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ストリートチルドレンがパルクールで妖退治! 新感覚スタイリッシュアクション『東京アヤカシストリート』

東京アヤカシストリート

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新宿のストリートチルドレンが妹のために「妖(あやかし)」と戦う

舞台は(並行世界の)日本・東京。
主人公のハヤトは新宿・歌舞伎町を根城にし、盗難やひったくりなどで生計を立てるストリートチルドレンだ。獲物を見つけてはスリやひったくりを敢行し、たとえ被害者に気づかれて警察に追われても、決して追いつかれることはない。

自称「この街の風」を名乗るハヤトは、軽々とビルの外壁を駆け上り、屋上から屋上へと飛び移る。雑多に立ち並ぶ雑居ビルの狭間を飛び回るその姿は、まさに「風」のようだ。

ハヤトにはどこかツンデレな幼い妹・ひまりがいた。病弱であり入院中の彼女の生活費と治療費をねん出するために、日々、奔走するハヤト。そのあけすけで明るい性格や妹想いの人間性も相まって、同じように歌舞伎町の底辺で生きる人たちの間では、ちょっとした人気者になっていた。

そんなある日、ハヤトは妹の見舞いの後で立ち寄った雑居ビルの屋上で、その地に怪しげな印(結界)を描く若い男・霊然(れいぜん)に遭遇。小競り合いをしているうちに、結界から巨大な化け物(鯨の妖)が出現してくる。

霊然の剣術により一刀両断にされた鯨の妖は、半身のまま逃走。その行く先には、ひまりが入院している病院があった。

ひまりに狙いを定め、誘拐する鯨の妖。ハヤトは妹を助けるべく、霊然から妖刀をスリ取って妖に立ち向かう。苦戦のすえ、なんとか妖を撃退したハヤトだが、時すでに遅し。ひまりには謎の“呪い”が植え付けられてしまっていた。

呪われているひまりを隔離し、適切な処置をすべく、抵抗するハヤトからひまりを攫っていく霊然。ハヤトは執念で霊然らのアジトを見つけ出し、呪いにより変わり果てた妹の姿を見て愕然とする。

さらに、ひまりの“呪い”が発する“口寄せ”に呼び寄せられた化け物(蛸の妖)が、霊然らのアジトを急襲。ハヤトはひまりを守るため、霊然やその仲間の隠岐隊長、摩戸部とともに、ふたたび化け物と対峙する。

この物語は新宿で生きる不良少年・ハヤトが、大事な妹を守るために、仲間とともに謎の妖たちと激闘を繰り広げる、本格バトルアクション漫画である。

 

異能力&肉弾戦で激闘を繰り広げるバトルアクション

東京アヤカシストリート

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隠岐隊長、霊然、摩戸部の3人が所属しているのは、対妖の特別作戦部隊「獄刃會(ごくじんかい)」。自らの妖力を用い、妖刀や妖力紐など対妖用の武器を駆使してさまざまな妖と対峙する「現代の忍」らしい。

ハヤトは何度となく霊然や隠岐隊長に追い払われながら、妹のために戦いの場を離れず、普通は使いこなせない対妖用の武器に振り回されながらも初見で使いこなす。たぐいまれな身体能力や戦闘能力、度胸を見せたハヤトは、第2巻では「獄刃會」に勧誘されるようだ。

1巻の時点では、さまざまな設定が謎に包まれている。
次々と出てくる化け物どもはハヤトの妹・ひまりに固執しているように見えるが、それはなぜなのか。
妖とはこの世界ではどこまで知られており、どのような存在なのか。あるシーンでは妖の登場とともに「緊急避難警報」が区から発信されているので、妖の存在自体はこの世界で一般に認知されているように見える。

1巻でも何度か登場し、呪いや化け物にかけることで一定の効力を発揮しているように見える「灰」とは、いったい何なのか。ハヤトが命を懸けて妹を守る行動をとる裏には、なにがしかの過去の事件がありそうだが、それは何なのか。そもそも妖に立ち向かっている「獄刃會」の全容も動機も、メンバーそれぞれの素性も謎のままだ。

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『ゲゲゲの鬼太郎』をはじめとする数多くの水木しげる作品や『鬼灯の冷徹』『地獄先生ぬ~べ~』『妖怪始末人トラウマ』などの妖怪漫画好きの一人としては、第1巻で登場した化け物「鯨の妖」の骸骨のような姿が、どこか水木しげる御大も描いている妖怪「化け鯨」を思い起こさせるところもポイントが高い(実際にそれが基になっているか否かは不明だが)。

どこか荒廃した大都会の街並みを舞台に、空中戦を伴うド派手なアクションを繰り広げる世界観は、20年ほど前に『週刊少年マガジン』で連載され、アニメ化もされた大人気作品『Get Backers奪還屋』を思い起こさせる。

物語はまさに始まったばかり。今後の展開はなかなか読めないが、特にこの手の作品が好きな人には勧められる1作だ。

(レビュアー:奥津圭介)

東京アヤカシストリート 1
著者:浪川修作
発売日:2025年07月
発行所:講談社
価格:594円(税込)
ISBNコード:9784065396698

※本記事は、講談社|今日のおすすめ(コミック)に2025年8月12日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。