ごみを出したあとは、どうなる?
ごみをごみ箱に捨てて、そのごみ箱の中身を、ごみの日に出す。ではその先を想像したことは? 知れば知るほど面白くて、自分の暮らしにもいい変化をもらえる本だ。この本をきっかけに私の身に何が起きたかというと、ごみが減った。本当だ。あと、ごみを捨てるのがちょっとした「ゲーム」に変わった(どういうゲームかは、後ほどご紹介します)。
『まんがで読める ごみってなんだろう? 世界一わかりやすいごみの本』は、お笑い芸人のマシンガンズ・滝沢秀一さんと妻の滝沢友紀さんによるエッセイまんが『ゴミ清掃員の日常』をもとに、小学中学年が学びやすいように構成されたもの。まんがと図解とコラムで、ごみについて楽しく学べる。
社会科の課外授業でもここまでは教えてもらえない。面白い!
『ゴミ清掃員の日常』は、お笑い芸人を続けながらごみ清掃員としても働く滝沢秀一さんが自身の仕事や日常の中で見つけた「ごみ知識」を描いた作品で、累計で10万部を突破する人気シリーズだ。大人でも知らないことがいっぱい書いてある。
ごみ清掃車の断面図やいろんなボタンにテンションが上がる。朝にすれ違ったら振り返って様子を見てみよう。
ところで、大人も子どもも、毎日ごみを捨てる。しかも一生続く生活の重要な部分だ。だからごみを捨てた「あとのこと」を、みんなで想像できるようになるのは、すごく大切で、自分のためになることだと思う(もちろん私たちが生活する土地や、もっというと地球のためにもなる)。この本はその助けになるはずだ。
ごみの中から再生資源を探せ!
実際にやってみると面白く、結果として我が家のごみも減ってしまうきっかけとなったエピソードがこちら。
ある日の収集で、滝沢さんは先輩からこんな指摘を受ける。
私も「資源ごみ」って呼んじゃってた! そう、ペットボトルやワインの空きビンは「ごみ」ではないのだ。そして滝沢さんが抱えているこの紙袋も……?
古紙は資源。濡れたり汚れたりしていない紙は古紙として回収してもらえる。恥ずかしながら打ち明けると、私はこの古紙については、あまり分別してこなかった。で、試しに「濡れたり汚れたりしていない紙」をごみ箱に入れるのをやめて、紙袋に入れるようにしたら、可燃ごみが劇的に減った。どうしちゃったの? というくらい減った。まさに滝沢家と同じことになったのだ。
これがもう面白くてしょうがない。今までなら「“チラシお断り”のシールを郵便受けに貼ってもまだ投函してくるなんて、豪胆な人だな」……と少しあきれながらチラシをごみ箱へ放り込んでいたのに、今では「よっしゃ! ウチに来たからには資源として旅立ってもらうよ!」と勢いよくチラシをひっつかんでしまう。もはや宝探しの気持ちで紙と向き合っている。一度やってみるとヤミツキになるはず。ぜひお試しあれ!
なお、私が目をギラギラさせながら集めた古紙は、回収されたあとにどんなプロセスを経て再び紙となるか。そんな古紙の旅もこの本はわかりやすく教えてくれる。読むとますますやる気が湧いてくる。
清掃員を困らせるごみの出し方
清掃員の日常や、ごみ処理のいろんな工程、分別の大切さ。いろんなことを学べる本だ。
ビンと缶の回収が実は別々に行われていることや、古紙がきれいに並べられて回収され、古紙回収業者の手に渡っていくことも、私はこの本のおかげで知った。
さて、夏に一番大変なものは何でしょう? 実際に読んでみてほしい。この夏もたくさんお世話になった人がいるはず。
そして「こんなごみの出し方は困る」という例もたくさん教えてもらえる。これがなかなかショックなのだ。
口を縛らないで出されたごみがどうなってしまうかを知れば、こんな出し方は絶対にしなくなるはず。口を縛られていなくて大変なことになったごみについて「彼だってかわいそう」と言う滝沢さんの人柄が私はとても好きだ。
ちなみに、私が目下夢中になっている「資源」についても、いかにも資源になりそうな気がするのに実は資源にはならず、ごみで出さないといけないものも紹介される。例えば「食べ終わったピザの箱」は、見るからに段ボールなのに、まさかの燃えるごみなのだ。なぜ資源の仲間に入れないのか、そして便利な捨て方も学べる。かゆいところに手が届く本なのだ。
毎日の暮らしの視点、地球環境を守る視点、そして「お仕事」の視点。全てが地続きで、どんな人にも関係のあることだとよくわかる。いろんな角度からごみ知識に触れられる良書だ。
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(レビュアー:花森リド)
- まんがで読める ごみってなんだろう?
- 著者:講談社 滝沢秀一 滝沢友紀
- 発売日:2025年07月
- 発行所:講談社
- 価格:1,980円(税込)
- ISBNコード:9784065400234
※本記事は、講談社|今日のおすすめ(書籍)に2025年9月26日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。