金原ひとみさんプロフィール
金原ひとみ
かねはら・ひとみ。1983年東京都生まれ。2003年に『蛇にピアス』ですばる文学賞を受賞しデビュー。翌年同作で芥川賞を受賞。2010年『TRIP TRAP』で織田作之助賞、2012年『マザーズ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、2020年『アタラクシア』で渡辺淳一文学賞、2021年『アンソーシャル ディスタンス』で谷崎潤一郎賞、2022年『ミーツ・ザ・ワールド』で柴田錬三郎賞を受賞。他の著書に『AMEBIC』『オートフィクション』『fishy』『パリの砂漠、東京の蜃気楼』『デクリネゾン』『腹を空かせた勇者ども』『ナチュラルボーンチキン』『YABUNONAKA ―ヤブノナカ―』など。
「金原ひとみ」小説 2025年ベストセラーランキング発表
2003年に『蛇にピアス』で鮮烈なデビューを果たし、翌年同作で芥川賞を受賞して以来20年以上、現代文学の最前線を走り続けている作家、金原ひとみさん。その作品は、読む人の心に深く突き刺さるような強烈な世界観と、率直で大胆な表現が大きな魅力です。
金原さんの小説には、社会の片隅で生きる人々の心の闇や、秘めた欲望、現代の孤独が、息をのむほどリアルに描かれています。登場人物たちは、世間一般の「普通」から少しはみ出た場所で、自分らしい居場所を必死に探しています。彼女たちの赤裸々な感情や、痛みを伴うような正直な生き様は、読んでいるうちに「自分の中にもこんな感情があるかもしれない」と問いかけ、共感を呼び起こします。
家族や夫婦の形を問い直す『マザーズ』や、柴田錬三郎賞を受賞した『ミーツ・ザ・ワールド』など、表現の幅を広げながらも、その視線は常に人間の奥底にある、嘘のない本質に向けられています。
刺激的でありながら、どこか哲学的な深さを持つ金原さんの作品は、きっとあなたの心に新しい扉を開いてくれるはずです。この機会に、ぜひ人間の本質を鋭く見つめた物語を手に取ってみてはいかがでしょうか。
今回は、2025年の販売冊数(※)をもとに集計した、金原さんの小説ベストセラーランキングをお届けします。各作品のあらすじもあわせてご紹介しますので、ランキングを参考に、ぜひ書店店頭で気になる1冊を手に取ってみてください。
※ランキングは2025年の販売冊数を集計しています(集計期間:2025/1/1~2025/9/30)
※日販調べ
「金原ひとみ」小説 2025年ベストセラーランキング第1位
金原ひとみさんの小説で、2025年にもっとも人気の作品は、2022年に第35回柴田錬三郎賞を受賞した『ミーツ・ザ・ワールド』でした。
歌舞伎町を舞台に、焼肉擬人化漫画「ミート・イズ・マイン」をこよなく愛するも、自分のことは好きになれない27歳の主人公・由嘉里が、新たな世界と出会う物語です。
本作は映画化が決定しており、10月24日(金)から全国公開されます。
主人公・由嘉里役は杉咲花さん、希死念慮を抱えた美しいキャバ嬢・ライ役にはオーディションで抜擢された南琴奈さん、既婚者のホスト・アサヒ役には板垣李光人さん、そして人が死ぬ話ばかりを書く毒舌な作家・ユキ役を蒼井優さんが演じます。
原作と映画の世界観を、ぜひあわせてお楽しみください。
〉映画の公式サイトは、こちら
著者:金原ひとみ
発売日:2025年1月
発行所:集英社
定価:814円(税込)
ISBN:9784087447309
焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。
人生2度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く――。「どうして婚活なんてするの?」
「だって! 孤独だし、このまま一人で仕事と趣味だけで生きていくなんて憂鬱です。最近母親の結婚しろアピールがウザいし、それに、笑わないで欲しいんですけど、子供だっていつかは欲しいって思ってます」
「仕事と趣味があるのに憂鬱なの? ていうか男で孤独が解消されると思ってんの? なんかあんた恋愛に過度な幻想抱いてない?」
「私は男の人と付き合ったことがないんです」推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は……。
(集英社公式サイト『ミーツ・ザ・ワールド』より)
「金原ひとみ」小説 2025年ベストセラーランキング
第2位『YABUNONAKA ―ヤブノナカ―』
- YABUNONAKAーヤブノナカー
- 著者:金原ひとみ
- 発売日:2025年04月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:2,420円(税込)
- ISBNコード:9784163919683
文芸誌「叢雲(むらくも)」元編集長の木戸悠介、その息子で高校生の越山恵斗、編集部員の五松、五松が担当する小説家の長岡友梨奈、その恋人、別居中の夫、引きこもりの娘。ある女性がかつて木戸から性的搾取をされていたとネットで告発したことをきっかけに、加害者、被害者、その家族や周囲の日常が絡みあい、うねり、予想もつかないクライマックスへ――。
(文藝春秋公式サイト『YABUNONAKA ―ヤブノナカ―』より)
第3位『ナチュラルボーンチキン』
- ナチュラルボーンチキン
- 著者:金原ひとみ
- 発売日:2024年10月
- 発行所:河出書房新社
- 価格:1,760円(税込)
- ISBNコード:9784309039169
毎日同じ時間に出勤退勤し、同じようなご飯とサブスク動画を詰め込む「ルーティン人生」を送る、45歳一人暮らしの「兼松書房」労務課勤務・浜野文乃(はまのあやの)。ある日、上司の指示で、「捻挫で三週間の在宅勤務」を続ける編集者・平木直理(ひらきなおり)の自宅へ行くと、そこにはホストクラブの高額レシートの束や、シャンパングラスと生ハム、そして仕事用のiPadが転がっていて――。
(河出書房新社公式サイト『ナチュラルボーンチキン』より)
第4位『アンソーシャル ディスタンス』
- アンソーシャル ディスタンス
- 著者:金原ひとみ
- 発売日:2024年02月
- 発行所:新潮社
- 価格:781円(税込)
- ISBNコード:9784101313351
心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、ストロングゼロに頼る女。年下彼氏の若さに当てられ、整形へ走る女。夫からの逃げ道だった、不倫相手に振り回される女。推しのライブ中止で心折れ、彼氏を心中に誘う女。恋人と会えない孤独な日々で、性欲や激辛欲が荒ぶる女――。絶望に溺れて掴んだものが間違っていたとしても、それは、今を生き抜くための希望だった。女性たちの疾走を描く鮮烈な5編。
(新潮社公式サイト『アンソーシャル ディスタンス』より)
第5位『蛇にピアス』
- 蛇にピアス
- 著者:金原ひとみ
- 発売日:2006年06月
- 発行所:集英社
- 価格:528円(税込)
- ISBNコード:9784087460483
蛇のように舌を2つに割るスプリットタンに魅せられたルイは舌ピアスを入れ身体改造にのめり込む。恋人アマとサディスティックな刺青師シバさんとの間で揺れる心はやがて……。第27回すばる文学賞、第130回芥川賞W受賞作。
(集英社公式サイト『蛇にピアス』より)
第6位『マザーアウトロウ』
- マザーアウトロウ
- 著者:金原ひとみ
- 発売日:2025年07月
- 発行所:UーNEXT
- 価格:990円(税込)
- ISBNコード:9784910207575
「俺らマブになろうぜ」。40歳の波那の目の前に現れたのは、上下金色でかためた53歳の義母・張子だった。出会ったその足で飲みからカラオケにはしご、昼休憩に美容整形、勢いで韓国へ弾丸旅行、と張子に付き合っていく。そのうち、嫁姑を超え、同じ女性として、人間として、改名、結婚式の有無、子供を持つことから始まり、お互い夫にも息子にも話したことのない過去や心に残るわだかまりと後悔、人生の選択について語り合うようになる。
(U-NEXT公式サイト『マザーアウトロウ』より)
第7位『アタラクシア』
- アタラクシア
- 著者:金原ひとみ
- 発売日:2022年05月
- 発行所:集英社
- 価格:836円(税込)
- ISBNコード:9784087443837
最も幸せな瞬間を、夫とは別の男と過ごす翻訳者の由依。浮気する夫や文句ばかりの母親、反抗的な息子に、限界まで苛立つパティシエの英美。妻に強く惹かれながらも、何をしたら彼女が幸せになるのか分からない作家の桂……。望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう――ままならない結婚生活に救いを求めもがく男女を、圧倒的熱量で描き切る。第5回渡辺淳一文学賞受賞作。
(集英社公式サイト『アタラクシア』より)
第8位『fishy』
- fishy
- 著者:金原ひとみ
- 発売日:2023年01月
- 発行所:朝日新聞出版
- 価格:814円(税込)
- ISBNコード:9784022650849
生きづらさを抱えながらも“いま”を愉しむ女たち
不倫の代償、夫の裏切り、虚ろな生活――
あらゆる幻想を塗り替える女性をめぐる本当の関係結婚したばかりの男に思いを寄せる作家志望の美玖。編集者の弓子は不倫する夫を監視しながら自尊心を守ることに必死だ。インテリアデザイナーのユリは仕事も家庭も充実しているように見えるが、本当の生活が見通せない。女たちの新たなつながりを描く物語。
(朝日新聞出版公式サイト『fishy』より)
第9位『軽薄』
- 軽薄
- 著者:金原ひとみ
- 発売日:2018年09月
- 発行所:新潮社
- 価格:649円(税込)
- ISBNコード:9784101313344
18歳の頃、カナは元恋人に刺されるも一命を取り留めた。29歳の今、仕事も夫と幼い息子との家庭も充実しているが、空虚な傷跡は残ったままだ。その頃、米国から姉一家が帰国しカナは甥の弘斗と再会。19歳になった彼に激しい愛情を寄せられ、一線を越えてしまう。カナに妄執する弘斗は危うげで、そしてある過去を隠していた――。二人を繋いでしまった、それぞれの罪と罰。喪失と再生の純愛小説。
(新潮社公式サイト『軽薄』より)
第10位『マザーズ』
- マザーズ
- 著者:金原ひとみ
- 発売日:2014年01月
- 発行所:新潮社
- 価格:1,045円(税込)
- ISBNコード:9784101313320
同じ保育園に子どもを預ける作家のユカ、モデルの五月、専業主婦の涼子。先の見えない育児に疲れ切り、冷めてゆく一方の夫との関係に焦燥感を抱いた母親たちは、それぞれに追い詰められてゆくが……。子どもへの愛情と憎しみに引き裂かれる自我。身も心も蝕む疲労、そして将来への深い不安――。不倫、虐待、流産などのタブーにあえて切り込み、女性性の混沌を鮮烈に描く話題作。
(新潮社公式サイト『マザーズ』より)
最新エッセイ&掌編小説『踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君』が10月7日発売
金原ひとみさんの『踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君』が、10月7日(火)に発売されました。
「朝日新聞」掲載からSNSで拡散され大きな話題となった「『母』というペルソナ」ほか、作家生活20年にわたって書き継がれたエッセイと掌編小説を完全収録しています。こちらもぜひ手に取ってみてください。
著者:金原ひとみ
発売日:2025年10月7日
発行所:朝日新聞出版
定価:1,980円(税込)
ISBN:9784022520913
希死念慮に苦しんだ10代、デビュー作による芥川賞受賞、結婚、出産、孤独で自由なパリでの生活、かけがえのない子供たち、離婚、そして新たな場所へ。
作家として、母として、個人として――
金原ひとみ 魂の遍歴『蛇にピアス』から『マザーズ』と経て、『アンソーシャルディスタンス』『YABUNONAKA ―ヤブノナカ―』へと結実した小説家の軌跡。
(朝日新聞出版公式サイト『踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君』より)