人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア「ほんのひきだし」

  1. HOME
  2. 本と人
  3. ほん
  4. 【売上ランキング】小川洋子 おすすめ作品10選|最新版

【売上ランキング】小川洋子 おすすめ作品10選|最新版

小川洋子さんランキングTOP3

「小川洋子」2024年ベストセラーランキング発表

1988年にデビューし、1991年に『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞した小川洋子さん。2004年には、『博士の愛した数式』が読売文学賞と第1回の本屋大賞を受賞しました。その後も、数々の文学賞を受賞するなど芸術性の高い作品を発表し続けており、読者の心を震わせる小説は、世界各国で翻訳・刊行されています。2020年には日本人で2人目となるイギリス・ブッカー国際賞にノミネート。2006年に谷崎潤一郎賞を受賞した『ミーナの行進』は、アメリカの『TIME』誌が発表する「2024年の必読書100冊」に選出されました。

小川さんの作品の特徴は、喪失や孤独、記憶といったテーマを美しく描き出す筆力と、静謐で繊細な世界観にあります。『博士の愛した数式』では、記憶が80分しかもたない数学者と家政婦、その息子との交流を、『ことり』では言葉を持たない兄とその弟の静かな生活を描き、孤独や人間同士の交わり、そこから生まれる温かさや優しさを浮かび上がらせました。

また、『猫を抱いて象と泳ぐ』ではチェスの世界に没頭し、やがてからくり人形を用いて対局を行うようになる少年を、『密やかな結晶』では小説家を主人公に、モノや記憶が徐々に消えていく世界が描かれるなど、幻想的でありながら、不安や孤独をリアルに映し出す作品で、読者の共感を得ています。

6月20日(金)には、6年ぶりとなる長編小説『サイレントシンガー』が発売されます。

刊行にあたり、担当編集者が「編集作業をしている期間、私は何度かこの小説の場面に迷い込んでしまっている夢を見ました」とコメントを寄せていますが、静かで奥深い物語世界をたゆたいながら、いつの間にか自身の奥底にある心の機微や感情に気づかされる。そんな読書体験が味わえるのも小川作品の何よりの魅力。今回は、そんな小川さんの作品で、2024年の販売冊数を集計したベストセラーランキングをお届けします。各作品のあらすじもあわせてご紹介しますので、ランキングを参考に、ぜひ書店店頭で気になる1冊を手に取ってみてください。

サイレントシンガー
著者:小川洋子(小説家)
発売日:2025年06月
発行所:文藝春秋
価格:1,980円(税込)
ISBNコード:9784163919911

※ランキングは2024年の販売冊数を集計しています(集計期間:2024/1/1~2024/12/31)
※日販調べ

 

2024年に一番人気の作品は…?!

小川洋子さんの2024年に一番人気があった作品は、『博士の愛した数式』でした。

本作は、交通事故の後遺症で事故後の記憶が80分しかもたない博士と、彼の家に派遣された家政婦、その息子「ルート」との交流を通して、数学の美しさや、人と人とのつながりとその温かさを静謐な筆致で描いた作品です。数学に詳しくなくても、読み進めるうちに自然と数式の魅力に触れることができ、「数学」という一見難しいテーマと、人間模様が見事に響き合う作品として多くの読者の心をつかみました。

2004年に創設された、第1回の「本屋大賞」を受賞したことでも大きな話題となった本作は、2005年に発売された文庫版がわずか2か月で100万部を突破。新潮文庫史上、最速のミリオンセラーであり、今なお多くの読者に愛されるロングセラーとなっています。また、2005年には日本数学会出版賞も受賞しており、「数学の魅力を判り易く紹介し、数学の普及に大きく貢献」したと評価されました。

博士の愛した数式

『博士の愛した数式』
著者:小川洋子
発売日:2005年12月
発行所:新潮社
定価:693円(税込)
ISBN:9784101215235

[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた――記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。

(新潮社公式サイト『博士の愛した数式』より)

 

「小川洋子」2024年 ベストセラーランキング第2位~第10位

第2位『ことり』

ことり
著者:小川洋子(小説家)
発売日:2016年01月
発行所:朝日新聞出版
価格:638円(税込)
ISBNコード:9784022648037

人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりをよく理解し、こよなく愛する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。小鳥たちの声だけに耳を澄ます二人は、世の片隅でつつしみ深く一生を生きた。やさしく切ない、著者の会心作。解説・小野正嗣。

(朝日新聞出版公式サイト『ことり』より)

 

第3位『猫を抱いて象と泳ぐ』

猫を抱いて象と泳ぐ
著者:小川洋子(小説家)
発売日:2011年07月
発行所:文藝春秋
価格:814円(税込)
ISBNコード:9784167557034

伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの、ひそやかな奇跡を描き尽した、切なく、愛おしい、宝物のような傑作長篇小説。

(文藝春秋BOOKS『猫を抱いて象と泳ぐ』より)

 

第4位『耳に棲むもの』

耳に棲むもの
著者:小川洋子(小説家)
発売日:2024年10月
発行所:講談社
価格:1,980円(税込)
ISBNコード:9784065368329

耳の中に棲む私の最初の友だちは涙を音符にして、とても親密な演奏をしてくれるのです。

補聴器のセールスマンだった父の骨壺から出てきた四つの耳の骨(カルテット)。
あたたかく、ときに禍々しく、静かに光を放つようにつづられた珠玉の最新作品集。

オタワ映画祭VR部門最優秀賞・アヌシー映画祭公式出品
世界を席巻したVRアニメから生まれた「もう一つの物語」

(講談社公式サイト『耳に棲むもの』より)

 

第5位『人質の朗読会』

人質の朗読会
著者:小川洋子(小説家)
発売日:2014年02月
発行所:中央公論新社
価格:836円(税込)
ISBNコード:9784122059122

慎み深い拍手で始まる朗読会。耳を澄ませるのは人質たちと見張り役の犯人、そして……。しみじみと深く胸を打つ、祈りにも似た小説世界。〈解説〉佐藤隆太

(中央公論新社公式サイト『人質の朗読会』より)

 

第6位『ミーナの行進』

ミーナの行進
著者:小川洋子(小説家)
発売日:2009年06月
発行所:中央公論新社
価格:968円(税込)
ISBNコード:9784122051584

美しくて、かよわくて、本を愛したミーナ。あなたとの思い出は、損なわれることがない――懐かしい時代に育まれた、ふたりの少女と、家族の物語。谷崎潤一郎賞受賞作。

(中央公論新社公式サイト『ミーナの行進』より)

 

第7位『密やかな結晶』

密やかな結晶 新装版
著者:小川洋子(小説家)
発売日:2020年12月
発行所:講談社
価格:946円(税込)
ISBNコード:9784065214640

その島では多くのものが徐々に消滅していき、一緒に人々の心も衰弱していった。
鳥、香水、ラムネ、左足。記憶狩りによって、静かに消滅が進んでいく島で、わたしは小説家として言葉を紡いでいた。少しずつ空洞が増え、心が薄くなっていくことを意識しながらも、消滅を阻止する方法もなく、新しい日常に慣れていく日々。しかしある日、「小説」までもが消滅してしまった。
有機物であることの人間の哀しみを澄んだまなざしで見つめ、空無への願望を、美しく危険な情況の中で描く傑作長編。

(講談社公式サイト『密やかな結晶』より)

 

第8位『薬指の標本』

薬指の標本
著者:小川洋子(小説家)
発売日:2004年06月
発行所:新潮社
価格:572円(税込)
ISBNコード:9784101215211

楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を持ち込む〔標本室〕で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは……。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。

(新潮社公式サイト『薬指の標本』より)

 

第9位『海』

著者:小川洋子(小説家)
発売日:2009年03月
発行所:新潮社
価格:572円(税込)
ISBNコード:9784101215242

恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る〈鳴鱗琴(メイリンキン)〉について、一晩彼女の弟と語り合う表題作、言葉を失った少女と孤独なドアマンの交流を綴る「ひよこトラック」、思い出に題名をつけるという老人と観光ガイドの少年の話「ガイド」など、静謐で妖しくちょっと奇妙な七編。「今は失われてしまった何か」をずっと見続ける小川洋子の真髄。著者インタビューを併録。

(新潮社公式サイト『海』より)

 

第10位『約束された移動』

約束された移動
著者:小川洋子(小説家)
発売日:2022年08月
発行所:河出書房新社
価格:748円(税込)
ISBNコード:9784309419114

ハリウッド俳優Bの泊まった部屋からは、決まって一冊の本が抜き取られていた。
Bからの無言の合図を受け取る客室係……「約束された移動」。ダイアナ妃に魅了され、ダイアナ妃の服に真似た服を手作りし身にまとうバーバラと孫娘を描く……「ダイアナとバーバラ」。今日こそプロポーズをしようと出掛けた先で、見知らぬ老女に右腕をつかまれ、占領されたまま移動する羽目になった僕……「寄生」など、“移動する”物語6篇、傑作短篇集。

(河出書房新社公式サイト『約束された移動』より)

 

著者のプロフィール

小川洋子

おがわ・ようこ。1962年、岡山市生まれ。1988年、「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞、1991年、「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年、『博士の愛した数式』で読売文学賞および本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、2013年、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2020年、『小箱』で野間文芸賞を受賞。2021年、菊池寛賞受賞、紫綬褒章受章、2023年、日本芸術院賞受賞。その他の小説作品に『密やかな結晶』『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。