」にこそ色濃く現れます。 同じ出来事や発見をつづったとしても、文体が変われば、伝わり方はまったく変わってきます。
正しく、わかりやすく書くことは、今やAIでも可能です。しかし、「正確で丁寧な文章」がウェブ上にあふれた結果、かえって「読み飛ばしていい文章」と認識されつつあります。だからこそ、書き手の個性を出して読んでもらう文章を作るためには「文体」が重要なのです。
三宅香帆が文体に強く惹かれる理由
長年にわたり、文章の「内容」よりも「書き方」を愛でてきた三宅さんは、自らを“文体ウォッチャー”と称し、そのオタク的な情熱と批評眼で、あらゆる書き手の「文体の癖」を見抜きます。
その感性は極めて鋭く、文体の特徴から知り合いの裏アカウントを3回も発見したり、父親の学生時代の作文の中に、他者の小説を書き写した部分があることを見抜いたという逸話を持つほどです。
「新しい文体に出会えたとき、顔が赤くなるほどうれしい」という三宅さんは、「文体そのものを愛でる楽しさ」を読者と共有したいという強い思いで本書を執筆されました。
ジャンルを超えた「文体」の秘密を解読
本書は、三宅さんが長年追求してきた「インターネット時代の書き手」と「昔ながらの文豪」の文体を並列して語るという視点に基づき、時代やジャンルの垣根を越えた分析が展開されています。人を惹きつけ、先を読ませ、記憶に残す「文体」の具体的な技術を、著名な作家やクリエイターたちの作品から抽出して紹介されています。
書籍情報

著者:三宅香帆
発売日:2025年12月9日
発行所:サンクチュアリ出版
定価:1,320円(税込)
ISBN:9784801401624
「伝わる文章」と「読まれる文章」は違う?
ニュースやSNS、メール、レビュー。
私たちは毎日、たくさんの文章を読んでいる。
…けれど、心に残る言葉はほんのわずか。
なぜ、特定の文章だけが記憶に残るのだろうか?
その秘密は「文体」にあった!
本書は文芸評論家・三宅香帆が、「文体」という謎を読み解く一冊。
正しくてわかりやすいだけでは届かない、「人の心を動かす言葉」の技術を、本や日常の言葉から探り出す。
文章がもっと好きになる、新しい「ライティング入門」。(サンクチュアリ出版公式サイト『文体のひみつ なぜあの人の文章はつい読んでしまうのか?』より)
著者プロフィール

三宅香帆
みやけ・かほ。文芸評論家。京都市立芸術大学非常勤講師。1994年高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中退。主に文芸評論、社会批評などの分野で幅広く活動。著書に『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』『「好き」を言語化する技術』『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』など多数。
