各出版社を代表する雑誌の編集長によるリレー連載「編集長雑記」。
今回は、昨年創刊25周年を迎えた、「モノ・コト・暮らし」のレビューとニュースが満載の『GetNavi』編集長・小林利行さんのご登場です。
3月24日(月)に発売された『GetNavi』5月号は、同誌が共催し、今回で10回目を迎える家電アワード「家電大賞」の結果を掲載した注目号です。1999年の創刊当時はファッション中心の男性向けモノ情報誌でしたが、ここ10年は生活家電を中心に、女性や家族で楽しむ雑誌として読者層を広げている同誌。その変遷と時代のニーズに即した雑誌づくりについて、小林編集長に綴っていただきました。
▼『GetNavi』最新号はこちら
- GET Navi (ゲットナビ) 2025年 05月号
- 著者:
- 発売日:2025年03月24日
- 発行所:ワン・パブリッシング
- 価格:760円(税込)
- JANコード:4910136710550
四半世紀を経て「家族」でモノ選びを楽しむ雑誌へ
『GetNavi』は昨年、創刊25周年を迎えました。創刊号(1999年3月24日発売)の表紙は高級時計のロレックスで、ビジネスマン向けのファッションを中心としたモノ雑誌としてスタートしました。
同時期に「iモード」が始まり、徐々にデジタルへシフト。2000年代は携帯電話やテレビなどの記事が人気を集めました。
2015年、バルミューダ初のキッチン家電「BALMUDA The Toaster」が登場しました。独自のスチームテクノロジーと温度制御により、外はサクサク、中はもっちりのトーストを焼けるトースターで、弊誌でも大きく取り上げました。当時の実売価格で2万4,732円とトースターとしては高価でしたが、それに見合う「おいしさ」「感動」が味わえると大ヒット。その後の家電業界のものづくりの考え方を変えたエポックメイキングな家電でした。
同じ2015年に家電と暮らしの情報サイト「家電Watch」(インプレス)と共催で、家電アワード「家電大賞」を立ち上げました。弊誌と「家電Watch」編集部がノミネートモデルを選定し、読者とユーザーからネットで投票を受け付け、得票数の多いモデルをグランプリ・部門賞とするイベントです。2015年の総合グランプリは、「BALMUDA The Toaster」でした。
「家電大賞」は今年で10周年を迎えました。全部門の結果は3月24日発売の5月号で発表していますが、記念すべき第10回の総合グランプリはアイロボットのロボット掃除機「Roomba Combo 2 Essential ロボット + AutoEmpty 充電ステーション」でした。水拭き機能やゴミの自動収集機能を備えて5万9,200円と、コストパフォーマンスが非常に高いモデルです。
家電のなかでもロボット掃除機は進化が目覚ましく、一部の高機能モデルでは掃除中にペットを見つけると自動で写真を撮影してくれる機能を搭載。掃除だけでなく見守りカメラとしても活躍してくれるのです。
また、冷蔵庫では、カメラを搭載し、庫内の食材を外出先からスマホアプリでチェックできたり、AIが野菜を自動認識して使い切りレシピを提案してくれたりするモデルが登場しています。このような新たな価値を提供してくれる「家電」に関する記事のニーズは高く、切り口を変えて特集を毎号組んでいます。
2023年に読者参加型コミュニティ「GetNavi Salon」を立ち上げました。メンバーによると、弊誌の記事を家族に見せて意見を聞き、購入モデルを決定しているとのこと。掃除機や冷蔵庫などの家電は、家族で共有して使うこともあり、男性読者(夫、父)の一存では決められないからだそうです。
『GetNavi』は腕時計や携帯電話など「男性が個人で使うモノ、趣味性が高いモノ」を中心に紹介する雑誌としてスタートしました。いまは男性一人ではなく家族と一緒に読んでいること、「家族の暮らしが良くなる、楽しくなるモノ」を選ぶ際に活用してもらっていることを意識して記事を制作しています。
最後に書店スタッフの皆様にお願いです。
新作映画やドラマに関連する男性俳優のインタビュー記事をきっかけに女性読者に購入いただくことも多く、最近の購読者層は男性7割、女性3割です。本誌は「男性誌コーナー」に置いていただくことが多いと思うのですが、上記のように男性でも女性でもお役に立つモノ情報誌を目指しております。表紙の特集タイトルの打ち出し方などを変えてまいりますので、“男性だけでなく女性も手に取りやすい場所”に置いていただけますと幸いです!
ワン・パブリッシング『GetNavi』編集長
小林利行 KOBAYASHI Toshiyuki
2007年よりGetNavi編集部に所属。AV機器、スマホなどの記事を担当。教育系ウェブサイト編集長を経て2024年1月に編集長就任。