「あんぱん」のモデル・やなせたかしさんをより深く知る!
2025年3月31日(月)より放送開始のNHK連続テレビ小説「あんぱん」。
「アンパンマン」の生みの親であるやなせたかし氏とその妻・小松暢さんを題材に、夫妻の人生を波乱万丈の物語として大胆に再構成してドラマ化されます。夢を忘れなかった二人の人生が、「アンパンマン」にたどり着くまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語です。夫婦役は、北村匠海さんと今田美桜さんが務めます。
ほんのひきだしでは、よりドラマを楽しんでいただけるように、やなせたかし氏の関連本をご紹介します。
今回は、『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(文春文庫)です。ぜひ書店店頭で手に取って、ドラマとあわせてお楽しみください。
綿密な取材を重ねて書き下ろした本格評伝の決定版
『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』は、梯久美子さんが書き下ろす「アンパンマン」の作者・やなせたかし氏の本格評伝の決定版です。これまで、太平洋戦争の硫黄島の戦いを率いた栗林忠道、作家の島尾ミホ、詩人で作家の原民喜などの評伝を手がけてきた梯さんが、綿密な取材をもとに、知られざるエピソードを掘り起こして執筆しています。やなせたかし氏を深く知るためにおすすめの作品です。
著者:梯久美子
発行所:文藝春秋
発売日:2025年3月5日
判型:文庫
定価:770円(税込)
ISBN:9784167923464
やなせたかし氏との深い親交
梯さんはかつて『詩とメルヘン』の編集者として、やなせたかしさんのもとで働き、晩年まで親交がありました。だからこそ、他の著者が描く評伝とは、一味も二味も違います。また、子ども向けに書いた伝記『勇気の花がひらくとき やなせたかしとアンパンマンの物語』(フレーベル館)はロングセラーとなり、小学校の教科書に採用されていますが、本作は中学生・高校生から読むことができる大人向けとなっています。ノンフィクションですが、物語風で読みやすく、梯さんならではの視点で描かれる作品をお楽しみください。
梯久美子さんからのコメント
「胸がつぶれるほどさびしかった」という幼少期から始まるやなせたかしの生涯を、新資料をもとに書き下ろしました。悲しみも、悔しさも、心の傷でさえ、いつか生きる力となり、人をよろこばせる創造性となって花ひらく――やなせ氏の生き方からは、暗闇の中でも光を信じて歩き続けることの大切さを教えられます。20代の頃、やなせ氏のもとで編集者をしていた私は、この伝記を書くことでアンパンマンの哲学にふれ、改めて氏に出会い直した気がしています。少しでも本の価格を安くしたいと思い、出版社にお願いして文庫書下ろしという形にしてもらいました。幅広い読者に、このちいさな本が届くことを願っています。
著者プロフィール
梯久美子(かけはし・くみこ)
1961年熊本市生まれ。北海道大学文学部卒業後、やなせたかしさんが編集長をつとめた雑誌『詩とメルヘン』の編集者となる。40代でノンフィクション作家としてデビューし、『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。ジュニア向けに書いたやなせたかしさんの伝記『勇気の花がひらくとき やなせたかしとアンパンマンの物語』(フレーベル館)の内容が、小学校5年生の国語教科書に掲載されている。