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【編み物・推しぬい 関連本特集 vol.6】世界のニッターが支持する著者の、編み物の本質を理解できる本『パティさんの編み物知恵袋』

パティさんの編み物知恵袋のPOP画像

編みたい気持ちが高まる関連本6作品をご紹介

新しく何かにチャレンジしてみたくなる春。「編み物」を始めてみるのはいかがでしょうか。100円均一ショップで「毛糸」が品薄になったり、SNS上でも編み物に関する投稿がいいねを集めたりと、編み物ブームの到来が注目を集めています。毛糸の色や編み方等で個性をだしながら、簡単に自分だけの作品を仕上げられるので、誰でも始めやすいことがきっかけのひとつのようです。

また、今では見聞きすることが増えた「推し活」でも編み物が人気です。「推しのぬいぐるみ=推しぬい」に合う洋服や小物を手作りする際、編み物でオリジナルグッズを作成する方が増えており、推し活をより充実させてくれるようです。

「ほんのひきだし」では、編み物初心者の方に向けて「編み物」「推しぬい」のおすすめの関連本を短期連載でご紹介します。「編み物に興味はあるけど、自分にできるか不安……」「どんな作品を作ればいいんだろう……。編みたいものが見つからない」とお悩みを抱えている方もいるかもしれません。各出版社の関連本を読んで、自分の好きなものを編み物で形にしてみてください。

今回は、『パティさんの編み物知恵袋』(朝日出版社)をご紹介します。ぜひ書店店頭で手に取ってみてください。

パティさんの編み物知恵袋の書影

パティさんの編み物知恵袋

著:パティ・ライオンズ 訳:西村知子
発売日:2023年12月
発行所:朝日出版社
定価:2,090円(税込)
ISBN:9784255013619

 

【目次】

はじめに:本書の使い方(とその理由)

序章 ニッターの「こうしちゃダメ?」に応える本
本書を読まれる前に(訳者より)

第1章 編み物の真理
表目や裏目やその他諸々
編み目の構造について:まぎれもない真実
編み目はどうできる?
イースタン、ウェスタン、コンビネーション:旅先はどちらへ?

第2章 ゲージ
小さなセーターから巨大な帽子まで
スワッチという奇跡の道具
真実はすぐそこにある(または、スワッチと仲良くなりましょう)
もっといい編み地にしよう:編むときの手加減について
ゲージが合うことが必ずしも素晴らしいことではないわけ

第3章 パターン
何を使って編むか(もしくは「一流シェフ」になるには)
何を編むにもサイズは大事
パターンのひみつの言語

第4章 作り目
ロングテール・キャストオン(指でかける作り目)
ケーブル・キャストオン
どうして「100」まで数えられないの?

第5章 増し目と減目
美しい減目
増し目:美しく増やす

第6章 やっかいな問題とひみつの解消方法
新しい糸玉に糸継ぎをする:想像する以上に多くの方法がある!
その1目めを直そう:糸送りが妨害されている
輪編み:まわれ、まわれ
輪編みの引き返し編みについて:触れたがらない問題
輪の編み終わり――あのスリンキー(段差)をなくす
リブ編み――いつも快適に編めるとは限らない
セーター編みに役立つスキル

第7章 仕上げ
よりよい「伏せ止め」
ブロッキング:最後の仕上げ
糸始末:リバーシブル? それともリバーシブルでない?
すくいとじ:とじはじめはひみつの方法で
拾い目:自分の道を行こう
最強のボタンホール
袖付け

第8章 最後の知恵のことば

 

きれいに編むための“目からウロコ”のトリックが70以上!

この本は、編み物(棒針編み)がうまくいかないとき、すぐそばで助けてくれる「頼れる先生」のような存在です。糸のテンションを保つコツから、作り目がきつくなりすぎない方法、端の処理をきれいに仕上げる裏ワザなど、70を超えるテクニックが満載です。

パティさんの編み物知恵袋の本の内容3

これまでの本では答えを得られなかった「なぜ、こうすると編み目がねじれるの?」「なぜ、ここで段差が生まれるの?」「なぜ、ここで目がゆるんでしまうの?」といった小さな疑問が、パティさんのステップ・バイ・ステップのわかりやすい解説で「あ、なるほど!」と氷解していく快感があります。

中には何十年も編んできたベテランニッターでも知らないトリックも。きれいに編めないのはあなたのウデのせいではなく「編み目」の構造にあったのです。

 

「なぜこうやるの?」を深掘り!編み物の本質を理解

著者のパティ・ライオンズさんは、全米最大級のニットイベント「Vogue Knitting Live」などさまざまな講座で10万人を超えるニッターにアドバイスを行い、世界中のニット愛好家から圧倒的な支持を得ています。彼女は“独学”のニッター。だからこそ、編み物に対して、「こういうやり方でやってもいいんじゃない?」と柔軟な姿勢をもっています。

本書最大の特徴は、「やり方」だけでなく「なぜ、そのやり方が有効なのか」を丁寧に説明していることです。たとえば一般的に推奨される作り目の手法に対して、「実は横には伸びにくい」など、論理的な分析を加えて真のメリット・デメリットを解説してくれています。

パティさんの編み物知恵袋の本の内容2

 

この“なぜ?”に答えるプロセスこそが、読者の編み物スキルを根底からレベルアップさせる秘訣。「理解したことは忘れない」から、しっかり編み目の構造を理解することで、どんなトラブルにも自力で対処する力がついていきます。

また、ゲージを編み図に合わせるためのコツだけでなく、「自分のゲージで」「自分のサイズに合わせて」編むためにはどうしたらいいか?についても書いてあります。ただ編むのではなく、理解しながら編むことができるようになると、棒針編みの世界がどんどん広がっていきます。

 

ポジティブメッセージで、編みたい気持ちを増幅

パティさんのポジティブなメッセージとユーモアも随所に盛り込まれ、読んでいて楽しいのも大きな魅力です。「編み物は命を救う」というヴァージニア・ウルフの言葉をはじめとして、「編んでほどいたほうが、まったく編まないよりもいい」などの金言もつまっています。パティさんの編み物知恵袋の本の内容1 失敗から学ぶパティさんを見ると、編み物で失敗することが怖くなくなり、苦手意識をもっていたゴム編み止めや「とじはぎ」、面倒だと思っていたスワッチ編みも、どんどん楽しくなり、挑戦してみたくなってきます。読んだ瞬間から手を動かしたくなる、編み物熱が100%増幅すること間違いなし!の本です。

 

訳者プロフィール

西村知子
ニットデザイナー、翻訳家。日本手芸協会手編み師範。京都生まれ。ニューヨークですごした幼少時代から編み物に興味を持つ。英文パターンを用いたワークショップや講座、編み物関連の通訳や翻訳、オリジナルデザインの提案など、幅広く活躍している。主な著書に『編みもの「英文パターン」ハンドブック』など。

 

【訳者コメント】

ふだん編み物をしていても、なかなか思いつかないことをパティさんは追究し、私たちに伝えてくださっています。このたび、日本語訳への翻訳作業を通して、訳者自身、目からウロコが落ちる瞬間が何度もありました。
本書を通じて、編み物は自由で楽しいものだと実感していただけるとうれしいです。

 

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