「綿矢りさ」小説 2024年ベストセラーランキング発表
綿矢りささんは、高校在学中に『インストール』で文藝賞を受賞し、鮮烈なデビューを飾りました。その後、19歳という史上最年少で『蹴りたい背中』が芥川賞を受賞し、文学界に大きな衝撃を与えました。
綿矢さんの作品の魅力は、独特な言葉選びと、登場人物の繊細な心の動きをリアルに描く心理描写です。恋愛や人間関係で感じる心の揺れ、誰しもが抱える自意識過剰な感情、人には見せたくない「ちょっと嫌な部分」まで、ユーモアを交えて描き出します。その筆致は、まるで読者の心の奥底を覗き見られているかのように感じさせ、思わず「自分だけじゃないんだ」と共感してしまうはずです。
『蹴りたい背中』の「さびしさは鳴る。」のように、心に響く印象的な一文から始まる作品も多く、読者は主人公の感情に深く共感したり、ハッとさせられたりするでしょう。
また、映画化もされた『勝手にふるえてろ』や『ひらいて』など、映像作品としても楽しめる作品もあります。
日常に潜む、ちょっとしたおかしな部分を愛おしく、ユニークに描く綿矢さんの世界。この機会に、ぜひ作品を手に取ってみてはいかがでしょうか。
今回は、2024年の販売冊数をもとに集計した、綿矢さんの小説ベストセラーランキングをお届けします。各作品のあらすじもあわせてご紹介しますので、ランキングを参考に、ぜひ書店店頭で気になる1冊を手に取ってみてください。
※ランキングは2024年の販売冊数を集計しています(集計期間:2024/1/1~2024/12/31)
※日販調べ
「綿矢りさ」2024年に一番人気の作品は…?!
2024年にもっとも人気があった小説は、2012年に大江健三郎賞を受賞した『かわいそうだね?』でした。
物語の主人公・樹理恵は、恋人の隆大から、元彼女を居候させたいと告げられます。「同情」という名目で始まった奇妙な共同生活は、彼女の心をかき乱すばかり。樹理恵は、同情心とプライド、そして恋心の間で激しく揺れ動きます。
この作品は、恋愛の曖昧さや、自分の感情をコントロールできないもどかしさを、鋭く、そしてどこか愛おしく描いた作品です。読み進めるうちに、「本当にかわいそうなのは誰なのか?」という問いが頭をよぎるかもしれません。
著者:綿矢りさ
発売日:2013年12月
発行所:文藝春秋
定価:726円(税込)
ISBN:9784167840020
同情は美しい? それとも卑しい?
「許せないなら別れる」――恋人の隆大が、求職中の元彼女・アキヨを居候させると言い出した。百貨店勤めの樹理恵は、勤務中も隆大とアキヨとの関係に思いを巡らせ落ち着かない。悩んだ末に樹理恵がとった行動は——。
週刊誌連載時から話題を呼んだ表題作と、女子同士の複雑な友情を描く「亜美ちゃんは美人」の二篇を収録。第6回大江健三郎賞受賞作。(文藝春秋公式サイト『かわいそうだね?』より)
「綿矢りさ」小説 2024年ベストセラーランキング
第2位『オーラの発表会』
- オーラの発表会
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2024年06月
- 発行所:集英社
- 価格:770円(税込)
- ISBNコード:9784087446609
大学一年生の海松子(みるこ)は、対人関係が苦手。お洒落や恋には興味なし。特技は脳内で他人に(ちょっと失礼な)あだ名をつけることで、口臭から相手が食べたものを当てる能力を磨き中。
友達は、人の髪型や服を真似する「まね師」の萌音(もね)だけ。人を好きになる気持ちもわからないのに、幼馴染とイケメン社会人から好意を寄せられていて!?「あんまり群れないから一匹狼系なんだと思ってた」「片井さんておもしろいね」「もし良かったらまた会ってください」「しばらくは彼氏作らないでいて」「順調にやらかしてるね」
――「で、あんたはさ、高校卒業と大学入学の間に、いったい何があったの?」風変わりな女子大学生が主人公で、綿矢りさワールド全開! 周りとうまくやりたいのにやれない主人公の、不器用で愛おしい恋愛未満小説。
(集英社公式サイト『オーラの発表会』より)
第3位『パッキパキ北京』
- パッキパキ北京
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2023年12月
- 発行所:集英社
- 価格:1,595円(税込)
- ISBNコード:9784087718577
コロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲(アヤメ)。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。これぞ、貪欲駐妻ライフ!
北京を誰よりもフラットに「視察」する菖蒲がたどり着く境地とは……?著者自身の中国滞在経験とその観察力が炸裂する、一気読み必至の“痛快フィールドワーク小説”!
(集英社公式サイト『パッキパキ北京』より)
第4位『ひらいて』
- ひらいて
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2015年02月
- 発行所:新潮社
- 価格:572円(税込)
- ISBNコード:9784101266510
華やかでモテる女子高生・愛が惹かれた相手は、哀しい眼をした地味男子。自分だけが彼の魅力に気づいているはずだったのに、手紙をやりとりする女の子がいたなんて。思い通りにならない恋にもがく愛は予想外の行動に走る――。身勝手にあたりをなぎ倒し、傷つけ、そして傷ついて。
芥川賞受賞作『蹴りたい背中』以来、著者が久しぶりに高校生の青春と恋愛を瑞々しく描いた傑作小説。(新潮社公式サイト『ひらいて』より)
第5位『蹴りたい背中』
- 蹴りたい背中
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2007年04月
- 発行所:河出書房新社
- 価格:572円(税込)
- ISBNコード:9784309408415
高校に入ったばかりの“にな川”と“ハツ”はクラスの余り者同士。臆病ゆえに孤独な2人の関係のゆくえは……。世代を超えて多くの読者の共感をよんだ第130回芥川賞受賞作。
(河出書房新社公式サイト『蹴りたい背中』より)
第6位『勝手にふるえてろ』
- 勝手にふるえてろ
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2012年08月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:660円(税込)
- ISBNコード:9784167840013
恋愛、しないとだめですか?
賞味期限切れの片思いと好きでもない現実の彼氏。どっちもほしい、どっちも欲しくない。迷いながら、ぶつかりながら、不器用に進んで。
(文藝春秋公式サイト『勝手にふるえてろ』より)
第7位『手のひらの京』
- 手のひらの京
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2019年04月
- 発行所:新潮社
- 価格:572円(税込)
- ISBNコード:9784101266534
京都に生まれ育った奥沢家の三姉妹。長女の綾香はのんびり屋だが、結婚に焦りを感じるお年頃。負けず嫌いの次女、羽依は、入社したばかりの会社で恋愛ざたといけず撃退に忙しい。そして大学院に通う三女の凜は、家族には内緒で新天地を夢見ていた。春の柔らかな空、祇園祭の宵、大文字焼きの経の声、紅葉の山々、夜の嵐山に降る雪。三姉妹の揺れる思いを、京の四季が包みこむ、愛おしい物語。
(新潮社公式サイト『手のひらの京』より)
第8位『嫌いなら呼ぶなよ』
- 嫌いなら呼ぶなよ
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2022年07月
- 発行所:河出書房新社
- 価格:1,540円(税込)
- ISBNコード:9784309030487
「一応、暴力だろ。石でも言葉でも嫌悪でも」。妻の親友の家に招かれた僕。だが突然僕の行動をめぐってミニ裁判が始まり……心に潜む “明るすぎる闇”に迫る綿矢りさ新境地! 全4作収録。
(河出書房新社公式サイト『嫌いなら呼ぶなよ』より)
■文庫版も発売中!
- 嫌いなら呼ぶなよ
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2025年08月
- 発行所:河出書房新社
- 価格:770円(税込)
- ISBNコード:9784309422077
第9位『生のみ生のままで』(上・下)
- 生のみ生のままで 上
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2022年06月
- 発行所:集英社
- 価格:704円(税込)
- ISBNコード:9784087443950
- 生のみ生のままで 下
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2022年06月
- 発行所:集英社
- 価格:704円(税込)
- ISBNコード:9784087443967
25歳、夏。逢衣は恋人の颯と出かけたリゾートで、彼の幼馴染とその彼女・彩夏に出会う。芸能活動しているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかり。けれど、4人でいるうちに打ち解け、東京へ帰った後も、逢衣は彼女と親しく付き合うようになる。そんな中、彼との結婚話が出始めた逢衣だったが、ある日突然、彩夏に唇を奪われ――。女性同士の情熱的な恋を描く長編。
(集英社公式サイト『生のみ生のままで(上)』より)
第10位『しょうがの味は熱い』
- しょうがの味は熱い
- 著者:綿矢りさ
- 発売日:2015年05月
- 発行所:文藝春秋
- 価格:660円(税込)
- ISBNコード:9784167903602
同棲=結婚じゃないの?!
煮え切らない男・絃と煮詰まった女・奈世が繰り広げる現代の同棲物語。トホホ笑いの果てに何かが吹っ切れる、迷える男女に贈る一冊。
(文藝春秋公式サイト『しょうがの味は熱い』より)
最新刊『激しく煌めく短い命』が8月25日に発売!
綿矢りささんの長編恋愛小説『激しく煌めく短い命』が8月25日(月)に発売されます。
美しい京都と東京を舞台に、女性同士の18年間にわたる関係の軌跡を、1,300枚という圧倒的なボリュームで描いた、綿矢さん史上最長の作品です。こちらの最新刊もぜひ書店で手に取って、お楽しみください。
著者:綿矢りさ
発売日:2025年8月25日
発行所:文藝春秋
定価:2,585円(税込)
ISBN:9784163920092
京都に暮らす久乃(ひさの)は、中学校の入学式で出会った同級生の綸(りん)にひと目で惹かれ、二人は周囲の偏見にも負けず、手さぐりで愛をはぐくんでいく。
「名前なんか、どうでもいーやん。私は久乃が好き。久乃は私が好き。それで十分やろ」
しかしあることがきっかけで二人は決定的に引き裂かれる。そして十数年後、東京の会社に勤める久乃は思いがけない形で綸に再会するのだった——。
綿矢りさ史上最長、圧巻の1300枚!
(文藝春秋公式サイト『激しく煌めく短い命』より)
著者プロフィール
綿矢りさ
わたや・りさ。1984年京都府生まれ。2001年「インストール」で文藝賞を受賞し、デビュー。2004年「蹴りたい背中」で芥川賞、2012年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞を受賞。著書に『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』『意識のリボン』『生のみ生のままで』などがある。