人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

  1. HOME
  2. 本と人
  3. ひと・インタビュー
  4. YouTuber兼社長・ドズルさんの本との向き合い方|書店コラボ開催記念インタビュー【前編】

YouTuber兼社長・ドズルさんの本との向き合い方|書店コラボ開催記念インタビュー【前編】

2025年12月26日(金)~2026年1月25日(日)の期間、ゲーム実況グループ「ドズル社」と、「BOOK MEETS NEXT」がタイアップした書店コラボキャンペーンが開催されます。

〉キャンペーン詳細はこちら

BOOK MEETS NEXTとは

「本との新しい出会い、はじまる」をスローガンに2022年よりスタートしたキャンペーンです。
多くの地域から書店がなくなり、本が読まれなくなったと言われているこの時代に「本が好きな人」をこれまで以上にワクワクさせ、一方で、まだまだ「本との距離感が遠い人」には魅力的な本との出会いを届ける仕掛けを出版業界が一丸となって実施しており、年間を通してさまざまな企画、イベントをおこなっています。

〉「BOOK MEETS NEXT」最新情報はこちら

今回「ほんのひきだし」では、書店コラボキャンペーンの開催を記念し、「人生というゲームをもっと楽しく」という理念のもと挑戦を続けるドズル社のリーダー・ドズルさんにインタビューを行いました。

YouTuberとして、そして株式会社ドズルの代表取締役社長として活躍するドズルさんの本への思いや、コンテンツづくり・経営において本から得ているヒントについてお話を伺いました。

インタビューは前後編でお届け! 読書がぐっと身近に感じられる内容になっていますので、ぜひ最後までお楽しみください。

 

「現場のリアルがわかるのは本ならでは」ドズル流・本から学ぶ経営者の視点

――ドズルさんはビジネス書をよく読まれるとのことなのですが、読書をするようになったきっかけをお伺いしてもよろしいでしょうか? 

ドズル 昔からずっと本が好きで、文学少年でした。中学生の時は、夏目漱石が大好きでしたし、高校生の時はミステリーにはまって、アガサ・クリスティの本をよく読んでいましたね。いろいろなジャンルの本に触れて、学生時代を過ごしてきたなと思います。

――学生のころからずっと読書がお好きなんですね。最近はどんな本を読まれているのですか?

ドズル 今はビジネス書を読むことが多いです。本を読むことで、ものづくりに対する姿勢やコンテンツづくりにおいてのヒントをたくさんもらっていますし、会社経営をするうえでも大いに生かしている実感があります。

たとえば僕が大好きな本だと、ロバート・アイガーさんの著書『ディズニーCEOが大切にしている10のこと』や、任天堂の元社長・岩田聡さんの言葉をまとめた『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』などがあります。

ディズニーCEOが大切にしている10のこと
著者:ロバート・アイガー 関美和
発売日:2023年04月
発行所:早川書房
価格:1,210円(税込)
ISBNコード:9784150506001

岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。
著者:ほぼ日刊イトイ新聞 糸井重里
発売日:2019年07月
発行所:ほぼ日
価格:1,870円(税込)
ISBNコード:9784865014228

僕たちが今「すごい大企業」だと思っているような会社でも、トラブルに直面したときそれをどう乗り越えてきたのか――そうした話って、普通はなかなか聞けないと思うんですよね。でも本だと、そういう出来事やそのときの心情まで細かく書かれていて、まるで当時の現場をのぞいているような感覚になるんです。

たとえば、ディズニーランドを建設した頃の話と、その後、数十年経ってディズニーから新しいIPが生まれにくくなってきたタイミングで、マーベルやスター・ウォーズの買収を決断したときの社長の話もまた全然違っていて。

同じ企業でも、時代やフェーズによって、社長が考えていることや語る内容がまるで違う。もちろん社長自身も代替わりしているんですが、その変化がおもしろいんですよ。

――読書の幅が広がる中で、現在読んでいる本や、最近「この領域に興味が出てきたな」と感じて手に取るようになった本など、読書の傾向に変化はありますか?

ドズル 昔は経営者としての勉強をもっとしたいと思っていたので、いわゆるビジネス書の王道と言われるものはとりあえず読みました。『ビジョナリー・カンパニー』や『影響力の武器』など、経営者1年目はみんな読んどけって言われる本はとにかく読んでましたね。

ビジョナリー・カンパニー
著者:ジム.コリンズ ジェリ・I.ポラス 山岡洋一
発売日:1995年09月
発行所:日経BPマーケティング
価格:2,136円(税込)
ISBNコード:9784822740313

影響力の武器 新版
著者:ロバート・B.チャルディーニ 社会行動研究会
発売日:2023年11月
発行所:誠信書房
価格:3,190円(税込)
ISBNコード:9784414304299

社長同士で話していても、「あの本チェックしておいたほうがいいよ」とか、先輩経営者と本の話をすることも多々あり、とりあえずおすすめされたものはいったん買って読むというのは僕のなかで大切にしている習慣です。

最近は自分たちのジャンルに関わる本、もしくはエンターテインメントやコンテンツづくりに関連する本を手に取ることが増えました。

たとえば『イン・ザ・メガチャーチ』という、「ファンダム」や「推し活」をテーマにしている本を読んだのですが、かなり推し活の洞察が深くてですね。朝井リョウさんの人の観察力が素晴らしくて、ちょっと生々しいなと思うくらいでした。

イン・ザ・メガチャーチ
著者:朝井リョウ
発売日:2025年09月
発行所:日経BP
価格:2,200円(税込)
ISBNコード:9784296121045

 

「大きい課題こそゲームの大イベントのように」ドズル社長の仕事の捉え方

――どんなきっかけで新しい本を手に取ることが多いですか?

ドズル ひとつは、会社に「読書クラブ」のような仕組みを作っていて、ビジネス書を中心に自分が読んだ本を投稿してシェアする「本棚」があるんです。そこで社内のメンバーに、「おもしろそうな本をどんどんおすすめしてほしい」とお願いしています。まずは10冊くらいリストを作ってもらって、とりあえず全部買う。その中から気になったものを順番に読んでいく、という出合い方をしています。

どうしてもインプットって自分の「好き」に寄ってしまうので、意識的に偏りを減らすための工夫ですね。

もうひとつは、本屋さんをぶらぶらすること。休日に小一時間くらい歩いていると、「こんな本出てたんだ!」みたいな思わぬ出合いがあって楽しいんですよ。最近だと、『ジョジョの奇妙な冒険』作者の荒木飛呂彦先生が書いた本を偶然見つけて購入しました。

荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方
著者:荒木飛呂彦
発売日:2024年11月
発行所:集英社
価格:1,034円(税込)
ISBNコード:9784087213386

ネットでは気づけない、リアル書店ならではの発見があるので、気になった本はその場で片っ端から買うことも多いですね。

――社内に読書クラブがあるのはおもしろい取り組みですね。逆に、ドズルさんが社内でおすすめしたい一冊はありますか?

ドズル ジブリが大好きなので『スタジオジブリ物語』は全員の必読書にしたいですね(笑)。

スタジオジブリ物語
著者:鈴木敏夫
発売日:2023年06月
発行所:集英社
価格:1,760円(税込)
ISBNコード:9784087212686

――ちなみに、ドズルさんがもし本を出すとしたら、どんな内容の本を作ってみたいと思いますか?

ドズル そうですね。僕が本を出すとしたら……難しいですね。

たとえば、ゲーム的思考が僕はすごく好きなんです。経営というのもゲーム的な部分が多いと思っています。会社の中で、どうしようもない課題やトラブルがバーンって出てくることがありますよね。現実世界だと、多くの人は課題が大きいほど落ち込みやすい。

でも、ゲームだと強敵が出てくるほど、「あのゲーム難しかったけど、めちゃくちゃ楽しかったな」って、後からむしろ良い思い出になるんですよ。

だから僕は、現実の課題もゲームの大イベントみたいに捉えて、「あ、今の強敵はこれだな」と考えるようにしています。そうすると、しんどいことも少し楽しくなるんですよね。こういう「課題の捉え方」について書けることがあれば、書いたらおもしろいかもしれません。

 

「今、自分たちがワクワクしているかどうか」5周年を前にドズル社が見据える次のステージ

――今年のドズル社の活動を振り返って、特に印象に残っている出来事があれば教えてください。

ドズル ドズル社も2026年1月3日に5周年をむかえるので、企画がマンネリ化しないように、今年はとにかくいろいろな新しいことにチャレンジしました。

夏に「自転車で発電した電気を使って、マイクラのラスボスを討伐する」という企画をやったんですけど、あれは本当にバカっぽくて最高の企画でしたね。自転車をこぐのが本当にきつかったですけど、一番記憶に残ってます。

――ファンの方を楽しませたいという意図が前面に出ていて、すごくいい企画だなと思って拝見しておりました。5周年も控えているなかで、今後、ドズル社として目指していきたい方向や目標はありますか? 

ドズル ひとつはグループとしての目標で、僕たちは今「マインクラフト」というゲームを中心に活動していて、マイクラの中でも日本で一番おもしろいコンテンツを作りたいと思っています。日々おもしろいものを届けることを意識していますが、これからもその部分にはとことん向き合って、追求していきたいです。

もうひとつは、個人としての活動です。来年からは、メンバー5人それぞれが好きなことや挑戦したいことにより力を入れていけたらと思っています。たとえば僕は大会の主催や企画を頑張りたいなと思っていますし、音楽活動を頑張りたいメンバーもいます。

グループとしての活動を大切にしながらも、それぞれの個性をもっと伸ばしていきたいです。

――メンバーだけではなく、ドズル社のスタッフの方々も、それぞれ得意な分野や「好き」を活かしながら会社を動かしている印象があります。 やはり社内でも、「好きなことを突き詰める」という文化があるのでしょうか?

ドズル 「好き」とか「楽しい」っていう感覚は、やっぱりすごく大事だと思っています。どうしても数字とか売上とか、お金のことばかりに目が向くと、そうした直感的な感覚ってないがしろにされやすい部分なんですよね。

でも、エンタメを作るうえでは「今、自分たちがワクワクしているかどうか」を一番大切にしていますし、そのワクワクをどうやってコンテンツに込めていくか――そこは、僕たちが全力で取り組んでいるところです。

――ありがとうございます。インタビュー後編では、さらにエンタメや「好き」について深掘りした内容をお聞かせいただければと思います!

インタビュー後編は12月22日(月)に公開予定です。お楽しみに!

 

ドズル社について

ドズル社概要

医大生からYouTuberになった異色の経歴を持つ「ドズル」をリーダーに、5名のメンバーで活動するゲーム実況グループ。

ドズル、ぼんじゅうる、おんりー、おらふくん、おおはらMENの5名で「マインクラフト」を中心としたゲーム実況動画を毎日公開し、チャンネル登録者数は258万人(2025年12月時点)を突破。「人生というゲームをもっと楽しく」というテーマでゲーム実況者の枠を超えたさまざまなエンターテインメントを提供している。

・YouTubeチャンネル|https://www.youtube.com/@dozle
・X|https://x.com/dozle_official
・公式サイト|https://www.dozle.jp