一緒に手を動かそう! ひろゆき氏が教える「プログラミング」
2025年度から大学入学共通テストに「情報」科目が導入された今、プログラミング教育への関心が高まっています。しかし「プログラミングって難しそう」「子どもにどう教えたらいいの?」と考える人も多いはず。そんな不安を一気に解決してくれるのが『ひろゆき式 10歳からのプログラミング入門』です。
この本は小学校高学年の子どもたちはもちろん、一緒に学びたい保護者、そしてプログラミングに興味はあるけど「今さらかも……」と躊躇している大人にもピッタリ。特別な予備知識がなくても、無理なくプログラミングに親しめる工夫に満ちた1冊です。
学ぶのは「HTML」と「JavaScript」。「プログラムを打てるようになるためには、プログラムを打つしかない」というひろゆき氏の哲学に基づき、実際に手を動かして本物のプログラミングコードを打つ体験に特化しています。
著者の西村博之(ひろゆき)氏は、「2ちゃんねる」「ニコニコ動画」の創設者として知られる実業家。

子どもの頃から独学でプログラミングの技術を身につけた経験の持ち主でもあります。
ときに「論破王」とも呼ばれるロジカルな話し方で、複雑なプログラミングの概念をわかりやすく教えます。大規模サービスを開発し、社会を変えてきたひろゆき氏は、プログラミングの本当の面白さと将来性を子どもたちに伝えることができる理想的な先生なのです。
「魔法みたい」を「理解」する
本書の最大の魅力は、「Webページ」「ガチャ」「おみくじ」という身近で楽しいテーマを通じて、実際に動くものが作れること。
プログラムって、仕組みを知らない人には「魔法」に見えるんだよ。
そんな「魔法」を使ってみたい子どもたちがパソコン操作に戸惑わないよう、本書にはキーボード操作やファイル保存場所に関する設定が細かな部分までわかりやすく図示してあります。

パソコン操作に慣れている大人にはむしろ気づけないようなつまずきの芽が事前に摘まれているから、子どもをはじめとする読者は「わかりやすい」「話が早い」と感じながら学習を進められるはず。
プログラミングに関する知識が何もなくても大丈夫。

「もうひとつメモ帳をひらこう」「~~と打ってみて」といった指示に従うだけで、気づけばWebページにテキストや図を表示できていたり、サイコロのようにランダムな数を表示するウインドウを出せたりと、「できた!」感激を味わうことができます。「簡単な操作をしていたはずが、いつの間にか本格的な作品ができていた」……そんな体験も、まさしく魔法のようです。

しかも、そのために必要なイラストや写真を格納した「ひろゆき式プログラミング」専用サイトが用意されています。「見栄えがよく、権利的な問題もない素材をあらかじめ探す」といった準備に大人が奔走しなくてもいいのも嬉しいポイント。
そして本書の真価は「作品を完成させる」ことにとどまりません。ひろゆき氏は言います。
「どう計算するのが正しいのか」を知らないと、コンピュータにはまかせられないよ。
さらにあとがきでは、こんな問いを投げかけています。
さてさて、みなさんは、
ロボットや機械を使う大人になるのか?
ロボットや機械に使われる大人になるのか?
どちらがいいですか?
本書ではひとつひとつ勉強して、手を動かすことの必要性が何度も語られます。
プログラミングを学ぶということは、単にコードを書けるようになることではない。論理的に思考し、問題を分解し、コンピュータに正確な指示を出せるようになること。つまり、技術に振り回されるのではなく、技術を理解して使いこなす側の人間になることだ……。
そんなひろゆき氏の一貫したメッセージが流れているのがわかるはず。
「できた!」で身につく「プログラミング的思考」
子どもたちは楽しい制作過程を通じて、自然と「プログラミング的思考」を身につけていきます。「できた!」という達成感はその場の満足にとどまらず、「自分にもテクノロジーをコントロールできる」という自信につながるでしょう。
本書は情報科目対策の基礎固めとしてプログラミングの面白さを実感させてくれるだけでなく、あらゆる学習分野で求められる論理的思考力と問題解決能力も伸ばしてくれるはず。
AI時代を生きる子どもたちにとって大きな財産となる1冊です。
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(レビュアー:中野亜希)
- ひろゆき式10歳からのプログラミング入門
- 著者:西村博之
- 発売日:2025年09月
- 発行所:講談社
- 価格:2,420円(税込)
- ISBNコード:9784065405925
※本記事は、講談社|今日のおすすめ(書籍)に2025年10月18日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。

